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甲州ワインで酔っぱらう。「山の都」甲府でヴァンフォーレと武田菱を探す旅路(前篇)

8時ちょうどのあずさ5号では旅立てませんでした。久々に旅に出るのに、寝坊をかましてしまいました。

冒頭をいきなり1970年代の大ヒット歌謡曲『あずさ2号』から引用してしまいました。ヤングな世代に通じる話題かと心配です。ちなみに、この曲を歌った狩人の加藤久仁彦、加藤高道は兄弟でありながらも不仲でしたが、約15年前に解散し、約9年前に再結成しています。なんだかんだで兄弟仲良くやってそうだ。

緊急事態宣言が明け、台風一過の10月2日。僕は14時から山梨県甲府市はJITリサイクルインクスタジアムで行われるヴァンフォーレ甲府対モンテディオ山形を観戦するつもりでした。これから発売される西葛西出版『すたすたぐるぐる』の文章に影響されて地方都市に行きたくて仕方なかったのです。

城郭好きなので、甲府駅近くの甲府城を事前に見学して市中で昼メシを食べられる時間の余裕がある新宿駅8時発の特急あずさに乗るつもり……だったのですが!

前日にお酒を飲みすぎてしまい、そのまま爆睡。アラームの音を何度もスルーし続け飛び起き、ようやく乗れたのは11時発の特急あずさ17号。今は2号は事実上消滅しているそうなのですが、僕が惰眠をむさぼる間に何便あずさを見送ったのでしょうか。

二日酔いの状態で山間地を蛇行するあずさの焦らしプレイで電車酔いするダブル酔いをかましながら、陽光が穏やかに照らす甲府盆地の絶景に見とれて12時30分に甲府駅に到着。

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垢抜けた東京の学生とは異なる雰囲気の学生服やセーラー服姿の少年少女たちや、たぶん今から南アルプスに挑まんとする登山客とすれ違い、改札に降り立ちます。

そこで僕を出迎えたのは、戦国時代に甲斐国を日の本屈指の大国に育てた武田信玄公を英雄とする、観光ポスターのインフォメーションの数々です。

武田信玄公の街、甲府。武田信玄公生誕500年。甲州の誇り、武田信玄さま。信玄公祭り。信玄さまが考案したほうとう。信玄さま、お元気ですか? 信玄さま、ありがとう。信玄さましか勝たん。信玄さまが愛する予定のマリトッツォ。

信玄さま、信玄さま、信玄さま……。甲府の大英雄をエブリデイエブリタイム讃えんとする甲府市民の愛に圧倒されながら、試合開始まで1時間半となっているので駅ナカで手軽に食べられるご当地グルメの店を探します。この時点で甲府城に寄るのは諦めました。

地方都市によくある商業施設ののぼりには「信玄ほうとう」「甲州牛ステーキ」「吉田うどん」といった文字が並んでいます。信玄さまがここにもいた!

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選んだのは吉田うどん。富士吉田市のご当地グルメで、醤油と味噌ベースのつけ出汁に、極太うどん、茹でたキャベツやお肉などをくぐらせて食べます。

僕が頼んだのはつけ麺のようなタイプですが、かけうどんタイプのほうが一般的かもしれません。お肉は駅ナカのお店では豚肉でしたが、本場の富士吉田市では馬肉を使用しているところもあるとか。

じんわりほっとする味わいの出汁。グミのハリボーよりも弾力のある超コシうどん。そして甲州ならではの激辛味変アイテム「すりだね」。田舎うどんの出汁を激辛にすれば、前日までの二日酔いが吹き飛びました。

ちなみに、商業施設のレストランエリアでご当地グルメを提供しているお店は軒並み空いていたのですが、一番お客さんが多かったのはサイゼリヤでした。

風林火山の甲州軍団、イタリアの巨大チェーンを前に散る。僕も辛味チキンと生ビールで一杯やりたいところでしたが、試合開始まで1時間を切ったので、小瀬スポーツ公園に向かうとします。辛味チキンって赤ワインにもよく合いますよね。

武田信玄公がヴァンフォーレを見守っている(以下、有料)

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