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【一日一捨】 ダスキンのノベルティ

もう10年近く、ダスキンさんに定期清掃に来てもらっている。鍵を1本預けて月に2回、留守中に清掃をお願いしている。

コロナも2年目くらいになり、少しずつ飲み会なんかも復活しはじめた頃、久しぶりに坂本君と飲んだ。坂本君は前の会社の同僚で、転職してからもたまに会って飲んでいた。高校時代はラグビーをやっていたそうだ。体格もよくて顔も強面で、知らない人が見ればちょっと怖じ気づくような外見だけど、中身は温和でとても人懐こい。最近の趣味は読書とカフェ巡りで、甘い物が大好きだ。昔は筋肉だったであろう部位は、いまではすっかり脂肪になりかわっている。骨格が太いので黙っていればわからないけど、触るとぷにぷにしてる。間違いなく脂肪だ。

久しぶりの飲み会は盛り上がり、終電がなくなった。
坂本君は翌日は仕事は休みとのことで、ぐでんぐでんに酔っ払い、そのままタクシーで一緒に僕の部屋まで来て、コンビニで買ったロールケーキをペロリと2つ食べてソファで鼾をかき始めた。翌朝、僕は仕事だったのでソファでまだ眠ってる坂本君を残し、『鍵は郵便受けに入れておいて』というメモと合鍵を置いて部屋を出た。その日は午前中からダスキンの定期清掃があることをすっかり忘れていた。

夕方、帰宅して机の上に置かれたダスキンさんのメモと領収書、ノベルティグッズを見て愕然とした。坂本君、大丈夫だったのか。ダスキンさん、びっくりしなかったか。ダスキンさんにしてみれば、定期清掃にやってくれば、室内には知らないゴリラみたいな強面の男がいたわけだ。慌てて坂本君に電話したら、最初は驚かれてめちゃくちゃ不審がられたけど、最終的には打ち解けて、ノベルティのマスクカバーまで貰って帰ったらしい。捨てる。


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