財布

妄想なのか現実なのかわからないことを綴ります。

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最近の記事

【一日一捨】 帽子

旅先で帽子を買うことが多い。 うちにある帽子はたぶん全部旅先で買った物だ。普段帽子を被る習慣がないので、旅先でなんとなく旅のテンションのまま買って、帰ってきたら普段使いはしないままクローゼットにしまわれる。この帽子はたしか広島で買ったものだ。 広島で帽子を買ったその日、泊まった温泉宿で深夜にガタガタと襖が揺れて目が覚めた。地震ではない。外の廊下で話し声が聞こえたので、誰かが歩く振動で揺れているのかなと思ったけど、そんな立て付けの悪い襖なんてない。でも、寝ぼけた頭では勝手にそ

    • 【一日一捨】 VRゴーグル

      何年か前、打ち上げのビンゴで当たった。 ビンゴの景品はわかりやすく即物的にAmazonギフトカードなんかも良いけれど、個人的にはこういう自分では絶対に買わないしそんなに必要はないけど、もらう分には嬉しいというようなものがいい。VRゴーグルは一度どんなものか使ってみたかった。でも、わざわざ自分で買うほどのものではない。使う目的はというと、まあ現状はVRのアダルトなやつを見るくらいだし。 というような話を同じ打ち上げに参加した後輩の青山君と話してた。青山君はビンゴでは何も当たらず

      • 【一日一捨】 朱肉

        かなり昔のことだけど、婚活パーティーに行ったときのこと。30対30くらいの大人数のパーティーで、参加費用は女性5百円、男性5千円。たぶん女性はサクラも多かったんじゃないかな。あんまりやる気がなさそうなひとや、会社帰りに友達同士ぶらっと立ち寄った感じのひとが多かった。 そんな中にひとり、ちょっと変わった感じの女性がいた。どんな話の流れだったか忘れたけど、ナンシー関の話題になった。ナンシー関といえば、当時もうすでに亡くなっていたけれど、消しゴム版画で有名な辛口コラムニストだ。婚

        • 【一日一捨】 おいしい赤飯

          うちには電子レンジがない。 という話をすると、たいてい「嘘でしょー」と驚かれるのだけど、本当に持ってない。結婚しているときはあったけど、離婚したときに彼女が持って行った。結婚前もずっと電子レンジはもっていなかった。別に強いこだわりがあるわけではない。何度か買おうと思ったこともあったけど、いつも「まあ、なくても特に困らないしな…」と、結局、買わないままに終わった。あればあったで便利なのは間違いないのだけど、普通にフライパンや鍋で料理はできるし。 コロナの頃、ひとり暮らしだった

        【一日一捨】 帽子

          【一日一捨】 オリオンビールのTシャツ

          宮古島で泊まったホテルで、オリオンビールのTシャツを着たおじさんがいた。 たぶん同じホテルに泊まってる人で、朝のブッフェやホテルのプールなんかで毎日、同じオリオンビールのTシャツを着ているのを見かけた。もしかして、おじさんはこのTシャツ一枚しか着替えを持ってきていなかったのかもしれない。南の島では、寝る前に浴室で自分で洗えば翌朝にはもう乾いてる。僕は4泊5日の旅程でキャリーケースをパンパンにして行ったけれど、南の島でのんびり過ごすには、荷物もなるだけ少なく身軽な方がいい。着替

          【一日一捨】 オリオンビールのTシャツ

          【一日一捨】 ボディスポンジ

          これはもう10年以上、いや、もしかしたら20年以上昔のものかもしれない。 お祝い返しか何かでもらったタオルセットの中に、こいつはいた。こんな顔をしているが、お風呂で使うボディスポンジだ。ちょっと使ってくたびれてきたので、このまま使い続けるとやがてボロボロになって捨てなければならない。それはなんだか可哀想に思えて、洗面所の下に放り込んで使わないまま時は流れた。何度かの引っ越しの度にも捨てられることなく持ちこたえた。今もこうやって写真を見ていると、胸がきゅーとなる。捨てにくい。め

          【一日一捨】 ボディスポンジ

          【一日一捨】 木のスプーン

          匙を投げるという慣用句がある。もうどうにもならない、手の施しようがない、お手上げ状態を表す言葉で、語源は江戸時代の医師が薬の調合に使う匙を「これはもう治らない」と投げる様から来てるという。日常会話ではなかなか使わない言い回しだけど、昔、彼女にリアルに匙を投げられたことがある。 彼女は金属やプラスチックのスプーンが嫌いだった。口に入れたときの感触が苦手なのだとか。どこで買ったかは忘れたけど、この木のスプーンは彼女のお気に入りで、スープ、アイスクリーム、ヨーグルト、うちに来て何

          【一日一捨】 木のスプーン

          【一日一捨】 確定申告の書類

          離婚した直後、あまりの寂しさにとち狂って結構相談所に駆け込んだことがある。 これからまた誰かと一から出会って、恋愛して、愛を育んで、結婚、という長い道のりを考えると気が遠くなって、今更もう無理だ、そんな時間はかけてられないと絶望し、これはもう結婚相談所しかないと思ったのだ。 マッチングアプリと違って結婚相談所はめちゃくちゃしっかりしてる。独身証明書なるものを役所でもらって提出しなければならないし、年収も自己申告ではなくきちんと源泉のコピーを出さねばならない。当時すでにフリー

          【一日一捨】 確定申告の書類

          【一日一捨】 チェコのビール瓶

          何年か前、彼女の友人宅で開かれたホームパーティーに行った。 彼女の友人である篠宮さんと僕は会ったことはなく、他に来ていた何人かも僕は面識がない人ばかりだった。その中のひとりにチェコ人の男性がいた。 チェコ人の彼は、篠宮さんがチェコ旅行に行ったときに知り合って仲良くなったという。親日家で毎年一度は日本に遊びにくるらしい。そんなふうに外国に旅行に行って、そこで仲良くなった現地の人とその後も親交が続くなんて僕にはとてもできそうにない。 僕はチェコには行ったことがなく、プラハとい

          【一日一捨】 チェコのビール瓶

          【一日一捨】 ゴミ箱

          元々はゴミ箱じゃなかった。 ゴミ箱として売られていたかもしれないけど、傘立てとして使っていた。物を捨てられない僕は出先で雨に降られたときに買ったビニール傘が捨てられず溜まる一方だった。小さな傘立てでは足りずに、これに10本近くの傘を突っ込んでいた。いいかげん馬鹿らしくなって、引っ越しを機にビニール傘は全部捨てた。じゃあ、この傘立てもいらなくなったかといえば、やはり捨てられず、そのままゴミ捨てとして使うことにした。「捨てられないから、捨てるものを入れる用途にするって、なんかウロ

          【一日一捨】 ゴミ箱

          【一日一捨】 BIRKENSTOCKのサンダル

          宮古島に持って行って、履いた。 街中を歩くにはBIRKENSTOCKのサンダルはとても履きやすく歩き心地もいいけど、砂浜には向かないよね。なんでそんなの持ってきたの?と、一緒に行った彼女に言われた。たしかに。ビーチサンダルと違って砂まみれになるとシャワーで洗い流せないし、濡れるとなかなか乾かない。そもそも「なるだけ濡らさないで下さい、レザーが傷みます」と店員さんが言ってたっけ。 東京に帰って、キャリーケースからビニールに入れたサンダルを出したら、玄関にパラパラと砂がこぼれ落

          【一日一捨】 BIRKENSTOCKのサンダル

          【一日一捨】 靴紐

          靴紐を買う夢を見た。同僚の星野さんと客先から会社に戻る途中、商店街の靴屋に突然駆け込んで、スニーカーの靴紐だけを買うという夢。 星野さんが不思議そうに尋ねる。 「靴紐だけ買ってどうすんの?」 「靴紐って、いざというときにいろいろ役に立つんですよ」 「たとえば?」 「強盗を捕まえたとき縛り上げたり、飛行機事故にあってドアが吹っ飛んで外に放り出されそうになったとき、靴紐で自分の身体と座席を結んで、助かったり」 「なるほど!」 いや、なるほどじゃないだろ。 目が覚めてから、いろい

          【一日一捨】 靴紐

          【一日一捨】 黒歴史

          久しぶりに実家に帰る。実家にはもう僕の部屋はない。僕の私物も置いてない。物理的に捨てるものはない。そのかわり、いろいろなことを思い出す。 実家のある駅は、新しくエスカレーターができたりしたけど、改札を出てバスターミナルに向かう殺風景な階段は小学生の頃から変わらない。この階段を降りるとき、昨日のことのように思い出す光景がある。 小学6年生のとき、同じ班の男女5人と電車で30分ほどの場所にある大きな公園に遊びに行った。その中のひとりの女子に僕は片思いをしていた。グループでとは

          【一日一捨】 黒歴史

          【一日一捨】 よこしまな思い出

          久しぶりに実家に帰る。実家にはもう僕の部屋はない。僕の私物も置いてない。物理的に捨てるものはない。そのかわり、いろいろなことを思い出す。 実家のある駅は、僕が小学生の頃から大きくは変わっていない。駅前にあるバス停も当時のままだ。バス停の向こうには、何百棟とある団地群が拡がる。 たしか小学4年生くらいのときのこと。季節は夏だった。駅前にある売店でお気に入りのカップアイスを買って食べながら歩いていた。棒付きアイスならともかく、カップアイスの食べ歩きというのはどうなんだと当時自

          【一日一捨】 よこしまな思い出

          【一日一捨】 Kindle端末

          初めて買ったKindle端末は、ページをめくる操作に若干のストレスはあったものの、paperwhiteは目にも優しく、読書がとても捗った。特に漫画を読むには最適で、続きが気になればその場でポチッと次の巻が買える。基本、小説や好きな作家の本は紙で揃えたい派なのだけど、巻数の多い漫画は紙で買っているとあっという間に本棚がいっぱいになる。Kindleだと端末ひとつですむ。 ちょっと気になるベストセラーや新書なんかを買うにも都合がいい。リアル書店に平積みされたベストセラー本や賞を取っ

          【一日一捨】 Kindle端末

          【一日一捨】 水中メガネ用度付きレンズ

          モテ期というものがあるとすれば、間違いなくあの頃だ。 その夜はいわゆる合コン的な飲み会だった。が、翌日は税務調査があり、当時借りていた仕事場兼自宅に朝一番で税理士さんと税務署の調査員が来ることになっていた。税理士さん曰く、特に何か問題があったわけでなく、ただ順番が回ってきただけだという。とはいえ、朝の8時半に来るというので、今夜は早めに休みたいと思いながらも飲み会に出かけた。 あまり気が進まないまま参加した飲み会だったけれど、友達が連れてきたアヤちゃんという女の子と思いのほ

          【一日一捨】 水中メガネ用度付きレンズ