5、あとがき

私の3冊目の短編集を読んでくださり、ありがとうございます。
読んで下さった方にはすでにおわかりのことだと思いますが、作品が全て古いです!

3冊目の短編集には私の「神話時代」とも言えるような作品を揃えてみました。


大学時代から30歳くらいになるまで私はに神話とか、童話とか、
古代ギリシアとかローマ時代のものを読むのが本当に好きでして、
どのくらい好きかというと大学時代に、お金がなくて始めた

キャバクラのバイトで
おじいちゃんのお客さんに
「最近何か楽しいことないかね?」と聞かれたところ
「ギリシア神話がとっても楽しいんです!!」といって、
ペルセポネーを冥界の王ハデスがさらった事から紆余曲折の末
春という季節が出来たという神話を、膝に伸びてきたおじいちゃんの手を払いのけつつ
嬉々として話して聞かせるという…
とんちんかんで、はた迷惑なほど好きだったのです。


なぜそんなにも好きだったのか。
後に本で読んだのですが、神話や童話というものは私たちの心の内面を探求する道具なのだそうです。


大学生から30歳という、意識がはっきりして来て、大人らしきものになるまでの間
私は自分の内面を探求する必要が大いにあったのだと今では思っております。


そのころのあれやこれやから育まれたこれら4編の作品は
やはりそれぞれ思い出深いものです。

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「オデュオスの恋人」と「森の王」は

絵がどうしてもうまく描けなくて、2回描き直しましたし…


「幻想迷宮」は天才的な絵師という設定に、自分の画力が全く追い付かず本当に苦労しました。 


最後の作品「凶報の使者イクシオン」は、プチフラワー(現在のフラワーズ)で佳作を受賞し
当時は「吉報の使者」というタイトルで私の作品として初めて雑誌に掲載されました。


とっても嬉しかったのですが、自分の絵が他の素晴らしい漫画家の作品に
たち混じって掲載されている恐怖に、自分ではどうしても雑誌が買えず
「何で買ってないのよ!?」と友人が買ってきてくれた2冊を今でも大切に保管してあります。


思うに、発想と画力がかみ合わずに苦しい思いをした作品群でもあります。
今は現代の日本が舞台となっている作品「女王のトランク」を書いています。
やっと心の探求の旅が現在に追いついて来たのでしょうか? 


もう私は、あれだけ好きだった神話や童話を読みません。
しかし「女王のトランク」は多くの方から「シンデレラストーリー」と言われておりまして
私の神話・童話好きの一角は、どうしても作品に現れてくるようです。


まだ自分の心がよくわからず
もやもやと思いつく話が神話のような形をとることが多かった頃のつたない作品群ですが
少しでもお心に届けば幸いです。

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