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2020年10月の記事一覧

幼少時の記憶

幼少時の記憶

 洪水の風景の最初の記憶は私が三歳の時である。弟が二階の柱に縛られていて、村中が流れる泥水湖のようになった。死んだ牛や、豚や、ヤギ、鶏、壊れた家具類などが流されていた。小さな庭の桐の木の細い小枝にはたくさんの蛇が巻き付いていた。毎年のように起こるその泥水湖になった村に町の消防団の人が船を漕ぎ、おにぎりを運んでくる。そのおにぎりの味は特にうまかった。
 私達は冬でも、夏の格好であった。足は裸足である

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「擾乱」

「擾乱」

「擾乱」

 

ああ、眩暈、吐き気、脳味噌は軋み痺れ、心身はのたうち........  

想像を絶する狂おしい情念、観念の炎に焼かれて俺の魂はついに気化された。だが、これは闇の宴の序章にすぎなかった。  

この極めつけの狂人と区別もつかぬ言動をしかと観る者はいまい。

この俺自身ですら原始人並と痛感する。共通の基盤となる土台の欠片も無い未知の状況に陥った者しか共感しまい。

だが、その時

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私の幼少期「自伝」より一部抜粋

私の幼少期「自伝」より一部抜粋

「自伝」より一部抜粋

(前略)
 祖母は私が小学二年の時に火傷が原因で死んだ。
 冬の寒い日に火鉢を跨いで自分の身体を暖めていたのが命取りになった。垂れていた着物の紐が燃えて着物全体に広がったのである。気がついた時にはすでに手遅れであった。その日の夜に息絶えた。

 祖母が亡くなってから私の家庭の歯車が狂いだした。祖母の死で私の家族は村にとっては「よそ者」となった。
 村は秋になると台風で筑後川

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「死神」

「死神」

「人はパンのみに生きるにあらず」だと、ふん!見るがいい、荒野の対決以

降、人間共は俺の意のままである。

所詮、生存とは他の生物の犠牲なく存続不可能である。人間にそれを超え

うる能力を与えられていたとしてもその秘密に至るまでの苦悩に耐えうる者

などざらにはいない。故に人は限りあるこの世の生を楽しむのだ。虫けらの

ような連中を信じようとしたお前の負けだ。奴等によってお前は磔にされ

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「悲劇の果実」

「悲劇の果実」

「悲劇の果実」

 古より隠されしその禁断の果実を食したる者の運命は非業ならぬ業を背負い生きると知ることにある。

 秘伝書には秘密の蜜とも記されているのだが、その蜜は生存を抹殺する猛毒でもある。ゆえに使用法自体も果実を食いたる者しか知ることは出来ない。
 いつの世にもこの果実を食べたと錯覚する者多し。今日でもそのように語りつつ「悲劇人」と称する人物達は八百屋に並ぶ果実さながらにそこかしこに存在す

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いろ(ロ)

いろ(ロ)

いろ(ロ)

いろはにほへとちりぬるをちりぬるをちりぬるをちりちりぬるぬるをちるちりもせずちるちることこれいかんせんいかんせんいろはにほへとちりぬるをちりぬるをちりにちらずしてちりぬるをちりもせずちりぬるをちりぬるふりねむりねむりねむるをちりというちるといふいろくるいひとひとびとこれあさきゆめといわゆるいわゆるひといたれどそれしるひとなくひといろはにほへとほえてちりちりちるというひとひとひとくるし

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「階段に座る男」

「階段に座る男」

「階段に座る男」

地下鉄の銀座駅出口に近い階段の中ほどに中年の浮浪者らしき男が座っていた。

私はその男と眼が合った。男はにやりと笑みを浮かべて軽く会釈をした。
その瞬間私の全身に或る種の戦慄が走った。私は特に階段を上りその男を通り過ぎた。
だが、私は自分に走った感動にも似た戦慄が何故起きたのかと思い、少し離れた場所からその男の様子を観ていた。
その男は見境なく会釈をしている訳でもない。だが、時

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「パッション」 拙著 詩集・暗き淵より

「パッション」 拙著 詩集・暗き淵より

「パッション」 拙著 詩集・暗き淵より

激しい轟音と共に俺の意識は上昇し、発光に包まれ、失神した。

俺の全細胞は霊光に焼かれた。名状し難い至福と苦痛によって俺の意識は変

容した―――

 狂おしい覚醒が灼熱した・・・・・・

 心身はのたうち、俺は苦痛の極限状態の甘美に痺れた。

 地上を超えた絆が俺を捕らえては引きずり、粉々にした・・・・・・

俺の眼前に殉教者の亡霊共が嵐の如く容赦無くま

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「殉教 」

「殉教 」

「殉教 」

生も死も変容にすぎぬ。これを言い切る者は

この世では死者となる。

 
意識自体は不可知なる実体であり、一切は意識である。
 
変容する意識の意識化、これが我々の生である。
 
一切の現象は比喩にすぎぬ。
全てを相対化して惰眠を貪り眠る者よ。
電光に打たれよ。雷鳴に怯えよ。
さては無の恐怖を味わえ、底無しの絶望を、孤独を、絶する悲哀を・・・・・・。

愛を知らぬ者共よ、自虐を存分に

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いろ(イ)

いろ(イ)

いろ(イ)

ひといろいろありいろいろありひといろにまみれいろにまじれどいろをしらずひといろをみずいろをきらいきらいひたるをしらずいろをきらうひとのいろいろひたりてひたるをしらずいろくるいていろきらうかなしみていろをきらえどはなるることなしはなるるはいろをしらずいろをしらずいろをしらずねなしうきたるひとひとびといろいろありていろのいろしらずひいろのひいろのかなしみのいろひかんらくかんのいろいろ

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「ふみくるひ」

「ふみくるひ」

「ふみくるひ」

ふみくるひたるひとひにひびにされどこれいかむともいしがたきものあり

されどこれさだめとしるひとやむことなしやなすやこれいかむともしがた
きものなれば

よよのながれにうきつしづみつつらつらつれづれしつようにふみくるひにひ

たひたりいりいるほかなしやとふみくるひひとやむことなしやむることなし

やをひをふみをくるひかきかきまくるひなり

「奇妙なる光景」

「奇妙なる光景」

「奇妙なる光景」           

               
                     
おれの眼前に繰り広げられる奇妙な光景が奇異に感じたのを今では薄れた記憶のなかにしか見いだせぬのはこれこそ奇異なことではないかとも思うのだがそれすらも自分の記憶なのか現実に見たものであるのかの境界が曖昧模糊とした状態であるのは今のおれには確かめるための基準すらあやふやなのでただ眼

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「親殺し」オイディプス的体験(「自叙伝」より抜粋。)

「親殺し」オイディプス的体験(「自叙伝」より抜粋。)

「親殺し」オイディプス的体験(「自叙伝」より抜粋。)

 これは私が24歳の時に体験した現実の事件である。前後の詳細は省くが此の事件の意味を私は2年後に強烈な内的神秘体験を通して理解した。
併せて個人史と人類史が密に連動しているのも、である。

 私は言葉を必要とした。此の時から他者との交流の為に言葉の世界に踏み込んだ。
私は言葉を用いるにあたり骨格は哲学、肉付けは心理学、様々な状況での人間との

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