上沢直之(背番号15)

プロ野球で投手を務める選手、またはそのファンであれば、その多くがほんの少しだけでも「自分(好きな選手)に背番号18を!」と願ったこともあるだろう。というのも、プロ野球の世界における背番号18とは、大抵の場合「エース級の、またはそれに準ずる投手、或いは球団から非常に大きな期待を寄せられている若手投手」に与えられるものだからである。

しかし、これは個人の感想ではあるが、上沢選手に関しては「今の背番号が15なのが本当に嬉しいなぁ」と感じる。

その理由を解説する前に、まずは上沢選手の背番号遍歴について簡単に解説しよう。
上沢選手はNPB球団入団以来、これまでに現行のものを含めて2つの背番号を背負っている。
まず、ルーキーイヤーである2012年から2017年までの6シーズンは「63」を背負った。
通常、背番号の数字は「18」「27」(ファイターズなら「11」も)など特殊な意味合いを持つ数字を除き、基本的には期待度が高いほど小さい数字を与えられる傾向にある。上沢選手の場合、「最終学歴が(野球界隈視点では)ほぼ無名高校の卒業」「甲子園出場経験なし」「ドラフト6位(ファイターズ同期入団で一番下が7位)」であったことを考えると背番号63は妥当なのかもしれない。
そして、2018年から現在(2023年)まで、これまた6シーズンで「15」を背負っている。

この背番号15に込められた意味合いがマジでエモい!!!本当に良すぎる!!!!!!!!!

まず背番号15を貰った経緯だが、一言で説明すると、前任者のルイス・メンドーサ選手が2017年途中で退団し空き番号となったため、翌年(2018年)から上沢選手がその番号を埋める形となった。
ぶっちゃけ経緯に関してはたったこれだけの話である。

さて、その背番号15に込められた意味合いであるが。その内容について、2018年5月23日発表のニュース記事でこう語られている。

昨年12月、契約更改後の会見で上沢はこんな話をしていた。「来年球団は15周年。僕の背番号も15に変わるということで、球団からは、こういう数字は君にとっていいきっかけになると思うから、来年は僕の年になってほしいと言われました」。

急成長を遂げる北海道日本ハム上沢直之 24歳右腕に託された新背番号15と期待|パ・リーグ.com|プロ野球

超すごくない???球団、上沢選手のことめっちゃ好きじゃん!!!すごい期待してんじゃん!!!!!!

そう、上沢選手が新たに背番号15を継承することとなった、その初年度である2018年とは、ファイターズが「北海道日本ハムファイターズ」となり本拠地を北海道へ移転してから15周年である、という大きな節目の年でもあったのだ。
よくちょうどその時に都合良く背番号15が空いたものだなあ、と感心するばかりでもある。
そんな「ファイターズ北海道移転15周年を目前に背番号15が空いた」という中々に面白いこの状況。首脳陣や球団フロントなどの間で「背番号15は彼(上沢選手)に任せよう」という話し合いが行われたのだと思うと、感情が滾って仕方がない。

(追記:今になって思うと、上沢選手ファンの末端である私から見ても、2017年度シーズン終了後の上沢選手ほど背番号15の後任として適当な選手は恐らくいません。他に任せられてもおかしくない選手はほとんど全員既にそれなりの良い背番号を貰っていたので。強いて言うなら高梨裕稔選手(当時背番号39)か2018年入団の新外国人選手くらいかな……)

このエピソード、私の中では「背番号18を貰う」よりもとてもエモい!!!奇跡!!!と感じる。

仮に上沢選手が背番号18を貰えたとしても、それはそれで「好きな選手が超しっかりエース扱いされてる!!!嬉しい!!!」と喜んだことだろうが。
しかし、「背番号18の譲渡を以て後継者を"名実を伴ったエース"とする」のはぶっちゃけいつだって可能だ。それに対し、「球団の北海道移転15周年と同年に/背番号15を譲渡することで/後継者を"球団移転15周年の顔"とする」のはたった一度しかできない。
一応、「球団移転n周年と同年に特定選手へ背番号nを譲渡すること」自体はこれまたいつでもできることである。しかし、仮に今年以降のどこかでこれをやるとなると、背番号の数字は21以上となってしまう。正直、数字が二十番台以降となると5の倍数などキリのいい数字でなければ微妙にカッコつかないことであろう。

とにかく、上沢選手が背番号15を背負えているのは本当に奇跡なんだ!!!という、このたった一言で表せる長話でしたとさ。






少し余談となるが。増井浩俊選手を前々任者、金子千尋選手を前任者とする背番号19。もし上沢選手が2022年シーズン終了まで一桁台と十番台以外の背番号を持っていたとしたら、今年から背番号19を任される選手は玉井選手ではなく上沢選手だった気もしなくはない。

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