伊藤大海選手が利己主義的と見られがちなことについての個人的見解

結論から言うと、伊藤選手の場合ちょっと良くない方向に行ってるなぁ、と思いつつも、やっぱり利己主義的、つまり程よく我儘であってこそ典型的な先発投手なんだと。

SNSが隆盛になり、野球ファンが選手の一挙一動を一昔前よりさらに注目するようになったこの現代社会。なので、伊藤選手に対して、正直に言うと｢せめて完全なる第三者が大勢で貴方を見ている時だけでも、あともうちょっとだけチームメイトを思いやる言動や振る舞いはできないかい？｣とは少し感じている。

しかし、先述の通り、先発投手、特にエースたるもの、程よく我儘であるのが普通だろうしその姿勢は貫いてほしい。考えてみてください。｢自分の理想のエース像に近づくため、ひたすら愚直に探求し努力する姿｣って、めちゃくちゃカッコよくないですか？(個人的には横浜DeNAベイスターズに現在所属しているバウアー選手がまさにゴリッゴリにそういう選手だと感じています)
著者は野球未経験ではあるが、プロの世界で成績を残しつつ理想のエース像を追い求めるとなると、相当量の勉強と努力が必要であることだけは何となくだが理解している。その"相当量の勉強と努力"と並行して他人を思いやる余裕を持つのはかなり難しいことなのではないか？と。

となると、伊藤選手に限らず、理想のエース像を追い求め勉強と努力を積み重ねる選手は、利己主義的な性格を形成している。それがよくあることなのは必然なのかな、と。

とにかく、伊藤選手には、むしろ利己主義的な一面を完全に矯正するのではなく、良い方向で活かして欲しい。たぶん今でもその利己主義的な一面を｢理想のエース像への探求と努力の結果(そしてそれはめちゃくちゃカッコいい)｣と解釈して応援しているファンはたくさんいるだろう。あとは、ファンの期待に応えられるような成績を残していければいいな、と、他選手ファンながら切に願う。

ところで、ここまでさんざん先発投手の性格について勝手に持論を述べてきたわけだが。その点から考えると、むしろ伊藤選手よりもずっと異端な先発投手だと個人的に感じるのがチームメイトの上沢選手である。

現役ファイターズファンならご存知の通り、上沢選手はよっぽど調子が悪くない限り、毎登板6~8イニングは投げる、いわゆるイニングイーターな先発投手である。もし｢ファイターズの現エースは誰だ論争｣があったら、1人は必ず彼の名前を挙げるであろう。そんな好投手でもある。投球内容重視派には｢いやエースは加藤｣と反論されるまでがお約束

上沢は人がいい。人当たりもいいし、周りを気にしすぎちゃうところがある。言葉が難しいですけど…自分のことだけを考えてもいいと思う。中心選手なので周りのことも気にしないといけないですけど、もうちょっと自己中でもいいのかなと思います。

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これは、2019年～2022年まで上沢選手とチームメイトだった金子千尋さんによる上沢評の一部である。

｢自分のことだけを考えてもいいと思う｣

こんな評価されるエース扱いの先発投手見たことあります？？？｢ウチのエースの○○は周りへの気配りが上手｣という評価をされるエースならたまにいる。｢もっと自己中になってもいいんだよ！｣と評価されるエースは流石に他であまり見たことがない。

元々、この金子さんの発言が世に出る前から、個人的に｢上沢は良く言えば常に周囲への思い遣りがあり、悪く言えば自己犠牲的な一面が強いのではないか｣と感じていた。2022年7月16日の試合では、7回を投げている途中に打球が右足に当たった。しかし、なんとその時点で降板しなかったどころか8回1死まで投げきってしまった。後にこの怪我は｢右第3趾基節骨骨折｣と診断され、8月14日まで実戦復帰出来ない重傷だったことを思うと、何とも恐ろしいエピソードである。
他にも、上沢選手のいい人エピソードや近しい人間による｢上沢は人が良すぎる｣といった評価は調べたらちょっとは出てくるので、もし興味があれば少しだけでも調べてみて欲しい。

……とにかく、上沢選手はエース扱いの先発投手としてはかなり異端な性格をしている。伊藤選手はちょっと良くない方向へ行ってるだけで、性格自体はエースを目指す先発投手の典型的なソレの範疇に収まっているとは感じるが、上沢選手はエースを目指す先発投手としてはあまりにも周りが見えすぎているし対応が丁寧すぎる。

私は、そんな上沢選手を｢良い悪い｣云々ではなく｢怖い｣すら感じることもある。こんなにエース的な性格と真逆な選手でもエースになれるんだ……という畏怖の気持ちがある。もし上沢選手が今季の公式戦終了後にメジャーリーグへ挑戦するプランを立てていなければ、今季の選手会長は上沢選手が務める予定だったというからそれも驚きである。現在のファイターズにおいて、選手会長は事実上キャプテンとほぼイコールの役職なのだが、エースとキャプテンを兼任するというのもちょっと珍しいなと感じるし、それだけ周囲からの信頼を得られているのであろう。上沢選手とは、人間としても良い意味で何とも恐ろしい選手である。

……結局、上沢選手の話ばかりになってしまった。著者の悪癖である。