沖 青磁

女です。1000字程度、ちょっとした空き時間に読める小話エッセイを書いてます。毒にも薬…

沖 青磁

女です。1000字程度、ちょっとした空き時間に読める小話エッセイを書いてます。毒にも薬にもならない駄文が目標! 1記事で1苦笑(?)して頂ければ幸せです。書き溜めた長編小説をどうやって世に出すか思案中。

マガジン

  • 個人的格納庫 後ほど読ませて頂きます

    時間のある時にじっくりゆっくり読みたい記事を入れてます。 移動中などに少しずつ読ませていただきますので、亀の歩みです。

  • 届けてくれてありがとう《大切な人の、大切な思い》

    気安くコメントできないけれど、心に残った記事の数々。大切に読ませていただきます。

  • 美しい青磁色の世界

    大好きな青磁の焼きもの、その他美しい青色にまつわる記事を集めています。

  • 勇気・元気をいただいた記事

    クリエーターの方々の、さまざまな考え方やプロフィールをまとめています。 よし頑張るぞって思えます。

  • こらえきれない笑い

    一人で笑っても大丈夫な場所で読むことをお勧めします。

記事一覧

固定された記事

小話エッセイ/兄の愛読書が「赤毛のアン」であると知ったとき①

想像していただきたい。 20歳、ニキビでお悩み、彼女いたことナシの実家暮らし、 京大文学部に現役合格したくせに突如休学、 東大医学部に入り直すと宣うイカレ変人であっ…

沖 青磁
10か月前
149

小話エッセイ/ウキウキ通りを行ったりきたり

先日、noteで見かけた記事(どなたのものか控え忘れてしまいました、スミマセン)の一節が心に残っている。 その一節とは、うろ覚えだが  ――思っても詮無いことを、い…

沖 青磁
9か月前
156

小話エッセイ/黑人魚(ブラックマーメイド)③ 完結

↓↓②はコチラ↓↓ ==事件翌日== 「黒人魚ったら、涙も枯れて出ないみたい」 クローゼット内では、お冬はじめ古参の洋服たちが心配そうな声を上げていた。 …

沖 青磁
9か月前
98

小話エッセイ/黑人魚(ブラックマーメイド)②

↓↓①はコチラ↓↓ その日も、常と変わらぬ平凡な日曜として夕暮れを迎えるはずであった。 いつものイオン、いつものスタバ、そしていつものエッセイ書き。 恋愛エ…

沖 青磁
9か月前
117

小話エッセイ|黑人魚(ブラックマーメイド)①

==2023年7月某日== ~とあるマンションのクローゼットにて~ ーーねえ、ほらタグを見て?  「Fabric made in France」って書いてあるでしょ。 私こうみえてフランス…

沖 青磁
9か月前
168

エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 後編~

↓↓中編はこちら↓↓ 3.お花畑 (本文1259字) あのゴタゴタがあってから、暫くののち。 エッちゃんはお店を辞めていきました。 わざわざ私がお店にいる時を狙って…

沖 青磁
9か月前
104

エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 中編~

↓↓前編はこちら↓↓ 2.エッちゃん (本文1271字) 大学に入って、一人暮らしにも慣れてきて、 生まれて初めて彼氏ができた・・。 まさに青春まっさかり。地に足の…

沖 青磁
9か月前
117

エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 前編~

恋ーー。 それは一度迷い込めば、決して逃れられない秘密の花園。 この“思い出エッセイ・恋のあとさき”では、修羅場に二股、先輩方からのとっちめと、毎日が恋のジェット…

沖 青磁
9か月前
153

小話エッセイ/助けをもとめた野球少年

◆助けをもとめた野球少年今朝、汗をかきながら駅まで来ると、 陽に焼けた中学生らしき野球少年たちが、改札前で大きな声を出していました。 「待って待って、コレどうや…

沖 青磁
9か月前
191

今週も暑かったですね。
記事のなかでもお伝えしておりますが、これまで毎日更新していたエッセイは、週3回程度とさせていただきます。
次回は、今のところ8/1(火)予定です。
今後ともよろしくお願いいたします。

沖 青磁
9か月前
103

小話エッセイ☆プロポリスキャンディによろしく

ピンポーン。 下がって、係員にお知らせください。 隣で鳴った自動改札機の音声に、ドキリと足を止めた。 ーーよかった、私じゃなかった。 手元のスイカを確認して、ちょ…

沖 青磁
10か月前
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無人島の 天子とならば 涼しかろ (夏目漱石)
こういうときに「禿同」と言うのでしょうか。投げやりのような、開き直ったような、でも可笑しみのある漱石の俳句が大好きです。
※本日の小話エッセイはお休みです。

沖 青磁
10か月前
92

小話エッセイ/Googleの検索窓からみえたもの

節操のなさを楽しんで頂ければ・・ ここ1~2日で、私が検索窓に打ち込んだ文言です。 「キングダム 69巻 ネタバレ」 最新刊の電子書籍をポチるべきか、悩んだ末の暴…

沖 青磁
10か月前
94

小話エッセイ/苦手が大好きに変わるとき

偏見の多い生涯を送って来ました。 親兄弟や友達の影響、身勝手な先入観は、 大人になってもなかなか抜けるものではありません。 今回は、そんなハードルを乗り越えて 「…

沖 青磁
10か月前
115

小話エッセイ/これからブーツカットを穿く君たちへ

「フゥゥーん」 かつて、私の姿を品定めするように眺め回した母は、ニヤニヤしながらこう言ったものです。 「お母さんも昔着てたわぁ、そういうの」 ローライズのブーツカ…

沖 青磁
10か月前
93

小話エッセイ/解釈の難しい“おすそ分け”

以前住んでいた世田谷の激安八百屋にて。 「これ、食べきれないから1個あげるわ」 見知らぬおばさまが、2房100円で買われたバナナを、会計の済んだこちらのカゴへぽんと…

沖 青磁
10か月前
199
小話エッセイ/兄の愛読書が「赤毛のアン」であると知ったとき①

小話エッセイ/兄の愛読書が「赤毛のアン」であると知ったとき①

想像していただきたい。

20歳、ニキビでお悩み、彼女いたことナシの実家暮らし、
京大文学部に現役合格したくせに突如休学、
東大医学部に入り直すと宣うイカレ変人であった兄の、

参考書まみれの自室の本棚の特等席(目線よりもちょっと上のど真ん中。ブックエンドで仕切ってある)に、

可憐な赤い背表紙の「赤毛のアン」シリーズ文庫本がズラリ並んでいるのを目撃した妹の心境を。

――はあ? 赤毛のアンて。

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小話エッセイ/ウキウキ通りを行ったりきたり

小話エッセイ/ウキウキ通りを行ったりきたり

先日、noteで見かけた記事(どなたのものか控え忘れてしまいました、スミマセン)の一節が心に残っている。

その一節とは、うろ覚えだが 

――思っても詮無いことを、いつまでもグジグジと考えていた。

といったような内容の文章であったと記憶している。

グジグジ。最近はあまり聞かない、ちょっと懐かしい響きだ。
「くよくよ」とか「歯切れ悪く」といった意味合いで、上方落語なんかに出てきそうな良き言葉。

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小話エッセイ/黑人魚(ブラックマーメイド)③ 完結

小話エッセイ/黑人魚(ブラックマーメイド)③ 完結

↓↓②はコチラ↓↓

==事件翌日==

「黒人魚ったら、涙も枯れて出ないみたい」
クローゼット内では、お冬はじめ古参の洋服たちが心配そうな声を上げていた。

フランス生まれを誇った黒い生地は、やわらかくて繊細。空いた穴はどうにも目立って仕方なかった。
汚れた部分は御主人がそっと洗ったものの、絞ることもできず風呂場に吊るされたままである。

「お直しのお店に出すのかしら」
「そんな浪

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小話エッセイ/黑人魚(ブラックマーメイド)②

小話エッセイ/黑人魚(ブラックマーメイド)②

↓↓①はコチラ↓↓

その日も、常と変わらぬ平凡な日曜として夕暮れを迎えるはずであった。

いつものイオン、いつものスタバ、そしていつものエッセイ書き。

恋愛エッセイは中止した。
読み手の冷笑がこちらに伝わってくるようで居たたまれなかった。
これまで書き溜めた長編小説も、きっと全部ダメなのだ。おしまいなのだ。ああ!
・・そんなネガティブな思考の流れさえ、いつも通りといえばそうであった。

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小話エッセイ|黑人魚(ブラックマーメイド)①

小話エッセイ|黑人魚(ブラックマーメイド)①

==2023年7月某日==
~とあるマンションのクローゼットにて~

ーーねえ、ほらタグを見て? 
「Fabric made in France」って書いてあるでしょ。
私こうみえてフランスで生まれましたの。

手触りがいいでしょう。
綿と麻、それにシルクがほんの少し入ったカットソー生地。
ま、それぞれの原料の由来は忘れたけれど、フランスに居たことは確かよ。

ーーえ? ラインがキレイだって?

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エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 後編~

エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 後編~

↓↓中編はこちら↓↓

3.お花畑

(本文1259字)

あのゴタゴタがあってから、暫くののち。
エッちゃんはお店を辞めていきました。

わざわざ私がお店にいる時を狙ってエプロンを返しに来た彼女。
たつ鳥跡を濁しまくりの心臓に、内心舌を巻いたものです。

「青ちゃん、ヒデと付き合ってくれてありがとな」
エッちゃんを見送った後、お店の奥さん(ヒデくんのお母さん)は言いました。
「これからもよろしく

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エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 中編~

エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 中編~

↓↓前編はこちら↓↓

2.エッちゃん

(本文1271字)

大学に入って、一人暮らしにも慣れてきて、
生まれて初めて彼氏ができた・・。

まさに青春まっさかり。地に足のつかない毎日でした。
あまりにも無我夢中で、当時のことは断片的にしか思い出せないほど。

けれど、忘れたくても忘れられないのがエッちゃんとのこと。
「こないだ妊婦と間違えて席譲られてもうたわ」と笑う、チャーミングな方でした。

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エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 前編~

エッセイ・恋のあとさき ~突撃チューリップ編 前編~

恋ーー。
それは一度迷い込めば、決して逃れられない秘密の花園。
この“思い出エッセイ・恋のあとさき”では、修羅場に二股、先輩方からのとっちめと、毎日が恋のジェットコースター状態であった若き頃をふり返りつつ考察して参ります。
(本文1289字)

1.咲いた咲いた

時は平成。所は京都。
駅前の生花店でバイトをしていた大学2年生の私・青子(19)が、
店の跡取り息子・ヒデくん(21)とお付き合いする

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小話エッセイ/助けをもとめた野球少年

小話エッセイ/助けをもとめた野球少年

◆助けをもとめた野球少年今朝、汗をかきながら駅まで来ると、
陽に焼けた中学生らしき野球少年たちが、改札前で大きな声を出していました。

「待って待って、コレどうやんの」
改札の外に取り残されたらしい男の子が慌てています。

「カード入れて、チャージってとこ押して」
改札を通過済の仲間たちが、それに応える。

「チャージじゃないよ。切符、どこで買えばいいの」
という男の子の言葉に、

「次を逃したら

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今週も暑かったですね。
記事のなかでもお伝えしておりますが、これまで毎日更新していたエッセイは、週3回程度とさせていただきます。
次回は、今のところ8/1(火)予定です。
今後ともよろしくお願いいたします。

小話エッセイ☆プロポリスキャンディによろしく

小話エッセイ☆プロポリスキャンディによろしく

ピンポーン。
下がって、係員にお知らせください。

隣で鳴った自動改札機の音声に、ドキリと足を止めた。

ーーよかった、私じゃなかった。
手元のスイカを確認して、ちょっと胸をなでおろす。

実は私は、何かを何かにかざすという動作が苦手なのだ。
何か欠陥があるのでは、と疑うほどである。

少しでも気を抜いていると、スイカをかざすべき改札機に、自宅のカードキーをあてがっている。
名刺入れをやるときもし

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無人島の 天子とならば 涼しかろ (夏目漱石)
こういうときに「禿同」と言うのでしょうか。投げやりのような、開き直ったような、でも可笑しみのある漱石の俳句が大好きです。
※本日の小話エッセイはお休みです。

小話エッセイ/Googleの検索窓からみえたもの

小話エッセイ/Googleの検索窓からみえたもの

節操のなさを楽しんで頂ければ・・
ここ1~2日で、私が検索窓に打ち込んだ文言です。

「キングダム 69巻 ネタバレ」

最新刊の電子書籍をポチるべきか、悩んだ末の暴挙です。

「光る君へ wiki」

来年の大河ドラマのキャスト相関図がネットに流れていて、気になったので。
今のところ、劇中で源氏物語が再現される雰囲気は無いようですが、
果たしてそれで一年間もつのでしょうか?

「ゲゲゲの鬼太郎 

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小話エッセイ/苦手が大好きに変わるとき

小話エッセイ/苦手が大好きに変わるとき

偏見の多い生涯を送って来ました。

親兄弟や友達の影響、身勝手な先入観は、
大人になってもなかなか抜けるものではありません。

今回は、そんなハードルを乗り越えて
「苦手/どうでもいい⇒大好き」へと華麗なる変貌を遂げた物事を
4つ厳選してご紹介いたします。

◆焼海苔

母の作るお弁当の、蓋裏にへばりついたベタベタの黒い物体。
箸でこそげ落とすのが面倒というだけの代物でした。

けれど違った。

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小話エッセイ/これからブーツカットを穿く君たちへ

小話エッセイ/これからブーツカットを穿く君たちへ

「フゥゥーん」
かつて、私の姿を品定めするように眺め回した母は、ニヤニヤしながらこう言ったものです。
「お母さんも昔着てたわぁ、そういうの」

ローライズのブーツカットに、ピタピタTシャツ。
爆発パーマだった私へのコメントです。
「リバイバルやな。あの頃のジーパン捨てるんじゃなかったわ」

——違うわ。
若い私は、なんだかバカにされたような気持ちでソッポを向きました。
あんたらのマネでは決してない

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小話エッセイ/解釈の難しい“おすそ分け”

小話エッセイ/解釈の難しい“おすそ分け”

以前住んでいた世田谷の激安八百屋にて。

「これ、食べきれないから1個あげるわ」
見知らぬおばさまが、2房100円で買われたバナナを、会計の済んだこちらのカゴへぽんと入れてきた。

「えっ、でも」
「いーのいーの、どうせ余るんだから」
世田谷のおばさま方は、人生に余裕があるためか、見た目よりもフランクな人が多かった。

「ありがとうございます、頂きます」
バナナなら、いい。
いや、本当にありがたい

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