見出し画像

【マウント】第2話「キス写真」

これは「チャット小説」として書いたものです。
そのためセリフ以外の感情等の表現を極力簡潔にしてあります。
セリフをもとに想像してお読みください(*vωv)


 どっちが先に自分に惚れさせるか?という勝負することになったマサキとユキノ。
 おかげでユキノは落ち着くことができ
 マサキもそんなユキノに少しホッとする。

 マサキは改めて自分のスレッドを見る。
 そこには自分をストークする情報と共に
 『マサキ推しスレッド』に常駐する女子たちの雑談も書かれていた。


「○○がマサキと話してた」
「ハブろう」
「捨てメアドでメール攻撃しといた。」
「どんなの?」
「マサキと口きくな。彼はみんなのもの。これは警告」
「そんなのぬるいよ!もっと脅迫しないと!」
「私もメールした。『マサキと話したね?』『許さない』って」
「みんなでやればビビるんじゃね?」
「やっちゃお!私も捨てメアドとってやる!」


マサキ「これ…………マジ?」
ユキノ「…でしょうね」
マサキ「こんなことされてたのかよ…
 どおりで遠巻きにキャッキャされるだけなわけだ…」
ユキノ「あなたは『みんなの不可侵のアイドル』らしいですね」
マサキ「こんなのやられたら「告白」なんてぜってーできねーじゃん!
 クソ!なにがみんなのアイドルだよ!迷惑だな!」
ユキノ「…あなたは『告白されること』にこだわってるみたいですね」
マサキ「こっちから告白なんていくらでもできる。
 告白されるってことはモテるってことだろ?」
ユキノ「…やっぱり私がカノジョになってよかったです。
 そんな気持ちで付き合われた子はいい迷惑です。」

マサキ「なんだよもー!
 しかし…ひでーな…女たちって裏でこんななのかよ…」
ユキノ「一部です。
 でも、そういうドロドロしたところは誰でもいくらかは持ってると思います。
 ていうか!『じょしうら』は登録者以外見ちゃいけないんです!返してください!」
マサキ「ああ…ゴメン」


 マサキはユキノにケータイを返す。


マサキ「なんで女子専用裏サイト掲示板なんてのが存在すんのかと思ったけど…
 こんな本性むき出しの書き込み…隠してえよな…」
ユキノ「…………」
マサキ「それに…こんだけの思い…吐き出す場所欲しいよな…」
ユキノ「…………」

マサキ「でもこれ、ヤバくねえか…?」
ユキノ「なにがです?」
マサキ「ここでしゃべってる分には構わねえけど…
 ホントにメール攻撃とかしてるんなら…
 キス写真なんて上がったら…お前…」
ユキノ「…ええ…女じゃなくても…嫉妬は怖いです。
 それにこの『マサキ推し』に入り浸ってるのはあなたのグルーピーです。」
マサキ「ぐるーぴー?」
ユキノ「有名人の熱狂的ファン…
 あまりいい意味では使われない言葉です…」
マサキ「過激なファンってやつか…
 サッカーとかのフーリガンみたいな。」
ユキノ「まあ…そういうものにもなりかねないくらいの…」
マサキ「今は掲示板でわめいてるだけだけど…
 キス写真がもしネットに拡散されたりしたら…」
ユキノ「それはありません」
マサキ「なんで断言できる?」
ユキノ「『じょしうら』には厳格なルールがあるんです。」

マサキ「男子には見せない。ってのか?」
ユキノ「それもあります。
 でもそれより上位の禁止事項は
 『じょしうらに掲載された写真や内容を他の場所に掲載してはいけない』
 これを破ると掲載した人はじょしうらからの制裁を受けます。」
マサキ「制裁とは穏やかじゃねえな…」
ユキノ「『じょしうら』に登録する時に学生番号を入力します。
 それが嘘でないことが確認されて個人用のパスコードが送られてきます。」
マサキ「つまり…管理人は個人情報をがっちり掴んでるってこと…?」
ユキノ「はい。私は機械には明るくないのでわかりませんが
 ここに掲載された写真も文章もダウンロードはもちろんスクリーンショットもとれないんです。
 画面を別な機械で撮影しても映りません。
 だから写真を流したらもうそれはUPした人ってことになります。」

マサキ「他のカメラで撮っても映らない…?
 そんな技術、女子高生が持てるもんなのか…?」
ユキノ「じょしうらは20年以上前からあります。
 機種の進化に合わせてセキュリティも上がってきています。
 先輩が関わっていたら『女子』の枠も『高校生』の枠も越えます。」
マサキ「…IT系の技術者には女性も大勢いるからな…
 セクハラ発言だった。すまん」
ユキノ「え?…い…いいえ………えっと…なんでしたっけ」
マサキ「『写真を流したらUPした人ってことになる』つまり誰が流したか管理人にはバレバレってことだろ?」
ユキノ「はい。そしたら…拡散した人は個人情報を流されます。
 拡散された写真は巧みな情報操作で「合成」ということにされ
 内容もただの噂。
 もしくは拡散した人の妄想というふうに逆に拡散されます。」
マサキ「…ひでえな…」
ユキノ「個人情報は本物ですから説得力もありますし…
 そうして制裁を受けて転校した子は何人も居るそうです。
 20年以上の間にですけど。」
マサキ「イジメじゃねえか…」
ユキノ「…ルールを守れば楽しい喋り場なんです。
 一般情報から女子ならではのものまで
 楽しい情報を交換するスレッドも『じょしうら』には
 たくさんありますから…」

マサキ「お前大丈夫なのか!?俺に見せたのバレたら…」
ユキノ「私はルールを守ることに関しては自信があります。
 『じょしうら』の上位ルールには
 『犯罪行為を促す、または犯罪行為に該当する内容を書き込んではいけない』
 というのがあります。
 これも犯すと厳しい制裁を受けます。
 そこで盗撮行為とストーカー行為が行われているので解決するため
 あなたに信用して協力してもらうために
 あなたにこの事実を見せることを管理人に許可をもらいました。
 ただし『見せるのはマサキ推しスレッドの該当箇所のみ』と言われましたが。」
マサキ(こいつの性格が幸いしたな…)
 スレッドの内容を話すのは良いのか?
ユキノ「口に出して話した内容まで規制できません。
 『しゃべっただけ』なら嘘かホントかわかりませんから。
 もしアドレスやパスを話したら制裁を受けますが…」
マサキ(無理やり聞き出さなくてよかった…)
マサキ「ちらっとしか見てなかったけど、キス写真の後にさ…その…」
ユキノ「『ルール違反の委員長に制裁』ですか?」
マサキ「お前ちゃんと許可とったんだよな?」
ユキノ「はい。管理人には。」
マサキ「?」
ユキノ「ローカルルールです…」

マサキ「は?」
ユキノ「各スレッドにはそのスレッド特有のルールがあるんです…
 『マサキ推し』スレッドにも…
 マサキに必要以上に近づかないこと…つまり抜け駆けしないこと…というのがあります…」
マサキ「キスなんてしたら…」
ユキノ「…もろ該当します…それを犯した人は
 スレッドの住人から私刑にあいます…」
マサキ「私刑!?掲示板に悪口書くだけじゃなく!?」
ユキノ「ええ。私刑とは…いわゆるイジメでしょうね…」
マサキ「いやがらせメール攻撃か?」
ユキノ「雑談しただけでそれですよ?
 キスなんてしたらそんなものでは済まないでしょうね…」
マサキ「だめだ!やっぱりあのキス写真はドッキリとかそういうのにしてカノジョもやめだ!」
ユキノ「嫌です」
マサキ「お前が危険な目に合うかもしれないんだろ!?」
ユキノ「平気です。」
マサキ「意地張ってる場合じゃないだろ!お前スレッドの住人じゃないんだろ!?」
ユキノ「ええ。同級生なのでチェックはしてましたが…」


 ユキノは立ち上がる


ユキノ「私は…イジメは学校で起きる一番の犯罪だと思っています。
 イジメでは盗撮やストーキングも…もっとひどいことだってやります。
 イジメは風紀委員長として最優先の撲滅対象です!
 私が標的なら他の子が被害を受けることはない。
 加害者が誰かもわかります。」
マサキ「そんなおとり捜査みたいなこと許せるか!
 探偵気取りもいい加減にしろ!
 お前今自分がどういう状況にあるのかわかってるのか!?」
ユキノ「心配ですか?」
マサキ「当たり前だ!」
ユキノ「カレシだからですか?」
マサキ「え?あ、そっか俺、お前のカレシなのか…」


 ユキノはくすっと笑った。


ユキノ「あなたってそういう人なんですね。」
マサキ「?」
ユキノ「マサキさん。
 私のカレシなら、私を守ってください。」
マサキ「…頑固だもんな…お前。
 わかったよ。
 カレシとしてカノジョは守る!」

ユキノ(顔が良いだけのアホだと思ってたけど…
 「女子は機械に弱い」みたいな発言を
 すぐに「セクハラ発言だった」って謝ってくれた…
 どこまで本気かわからないけど「カノジョは守る」とも…
 この人…案外…)


<第3話に続く>





いただいたサポートは活動費に使わせていただきます! ハートやフォローも制作のエネルギーになります! 読んでくださってありがとうございます(*'ー')