見出し画像

【診察】何も言えない

私は主治医にほとんど自己開示をしていない。

自分の話をすることは滅多にないし、訊かれてもごまかすことだって多々ある。
過去を話したこともほぼ無いし、自分の気持ちに触れることも全く無い。
当たり障りのない、「この程度ならば言っても傷つかないであろう」情報のみ伝えている。
だから先生も判断するのが難しいと思う。


そもそもどうしてこうなるまでに至ったかというと…。

私があまりにも傷つきやすいことが原因だと思っている。
ASDの特性もあり、相手の表情や雰囲気から感情や思いを察するのは非常に不得意である。
そのためか、定型発達の人以上に言葉を額面通りに受け取る。それしか頼れる情報がないからだ。

したがって、相手がどういった意図で言葉を発そうと、ニュアンスは正直あまり汲み取れない。
しかし、意味はよく考えていると思う。ニュアンスを読み取れないからこその補償のようなものかもしれない。言葉の裏に隠された意味をひたすらに考える。表面の上澄みだけに着目するのではなく、中に潜っていくのである。

その結果、相手が先生の場合はあまり良い意味には取れないことが多い。
つまり、言葉の意味をネガティブに受け取る。状況によっては否定されたと捉えるときもある。
考え抜いた意味が自分に向かって攻撃してくる。

するととてもしんどくなる。
→自分が伝えたことを激しく後悔する。
→もう二度と言わないぞ、と固く決心する。
→何も言えなくなる。

こうした流れによって、私は先生に何も言えなくなった。
兎にも角にも、これ以上傷つきたくないのである。
せめて、せめて、後から傷へのフォローがあるのならまだ良いかもしれない。
しかし診察はどうやっても週に一回と決められているので、傷ついた感情のフォローは自分でするしかない…が、それができないので、診察の度にただただ傷がついて、その上抉られたりもするのだ。もう、たまったものではない。

入院前は診察後に耐えきれず過量服薬をしてしまったりもしていた。しかし今は入院中なので自分を傷つける術を取り上げられている。
診察による傷をごまかすには、➀頓服を飲む、
②他のことをして気を紛らわす➂そもそも傷つかないようにする、しか私には思いつけない。
今はその中でも一番安牌だと思われる「➂そもそも傷つかないようにする」方法をとっている。

もうこの際、わかってもらえなくていい。
傷つかなければそれでいいと思っている。

本人に伝えたことはないが。

本当は薄々気づいている。全部さらけ出してしまった方が楽なんだろうな、と。
むしろそっちの方が本来の診察の形なのだろう。

でも今の私はそれをしたくない。本当のことを言ったところで傷つくに決まっているから。

傷つくくらいなら何も言わない方が全然マシだ。
経験から学んだのだから、きっとそう。
もういいや。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?