虐待なんて受けてないけど。

先日、診察のときに主治医から言われた言葉が引っかかっている。

話の流れで、先生はどこまで私のことを知っているのかと訊いた。私は先生に自分のことを殆ど話していないから、きっと情報は限りなく少ないと思う。
そのことを前提に尋ねると、「お父さんから虐待を受けていたと聞いている」と返ってきた。

一体誰から聞いたのか知らないが、私はそんなことはこれまでに一言も伝えていない。
しかも実際には私は虐待なんて受けたことはない。
頭の中がクエスチョンマークで埋め尽くされた。

思わず黙り込んだ私に、先生は次の話題を投げかけて話は進み、診察は終わった。

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疑問が残る。
虐待なんて受けてないが？？そもそもそんなことは記憶にない。

と思う一方で、そう思いたいだけなのかもしれないと考える自分もいる。
この事について考えを巡らせようとすると、思考がシャットダウンすると同時に大声で泣き叫びたくなるような衝動に駆られるからだ。
おそらく考えたくないし、触れたくもないのだろう。

自分の反応からすると、虐待は受けていたが思い出したくない、そういったことが伺える。
しかしながら虐待の事実なんてどこにも無いわけだし、そもそも先生はその話を誰から聞いたのかも分からない。真相は確認のしようがないわけである。

考えても考えても堂々巡りなので、考えるのをやめようと思う。答えが存在しないことを考え続けても、答えが出ることはないのだから。