空を統べる朱雀の涙②

何なんでも出来るけど、何なにもしなくてOKよし。ボクミツヒロは今、そう思う。あれれ。これでいいのかな。朱雀しゅじゃくを攻略ゲットしないと、ゲームは続くよ──

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こんにちは。フジミドリです。RPGの物語ファンタジー。どう展開するのやら。私も未いまだ、手探り状態スビバセンなので(￣▽￣;)す。今回はミツヒロ視点です。

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ボクらは、透明とうめいな球きゅうの中で浮かぶ。透すき通る膜まくは、虹色にじいろに煌キラめいたり、灰色に靄もやったり。

「何あれ」サクヤが叫さけぶ。

球の外で二人が喧嘩けんか。罵り合うコメント応酬。鬼の形相ぎょうそう。その隣となりで、別の一組がやっぱり喧嘩バトル。

『もしかして、同じ人たちかな』
「外見かおかたちは違うわ。あ。でも」
『番号が同じだよ』
「何なの、あの番号」

《魂たましいのマイナンバーです》

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AIの説明。ボクらは魂があって、固有の番号で見分みわけられる。えぇぇぇ～そうなの❓

奇妙ヘンな光景感じだった。喧嘩してる二組ふたくみって、壁を挟はさんでる。壁の反対側が見えないらしい。

魂の番号マイナンバーを見る。壁を隔へだてて、外見が変わった同じ人たち。ボクらはそう判わかるけど──

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「前世ぜんせかしら。生まれ変わり」
『平安時代むかしの人は、信じてたね』
「あ。古文で習やったわ」
『球ここからだと、両方前世と今生が見えちゃう』

やっぱり奇妙ヘンだ。壁死を隔てて、違う外見かおかたちの二組が喧嘩する。でも、魂の番号マイナンバーは同じ。

「前世の続きをやってるのね」
『何方どっちが正しいか、わからないよ』
「ホントだわ。前世も見ないと」
《この人生だけでは、判定できません》

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AIの推奨おススメでイデアルーム休憩避難場所へ移る。静かな音楽と紅茶にケーキ。暖かくてホッとする。

説明で頭がボウっとなった。これって現実マジ。いや。もちろんボクは今、ゲームの中。

「何故どうして喧嘩するの。生まれ変わったわ」
《魂の理解が乏とぼしいのです》
『何を理解すればいいんだろう』
《前世があるという法則ルールです》

「ダメって止とめても、解決しないわね」
《言葉や感情おせっきょうは通用しません》
『どのスキルなら、攻略できるかな』
《朱雀しゅじゃくの至宝しほう、炁空です》

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これは現実じゃない。人工的に作られた嘘バーチャルリアリティの世界だ。なのに、現実感がハンパない強過ぎる。

ええっと。ボクらは、至宝を求めて冒険の旅に出た。その設定。三つ攻略玄武・青龍・白虎して、スキル無光真奇力存が発動する。残りは一つだけ──

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《玄武げんぶは力対力ケンカです》
『そっか。ボクの短剣と攻撃アタック』
「あたしが火魔法と回復生命波ね」
《青龍せいりゅうは一体感で攻略しました》

「思い出すわ。一体ひとつになっちゃうの」
『そして白虎びゃっこか。自分の内を探す』
《外は、内なる世界の反映あらわれです》
「じゃあ、何かしら、朱雀」

『精霊せいれいが、黙ってるもんな』
《言葉を超えた案内ガイドなのです》
「妖精は喋り過ぎおしゃべりだわ」
《言霊ことだまが言葉を超えます》

ボクは思わずサクヤを見る。サクヤが口だけ動かす。ワカンナイと読み取れる。それからニッコリ。小首を傾かしげ、肩を竦すくめた。

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ゲームへ戻ると、サクヤが呟つぶやいた。

「ねぇミツ君、これって」

手を伸ばす。球の膜に触ふれる。そこでボクも初めて気づいた。喧嘩してる人たちは、球の膜に映し出されているだけなんだ。

《すぐ其処そこに在るのです。何もかも》
「あ。ホント。月も太陽も映うつってるわ」
『何光年なんこうねんも遠くじゃないの、星って』
「まるでプラネタリウムだわ」

AIの説明は続く。ボクらが映し出す。手の届く空間ばしょに。そして、遠くにあると思い込む。

《引き寄せる為ため、奥行きを錯覚つくるのです》

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喧嘩してる一人が相手を殴なぐると、相手は死んじゃった。すると其処そこへ朱雀が飛んでいく。魂の中に入る。光り輝きキラキラ始めた。

殺された人の体は、燃え上がる。灰になって消えていく。朱雀が飛び出す。空へ羽搏はばたく。大きな目からは、一滴ひとしずくの涙が零こぼれた。

《次の人生を決める、理解の涙です》

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「理解って何かしら」
《理解が、次の人生に反映はんえいされます》
『自分で決めていいってことかな』
《人生は如何様いかようにも選べます》

「こんな沢山いろいろあると、何なんでも選べるわ」
《意識は自由自在なのです》
『何でもできる、何処どこでも行ける』
《選んだ人生に入はいり込むのです》

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球の膜に映っていた、沢山むすうの人たちはスッと消えた。次の瞬間、浮かんでくる街並まちなみ。

マスクを掛かけた人たちが、向こうから歩いて来ては、球の膜に沿そって流れていった。

あれ。ボクこの風景まちなみ、知ってるぞ──

女の子が一人で歩いてくる。小首こくびを傾かしげて、口はマスクして見えないけど、目で笑ってるってわかった。サクヤが叫んだ。

「あたしがいる❕」

　😲　😲　😲

そして、今度はボクが映る。へぇ。サクヤから見ると、ボクってこんな風外見か。

「ミツ君のこと見てると」
『目の前しか映らないんだよ』
「周囲ホントは沢山たくさんあるのにね」
《永遠無限の並行宇宙パラレルワールドです》

元の映像に戻る。見れば見るほど、圧倒されちゃう。地球のあらゆる時代だけじゃない。宇宙の何もかも此処ここにあるんだ。

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「ミツ君、見てみて。スゴいよ」
『色んな人、色んなことやってるね』
「本当マジ、気が遠くなりそう」
『場所も時代も違ちがってるんだ』

「地球に生まれた魂、全部みんなかしら」
『ボクらも、きっとあの中で──』
「全然マジ、覚えてないんですけど」
《忘れるから、浸ひたって味わえます》

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殺された人が、今度は反対の立場に生まれ変わって復讐ふくしゅうする。そしてまた、次の人生で、殺されちゃう。延々えんえんと繰り返すのだ。

ボクらは全てを見渡みわたせた。

「憎み合った二人、次が夫婦だわ」
『あっちで、親子に生まれ変わってるぞ』
「戦争を起こして、今度は平和運動」
『あの魂、同じ人生を何度もやってるね』

《引き寄せなくとも、既に在るア・プリオリのです》

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イラストは朔川揺さん💞

１１月２８日午前１０時へ続く物語は次回で完結致します💖

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