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【小説】SNSの悪夢

自分で膨大なSNSの波の中を見続けていると、急に話題の主になったりして、自分を見失ったりする。

炎上した自分へのリツイートを見ながら、勲はこの中には真実なんて無いのかも知れないと考えていた。

自分がしても居ない事で非難されたり、それで問題視されて一般社会から離脱する人間も多いんだろう。

一般社会という名の場所がこの世に存在して、自分がそこで厳然として生きていると言う実感が在ったならばだが。

考えると自分に対して非難してきた一般社会の人間には、酷い事をしたのかも知れない、弁護士に言ったら問題視されるのかも知れない。

それでも、自分が復讐の為にtweetしたことは嘘ではないから、自分に対する炎上とは意味が違うと考えていた。

自分を正当化しなくては、今度は罪悪感に押しつぶされてしまうかも知れないから、自分に言い聞かせてみる。

これからは仕事を中心の生活に戻るのだから、SNSを見ない方が良い、社長にもそう言われているのに、何故か見ないではいられない自分が居る。

炎上に加担した人間達に復讐はしている、妻にはまだだが、弁護士を雇えば復讐は完成する。

そう考えていても、情報の波から逃れられなくなっていた。

ここに在るのは、嘘でも真実でも如何でも良いと思っている情報の氾濫だ、その中で流れに身を任せると、途轍もない所に流されてしまう。

それが解っているのに、自分もその流れに浸かっていた。

自分がどう見られているかが大事になる仕事とはいえ、時間を置かずに見つめ続けるのは、何かが壊れているのかも知れない。

彼女が自分を非難してきたのは、きっと自分に幻滅したのだろう。

自分が彼女を信じて、大事にしたいと思っている程には、信頼されて居なかったという事だ。

夫婦なんてお互いの信頼関係で成り立っているから、彼女との生活は無理が有ったんだろう。

だとしても自分は許すつもりは無いのだが、弁護士に離婚以外の何を言うべきか考えて置こう、彼女は自分の仕事を減らしたのだから。



SNSで不倫を非難してから、彼から離れて生きてゆこうと思った。

不倫したかどうかじゃない、不倫と週刊誌に書かれてしまうのが問題だ、そんなのでは上手くやってゆけないだろう。

今回は問題が沈静化しても、次にまた同じような記事が出たら、毎回仕事が消えるの??

そんな人とは一緒に居られない、後から考えると離婚届も書いて置いて於いたら良かった。

離婚をどうしたらいいか、考えなくても良いのに。

離婚理由に不倫だと騒がれたからってのは無いのだろうな。

如何すればいいんだろう??考えは頭で渦を巻いていた。




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