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飛べないはずのクマンバチと永遠に飛び続ける紙飛行機の話

学術上、クマンバチは飛べない。
それを知らないから飛べるんだって

これは、2008年に23区/オンワードのポスターに使われたコピー。

飛べないことを知らないから飛べる!なんと魅惑的なコピーだろう。自ら限界を決めなければ、なんだってできる。経験や知識は大切だけど、時に未来を狭めてしまう。そこから諦める言い訳を見つけられるから。「知らない」は可能性のかたまりなのだ。

クマンバチはなぜ飛べないのか?

普通に飛んでいるクマンバチが、なぜ学術上は飛べないとされているのか。それは、体に対して羽があまりにも小さいからである。多くのハチが体全体を覆うほどの大きさの羽をもつのに対し、クマンバチの羽はお尻の半分程度のところまでしかない。そのため理論上では、羽が小さすぎるクマンバチが自分の体を浮かせて空を飛ぶなんて、航空力学上では到底無理なはず、だった。

現在は、クマンバチが飛べることはレイノルズ数によって証明さている。レイノルズ数をめちゃくちゃ簡単にいうと空気の粘りや慣性力といった空気抵抗のこと。体の小さなクマンバチは空気をネバネバとしたものに感じており、このネバネバ感がクマンバチの体を持ち上げ、小さな羽でも重い体を浮かせて飛べるというわけだ。

イメージとしては、人間がスライムの中で生活しているようなものだろうか。確かにスライムの中なら、足の裏が親指サイズほどしかなくても体重を支えて歩けそうな気がする。なんでも自分一人の力でやろうとすんなよ、あなたの可能性はまわりの力との相乗効果で生まれるものなんだぞ、というエールにも思える素敵な発見だ。

まぁ、理由が解明しようが謎のままだろうが、私たちがその仕組みに勇気をもらえようが、当のクマンバチにとってもなんの関係もない話だけれど。はい、ここ大事、テストに出ます。まわりの声や思いなんてクマンバチが飛べることになんの関係もない、のだ。確実に。

永遠に飛び続ける紙飛行機

突然だけれど、飛ばした紙飛行機は必ず落ちるものだと思っていないだろうか?答えはYesでありNoである。実は紙飛行機は、気流にのれば永遠に飛び続ける。

自然界でも、アホウドリは気流にのって一度も羽ばたかず休まず、なんと数千キロもの距離を滑空できる。これをヒントに、欧州航空機大手のエアバスが風に応じて主翼の先端を上下に動かせる小型スケール機を開発した。

落ちない紙飛行機やアホウドリは限りない可能性をみせてくれる。私たちができないと思っていることの多くは、まだその方法がまだ発見されていないだけかもしれないのだ。

自分の可能性を信じるのは勇気がいる。他人の目が気になったり、過去の失敗の経験を繰り返すのが怖かったりする。クマンバチのように外からの評価に無頓着に、永遠に飛び続ける紙飛行機のように知識や経験を活かして、バランスよく、ただ前に進んでいけたらいいなと思う。いつだって、可能性は無限大なのだ。


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