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映画感想文「Ryuichi Sakamoto opus」圧巻の迫力の演奏。遺言をしかと受け止めた

これは遺言である。

2023年3月に亡くなった坂本龍一氏。彼が亡くなる半年前に力を振り絞って行ったソロコンサートの映像を映画にしたものだ。

新曲も含め、何曲もの彼のピアノ演奏が続く。

今更ながら演奏を聴いて、惜しい人を亡くしたのだと悟る。

映画の構成については、
トークも全くなく。ひたすら彼の演奏が続くというストイックな仕立てである。

しかも時々咳き込んだり、休んだりという体調の悪さかこちらにもわかるシーンが何度か繰り返される。

どうやらこの収録も何回にも分けて行われたらしい。それを知ると尚更、そこまでして後世に彼が伝えたきことはなんであったのか、全身耳になって五感で受け止めざるを得ない。

要するに緊迫感が半端ないのだ。

言っておくが、悪い意味ではない。むしろ圧倒された。

全身で向き合わなくては。向き合いたい。と思わずこちらが思ってしまうという意味、坂本龍一氏の真剣度合いが引き起こす、緊迫感である。だから思わず襟を正すというような連鎖である。

自分がもし、いま人生が終わったとしたら、こんなにも朗々と真剣に言いたき何かを持ってるだろうか。

そう、自らに問いかける。

音楽の質の良さはいうまでもなく素晴らしい。だが、それ以上に、そういう問いを自らに投げかけることになる作品である。

ポップコーン片手の映画ではないことはご承知おきの上、臨まれたし。

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