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映画感想文「エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命」これが事実なんて恐ろしい、学びの映画

宗教には恐ろしさしか感じない。

学生時代、歴史の授業で学んだのは宗教にまつわる戦争。なぜ幸せになるための信心で争いが起きるのか子供心に理解できなかった。

そもそも絶対的なものなんて世の中にないと思う。

よって、日本人にあるある、無宗教である。

そんな身からしたら全く理解できない、この事件。ローマカトリックの教皇の命で6歳の幼子が誘拐される、1858年に実際にイタリアのボローニャで起きた事件だ。

ユダヤ教を信じる家庭に育った、少年エドガルド。両親から引き離された彼は相反する教えに、戸惑い悩む。しかしやがて環境になれ、長じる頃には立派なキリスト教信者となる。

そして布教活動に勤しむ。

子供がいかに洗脳されやすいか。人は周囲の環境にいかに易々と汚染されていくものか。それがとてもよくわかる映画だ。

可愛い盛りの年齢で突然息子を失う。そんな思いをした、ご両親の気持ちを思うといたたまれない。

重い題材を描くチャレンジは素晴らしいし、このような史実を映画という形で知らせてくれるのはありがたい。

しかし映画としてはやや物足りず。事実の連打であり、要するに何を訴えかけたいのかのテーマが見えなかった。

もちろん、当方の宗教の歴史についての造詣のなさが主な起因。なので自業自得ではあるのだが。

事実を余すことなく語りたかったのだと推察するが、それならドキュメンタリーが向いている。2時間の映画で人に訴えかけるには、そぎ落としてテーマをシンプルにしないとやはり難しいよなとしみじみ思った作品である。

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