「え、これ可愛くない?」
「ピンクのほうが可愛いでしょ~。」
通路を挟んで斜め前に座っている女。さっきから何の話をしているんだ。うるさい。
「待って、返事返ってきたかもしんない!!」
「え、うそ!なんて返ってきた!?みせて!」
「私が先に見る!まって、まじ?デートしてくれるって!」
「よかったじゃん!やっぱさっきの服、自分ウケよりこっちの男ウケ
のピンクで決まりでしょ。」
「そっちのほうが好きそうだよね、言われた通り、今回はピンクにするよ!」
茶髪で花柄のワンピースを着た女たちが、またキャーキャー騒いでる。そんなに話すことなんかあるかね。うるさい。うるさい。
ああ、一回水を飲んで落ち着こう。木でできた椅子はこの時期はなんだか冷たい。でもそんなのは仕方ない。
「おい、お前まだ別れてなかったのかよ。もうその子無理だって。親友の俺から見てても、お前しんどそうだし。」
「そうかなあ。俺まだ好きなんだよな。この子失ったら次にいい子なんて見つからない気がする。あーっ。」
「泣くなよ、おい、店ん中だし、あーもうだいじょぶかよ。」
今度は男の声がする。泣いてるのか。女みてえだな。グズが。うるさい。
私なんかもうずっと泣いてないぞ。そんな感情とっくの昔に無くなったわ。
「それたべたら夜ごはん食べられなくなっちゃうよ!」
「ヤダ、これたべる!!!」
「ままだってヤダ。なんでも全部はできないの。今日はそれ食べないよ。」
「ヤダヤダヤダ!!!!」
「、、るっさい!何回言ったらわかんのよ!いい加減にして!!」
うるさいのはどっちだよ。どいつもこいつもでかい声出さなきゃやってらんねえのかよ。あーーーーー。うるさい。うるさい。うるさい!!!
ああ、なんかすげえイライラしてきたな。前までこうなった時どうなってたんだっけ。思い出せないな。あああ、畜生。でかい声でも出したら楽になるのか!?なんかむかつくから、全員に文句言いに行ってやろうかな。
まずは斜め前の女どもだな。あー立つと体が重いな。鉛でもついてんのか。
「おーい!おめーらピンクだか何だかわかんねーけどうっせえんだよ外でやれ!!!」
あー、そんな目で見んじゃねーよ。余計にイラつくだろ。あー、んで、次は奥の席の男どもか。なんて言ってやるかな。ちっ、なんかふらふらするな。
「そこの黒い服のお前!ピーピー泣いてんじゃねーようっせーんだよ!!ああ?うっせえのは私だって?おめえが騒いでなかったらこんなところまできて文句言いに来てねえんだよ。くそが!!!!」
「......…やくきて……….ださい」
あ?何か別の奴の声が聞こえるような。気のせいか?まあいい、
怒鳴ってもおさまらないからそいつらの机殴ってきたけど、水のコップが床に落ちただけだった。くそつかえねえ手。力はもっと入れたつもりだったけどな。まあいいか。最後はあのうるせえガキとヒスままにかますかな。なんか視界が悪いな。外の天気が悪いのか?まあいい。
「おい、クソガキ。あんまりギャーギャー騒ぐとお姉さん、お前をぶん殴っちまうかもしんねえなあ。だからさ、頼むよ、声出すな。」
「んーで、お前だけどさ、ヒスりすぎてこっちがおかしくなりそうなんだわ。てかなってんだわ。は?なに、動画撮っちゃってる?そんなんやっていいと思ってんの?そのスマホに入ってる思い出消しちゃおうか♪スマホから消すのと、お前の頭割って消すのどっちがいい?黙ってないで早く選んでよ、な?」
まあいい、この女どうしようかな。あっは!ガキ、ビビッて漏らしてやがる。
!!!!!!
痛って!!んだよ、でかいやつら邪魔すんなよ。あ、なんか眩暈したきたな。畜生。畜生!!畜生!!!どいつもこいつもうるせえんだよ!!!!

ー「大変申し訳ありません。いつもご迷惑ばかりおかけして。注射を打ちましたので、間もなく落ち着くかと思います。もう3回目ですよ。」
「ん、まあ、こんな誰も来ない喫茶店ではこの人しかお客さんと呼べる人はいませんよ。今回は電話してから来てくれるまでが早くて助かったよ。ただ、荒らされちゃあ困るけどね。」

END

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