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自由を満喫すべし

 こんにちは、亀山真一です。
 昔の課題シナリオも11作目です。実は次が最後になるのですが、それはさておき「葬儀」というお題でした。大学生には結構難しい気がしますが、20歳かそこらの僕がとりあえず書いてみたものがこちらになります。

 本作はnoteに投稿するにあたって結構ちゃんと直した方だと思います。洸樹が彩香のことを普通に知っていましたが、知らないふりをすべきところだったのではないかと書き換えました。
 ショートシナリオだからこそ許される説明不足で奥行きが伝えられたらベストなんですよね。


『残されたもの』

笹川彩香(27)大樹の恋人
水無月洸樹(26)大樹の弟
水無月奏江(52)洸樹と大樹の母親

水無月大樹(28)故人

〇水無月家、玄関(夜)
   笹川彩香(27)が小走りで入ってくる。出迎えた水無月洸樹(26)と水無月奏江(52)が喪服なのに対し彼女は私服である。
彩香「すみません。こんな時間に……こんな格好で」
奏江「彩香さん」
   彩香は頭を下げる。

〇水無月家、居間
   座っていた洸樹と彩香に奏江がお茶を出し、一緒に座る。
奏江「洸樹、彩香さんは大樹の」
洸樹「知ってる」
   遮るように言い切った洸樹に奏江は目を丸くする。
奏江「知ってるの?」
洸樹「いや、まあ名前くらいは聞いたことがあった……かな」
   彩香が切り出すタイミングを伺いながら。
彩香「それと私、大樹さんに伝えられなかったことがあって……実は今日遅くなってしまったのは病院に行っていたからで」
奏江「病院?」
   彩香は黙ったままお腹に手を当てる。
奏江「あなたもしかして」
   彩香がこくりと頷く。
奏江「どうなさるつもりですか」
彩香「産みたいです……けど、こんな状況じゃ」
奏江「そう、ですよね」
   彩香は躊躇いがちに奏江を見る。
奏江「あなたがいいと思うようにしてください。ウチとしても出来る限りお手伝いしますから」
彩香「ありがとうございます」

〇道端
   一人で歩いていた彩香を洸樹が追いかけてくる。
洸樹「駅まで送って差し上げなさい、だって」
   彩香は黙ったまま。
洸樹「兄貴もすごいタイミングで死ぬよな。いや、俺が聞きたいのは、お腹の子供って」
彩香「あたしが聞きたいのは、大樹はホントに事故で死んだのかってことよ」
洸樹「当たり前だろ」
彩香「じゃ、大丈夫。この子は奏江さんの孫に違いないもの」
   不敵に微笑む彩香に、洸樹が頷く。
彩香「いい? 兄貴の彼女を慰めているうちに好きになってしまうシナリオなんだから、間違えないでよ」
洸樹「分かってる」
   二人は抱き合い、キスをする。

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