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知ってるものから書いていく

 こんにちは、亀山真一です。
 昔のシナリオ課題5つ目、ペラ5枚となりだいぶショートストーリーっぽさが出てきました。こちらのお題は「転校生」で有無を言わさず高校生でしたが、これ以降、登場人物の学生率が急上昇します。大学生にきちんと書けるのはやはり学生なんですよね。

 更にいえば、こちらの舞台が私服校なのは僕の通っていた高校も制服がなかったことが大きいと思います。知っているものは書きやすいということを学ぶと同時に、知らないものを勝手な想像で書くのをやめたのがこの頃のような気がします。
 今年で30歳、ようやく主人公を社会人に設定できるようになった僕ですが、まだまだ学生を書きたいと思う今日この頃です。


『コスプレ転校生』

森内千夏(17)転校生
町田結音(17)高校生
佐倉奈々(17)高校生
浜本剛(40)教師

〇教室(朝)
   始業前の少しざわついた教室。私服校なので生徒たちの服装はバラバラだが、やはり疑似制服やジャージ姿が多い。
剛「はーい」
   教壇に立つ浜本剛(40)が注目を集める。
剛「先週お知らせした通り、今日からこのクラスに」
   言い終える前にゴスロリ調の服を着た転校生、森内千夏(17)が入ってくる。その格好に生徒たちは少し驚く。
千夏「森内千夏です。よろしくお願いします」
   教室後方の席で居眠りしていた町田結音(17)がその前の席の佐倉奈々(17)に起こされる。
奈々「ちょっと結音」
結音「ん?」
奈々「あれ……転校生」
結音「かわいい」
奈々「え?」
   すると挨拶を終えた千夏が結音の後ろの空席へやってくる。結音はすかさず後ろへ向いて話し掛ける。
結音「ねえねえ、それゴシック&ロリータっていうんだっけ。そういうのって買うの? 作るの?」
千夏「え?」
奈々「ちょっと結音」
結音「そっか。あ、あたし町田結音」
   ニコニコしている結音につられるように千夏が笑う。
千夏「だいたいは原宿で揃うよ」
結音「ウチの学校、服装規定ないからいいよね。この子もほら、どうしてもスカートが苦手だからずっとこれ」
   結音はジーンズをはいている奈々を指す。
奈々「何? 急に話振らないでよ」
   千夏が奈々のことを見る。
奈々「なに」
千夏「同じなのかなって」
奈々「は?」
結音「自分を曲げないところが」
奈々「はあ」
   奈々が何か言おうとしたところにチャイムが流れ授業が始まる。結音は満足そうに再び居眠りを始める。

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