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「じまんのママになろう。」――女性の出産・子育てとキャリア形成について

私の政策のブラッシュアップの一環として、地域で経済問題や社会課題の解決に取り組んでいるさまざまな方にお話をうかがっていきたいと考えています。

第1回目は、神戸市でママクリエイターラボを起業し、経営されている榊原杏奈さん(写真左)。

働く女性が妊娠・出産を機に職場を離れ、なかなか復帰できない、復帰できても、キャリア形成に支障が生じるといった問題が長らく指摘されてきました。

女性が出産を機に一度職場を離れ、子育てが落ち着いてから復帰する(そうせざるを得ない)傾向があるため、出産年齢の女性の就業率が落ちる、いわゆる「M字カーブ」の問題です。

しかも、女性の正規雇用の割合は29歳がピーク。出産を経ると、非正規で復帰する(そうせざるを得ない)傾向が統計結果からうかがえます。

榊原さんは大学卒業後、大手百貨店で総合職として働いておられました。出産前は売り場のマネジメントを担うなど責任ある仕事をしておられましたが、産休・育休を経ての復帰後は、それまでの仕事を任されず、給与も大きく下がったそうです。

安倍政権時代に「女性活躍」と言われ、その表現はともかく、大企業を中心に曲がりなりにも女性のキャリア継続を支援する制度は拡充されてきました。

しかし、管理職層や幹部層はまだまだ男性が多くを占めており、当事者として出産や育児を経験した人材が、組織の意思決定ができるポストに少ないのが現状です。制度は拡充されても、実際には十分に活用されていない状況が指摘されています。

男性の育児休暇も、制度自体は世界的な評価が高いにもかかわらず、実際の取得率が極めて低いことに、こうした要因があると言われています。

働く女性は、責任ある仕事にひたすら邁進するか、責任ある仕事をあきらめてしばらくは子育てや家事に専念するか――。多くの企業で、子育て中の女性が実質的なキャリア支援が十分に得られない現状では、この二者択一しかないという現実があるといいます。

そこでママクリエイターラボでは、子育て中の女性を中心に、動画編集やウェブデザインの講習を実施。さらに、こうしたスキルを持った人材を必要としているクライアントを紹介し、お母さんが子育てをしつつ、自立して収入を得る手段を提供しています。

月額1万5000円で7カ月、講習を受ければ、十分なスキルを身に着けることが出来るカリキュラムだそうです。

発注先のクライアントは、飲食業や美容院だけでなく、工務店や行政機関など幅広く、広報業務で就職された受講者もおられるそうです。

ママクリエイターラボのコンセプト「じまんのママになろう。」に共感して受講を希望する女性は、非常に多いそうです。これは単なるキャッチフレーズではなく、上記の二者択一を迫られる多くの女性の、非常に切実な声ではないでしょうか。

子育てに十分な時間を割きつつ、スキルを身に着けて、誇りを持って収入を得る手段を確立する――。お母さんに限らず、お父さんでも、こうした姿は子供にとって眩しく見えるはずです。

またマクロ経済的に見ても、女性のキャリアの断絶は、人手不足が深刻化する昨今、社会全体にとって大きな損失となります。

正社員と非正規社員の格差も大きな問題ですが、社会保障のセーフティネットを公平に設けつつ、真に柔軟な働き方をどのように応援していくか。私もよく考えていきたいと思います。