コラージュ

<プロローグ>
この作品は創作として、「思い」については私小説的に表現したものだが、この作品を書いて幾時間か経った後に、不思議なことが起きた。
作者である私自身の「思い出したいこと」が何だったかわかったのだ。
ずっと探していたものが見つかったのだ。

私にとっては大発見だが、それを今後「直接」言葉にして伝えることはないかもしれない。
同じような思い、私のように探している何かがある人へのヒントとしては、この作品の全体が媒体になるかもしれないことはもちろん、この作品内に明確な「結論」を示しているわけではないが、最後の部分というより後半の途中のある箇所に、じかに答えに繋がっている表現がある。
あなたの答えも、見つかりますように。


思い出したい何か

「それに」気づいてから、心の中にかけらを集めてる。少しでも「それに繋がる感じ」がしたならclip, clip。心の中に切り抜きを残しておくんだ。

それは人生を通してわたしを呼んでいて、思いがけないところで存在を思い出させる。ふだん忘れて生きているつもりでも、何かがずっと引っかかっていて、「なんだったっけ」と思い出そうとすることをやめられない。

思い出したい何か、があることだけを知ってるわたしは、記憶喪失の状態で内側の記憶の糸を慎重にたぐり寄せるように、自分の反応を見て手がかりを集める。
強烈で、「この自分」という器に到底おさまりきらない愛や懐かしさの感覚に関係する何か、ということだけはわかってる。それにふれてる感じがするとき、いつもそうだから。

ふと読んで、強く心ゆさぶられて涙が止まらなくなった漫画。オジロワシの目を見たとき湧いてきた深い気持ち。自然や生き物と深く向き合うと、心の中の近いものをなぞりやすいような。
昔、夜空の星を見ているときにいつも感じてたこと。感覚だけがそれを思い出していて、それが何かという説明は思い浮かばない。

思い出そうとしてるのは人や生き物などの存在なのか、事象なのか、情報なのか、それすらわからず、世の中にあるそれらしい通説はぜんぶ確かめてみた。
別の人生とか、時を超えて会う約束をしている誰か、とかの路線から、この人生での自分の使命だとか、他の星で生きていた者としての出自、記憶、神や源と呼ばれる存在への根源的な思慕まで。

けれども、それらの通説は、わたしの答えじゃなかった。

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