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勝手に10選〜アーティストが愛したアコースティックギター編(洋楽編)〜


(前記)

ギターという楽器は形、色、音色、実に様々で各々が個性豊かで種類が多い。
なかなか他の楽器を鑑みると、ギターという楽器に特化した事ではないだろうか。

従ってアーティストがセレクトしたギターが、アーティストのアイコンとなり、あるいはギターを見たらアーティストの顔や音が浮かんでくる、という現象が起こる。

1本のギターを見て、見る者各々の中にイメージする音楽やアーティストが存在する。

今回はそんなギターの中で、アコースティックギターに特化し、どんなアーティストがどんなアコースティックギターを奏で、そのアーティストが残したサウンドのマテリアルとなり、アイコンとなったのかを、洋楽編として勝手に10選する。


・Robert Johnson

Gibson L-1

ロバート・ジョンソンのギターといえは、GIBSON社のL-1という1926年に発売されたギターである。

その超絶的なテクニックから、悪魔に魂を売った、という伝説が有名なブルースの神様である。

なにせ、生前の写真が正式なものとして2枚しか残っていないが故に、写真が見つからなかったら、ロバートが何のギターを弾いているのか解らなかったのかも知れない。

実に多くのアーティストに影響を与え続けるロバート・ジョンソンのギターサウンドはこのギターから生まれたのだ。

・Elvis Presley

Martin D-28

エルビス・プレスリーといえば、筆者の観点ではMartin社のD-28がアイコンであろう。

1955年にエルビス自身がメンフィスにて購入し、友人を真似て革のカバーを装着し、鮮烈なデビューの際にこのギターをかかえて腰を振り、世界を酔わせたのだ。

因みに派手派手になった後年はGibson社のDOVEやSJ-200を愛用していた。

・Bob Dylan

Gibson J-50(1947)

ボブ・ディランはキャリアも長く、Gibson社のJ-200など実に様々なギターを使用しているが、筆者が1本挙げるとすれば1947年製のGibson社のJ-50だろう。
よく名の出るJ-45とは色違いなだけで、J-50の色がナチュラルである。

ファーストアルバムにも登場し"Blowin’ in the Wind"を演奏している画像にも登場している。
このギターから、ディランの伝説は幕を開けたのだ。


・Paul Simon

GUILD F-30NT(1967)

サイモン&ガーファンクルのポール・サイモンのアイコンとなるギターはGUILD社製のF-30NT(1967)であろう。

筆者は少年の頃からサイモン&ガーファンクルを聴いていたが、当時は弾いているギターを知らなかった。てっきりMartinあたりだろうと思い込んでいた。

時は経ち、大人になった少年は自身の生まれ年のアコースティックギターを探していた。
そして、見た目も素敵で、実に弾き心地も良く音も良いギターを見つけたのがこのGUILD社製のF-30NTであり、定員さんにポール・サイモンと同モデルと聞かされ驚いたものだ。


・Keith Richards

Gibson Hummingbird


ザ・ローリング・ストーンズのギタリストであるキース・リチャーズのアコースティックギターと言えばGibson社製のHummingbirdである。

Gibson社のアコースティックギターとしてはシェイプが初のスクエアショルダーであり、ピックガードのハチドリの模様が特徴であり、全体的な存在感が光るギターである。

独特なアコースティックギターの雰囲気が、キースの持つ、これまた独特の世界観に溶け込んでいる。

キースはもちろん、ミック・ジャガーも同モデルのナチュラルなどを含めて何本か所有していた。


・John Lennon

Gibson J-160E

ジョン・レノンのアコースティックギターといえばGibson社のJ-160Eがアイコンである。

1963年にジョージ・ハリスンと共にリヴァプールの楽器店で購入した。
その後はビートルズのアコースティックサウンドの要となるが、ジョンは1度このギターを盗難されていまい、即2本目を購入している。

途中でサイケデリックペイントが施され、最終的に塗装が剥がされナチュラルになり、後年ジョンによってジョンとヨーコのイラストが描かれた。

まさにジョンの音楽人生における相棒、アイコンと呼べるアコースティックギターである。


・Paul McCartney

Epiphone FT79N Texan(1964)

ビートルズ時代のポール・マッカートニーのアコースティックギターはこのテキサンと、Martin社のD-28が代表的であろうが、やはり1本となると、このEpiphone社製のFT79N Texan(1964)にしたい。

何故なら、ポールが1964年に同ブランドのCasinoと共に購入し、大名曲"Yesterday"のレコーディングで初めて使用していたアコースティックギターなのだ。

この項を記している60年経った今現在でも、ポールは"Yesterday"を演奏する時にはこのギターを用いている。

・George Harrison

Gibson J-200

ジョージ・ハリスンのアコースティックギターにおいてはGibson社製のJ-200の印象が強い。

1968年にジョージが渡米した際に購入したギターである。
サイズが大きく、ピックガード、ブリッジ、ポジションマークまで豪華な仕様であるが、どこか神秘的なキャラクターであるジョージに良く似合う。

このギターは、ビートルズのレコーディングが終わった後にボブ・ディランにプレゼントされた、という説が有力だが、1970年以降にもジョージが弾く目撃情報があり、行き先が謎のギターである。


・Eric Clapton

Martin 000-42(1939)

ギタリストとして外せないのがエリック・クラプトンであるが、クラプトンのアコースティックギターといえば1992年に開催されたMTVアンプラグドであろう。

このクラプトンのライブにより、アコースティックの再ブームを巻き起こし、売れに売れたこのアルバムはライブ盤の売り上げにおいてギネスに認定されている。

このライブでクラプトンが使用したギターが、Martin社製000-42で、なんと1939年製である。

Martin社といえばD-28などドレッドノートが主流であり、しかも時代的にアコースティックギターが下火な時代であったが、クラプトンがこのギターでライブを行った事により、Martin社の000シリーズが爆発的に売れ始め、時代にアコースティックサウンドを完全復活させたのだ。

以降Martin社から000シリーズの幾多に渡るクラプトン・シグネチャーモデルが発売となり、現在も継続して販売されており、クラプトンも現在は000-28ECを使用している。


・Kurt Cobain

Martin D-18E

カート・コバーンの使用したアコースティックギターは、Martin D-18(1959)や、Epiphone FT79Nなども有名であるが、やはりMTVアンプラグドで使用したMartin社製のD-18Eを挙げたい。

Martin社製のD-18Eとは、元々のモデルD-18にピックアップを搭載した、結果的にはビザールギターで、1959年のみ生産され、世界に302本しか存在しない非常にレアなギターである。

カートはこのギターのデュアルモンド社のピックアップの音が気に入らず、バルトリーニのピックアップをサウンドホールに装着して使用していた。

カート・コバーン没後、2020年にオークションにこのギターが出品され、約6億円で落札された。

(後記)

アコースティックギターにこれほど惹かれるのは何故だろう。
歴史の浅い楽器だが、短音で弾くもよし、和音で奏でるのもよし、弾きながら歌ってもよし、持ち運びにたいそうな手間も要らず、などなど色んなファクターがあるであろうが、先ずは単純にカッコいいのだ。

読んでくださった方々へ
ありがとうございました。

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