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「朝鮮半島は3つに分断されている」

3つ?

タイトルから疑問符が浮かんだ方も多いかと思います。これは、都内で開かれた識者たちの会合で出た発言で、「言い得て妙だな」と印象に残りました。

そのココロは、朝鮮半島は、北朝鮮・韓国保守派・韓国進歩派の3つに分断されているというわけです。それほど韓国内の陣営対立が深刻だと強調したわけですが、あながち大袈裟ともいえません。

その韓国内の分断が少しは和らぐきっかけになるのか、4月29日、注目の会談が開催されました。(写真はソウル・明洞)


まるで初の首脳会談

この日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と進歩派の最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が大統領府内で会談したのです。

韓国メディアは会談日程が決まってから連日大きく報道してきました。「議題の調整が難航している」「具体的な成果はなくても政治的葛藤の緩和につながるか」など、始まる前から国中の注目を集めてきました。

まるで韓国と北朝鮮との南北首脳会談…とまではいかなくても、近いものを感じました。メディアが盛り上がったのも無理のないこと。なにせ、尹大統領が就任してから李在明氏と会ったのは、今回が初めて

尹大統領の就任は2022年5月ですよ。
2年近く、両者は相対していなかったわけで、ゆえに外国首脳同士の初会談のような雰囲気に包まれることになりました。
朝鮮半島は3つに分断されている…

総選挙の敗北で大統領の姿勢に変化

以前から、尹大統領に対して「最大野党の代表と意見交換してはどうか」という声は与党「国民の力」内からも出てはいました。
22年の大統領選挙で得票率差わずか0.73ポイントしかない史上最大の接戦を戦った両者。尹大統領に一票を投じた人と殆ど同じだけの人が李在明氏を選んだだけに、その「相手側」の民意にも配慮をしたほうが国全体がまとまるでしょう、というわけです。

しかし、検事気質が抜けない尹大統領のこと。様々な疑惑で刑事裁判の被告でもある李在明氏と対等な立場で会うことに拒絶反応を示していました。
おそらく、大統領の目には「取調室や法廷で問いただすべき人物」としか映っていなかったのだと思います。

また、「国民の力」も、政権奪還に向けて有力な候補者が党内にいなかったところに尹氏を三顧の礼をもって迎え入れただけに、強く諫める人物がいない状態でした。

というわけで、尹大統領は李在明氏のことは知らんフリを続けていたのですが、先の総選挙で与党が大敗したことで、ようやく重い腰を上げました。
以前の記事 ↓ でも書いたように、総選挙で与党が敗れた一番の原因は尹大統領があまりにも国民や野党とコミュニケーションを取ろうとしなかったことです。

手痛い敗北を経て、ようやく「国民の力」の議員たちも尹大統領に対する「お客様扱い」を修正し、また、尹大統領自身も「検事と同じスタイルじゃダメだな」と理解し、自分から李在明氏に会談を持ちかけました。

「協治」なるか

遅きに失した感は否めませんが、尹大統領の任期はまだ3年間あります。国会では与党が少数派なだけに、最大野党の協力を得られなければ早々に「レイムダック」と化します。

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