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福祉側の定着支援は「権利擁護」が目的

就労移行支援から就職して6ヶ月が経つと、就労定着支援という福祉サービスを利用できます。3年間使える福祉サービスであるため、就職日から考えると3年6ヶ月まで支援を受けることができる制度です。僕が所属する事業所では、就労定着支援の利用期限が終わった後も、福祉サービス以外で定着支援を続けていて、いわゆる期限なしでご本人支援を続けています。最近も、長く働く就職した人と面談をしました。2人で話したり、担当スタッフの面談に同席したりと、面談ではいつも色んな話を聞かせてもらっています。

仕事って、働き続ける中で、ホント色んなことがあります。苦しい時もあるし、ストレスを感じる時もあるし、上司や同僚とうまくいかいことも少なくない。愚痴や不満を言いたくなることもあれば、嫌で辞めたくなることもあります。就職した一人ひとりにとって働く中で感じることは、内容の濃淡も、想いを聞かせてもらうタイミングも、一人ひとり違いがあり、定着支援で長く関係性を築いているからこそ、面談で聞き取りやすいことは結構あるものです。

 


そんな中、最近思うことは「定着支援は福祉側で進めることに意味がある」ということ。

先ほどの就労定着支援は福祉サービスですから、市町村が本人のために必要なサービスとして支給決定するものであり、支援する事業者・支援者は本人のために支援を進めることが大前提となります。障害者雇用は、雇用側で採否や契約更新の有無を判断されるため、本人にとって不利益とならないよう権利を誰かが守る必要があり、福祉サービスでやる意味はここにあると思います。

それに、障害者差別解消法で言うところの「合理的配慮」は、採用時だけに限らず、働き続ける中で適切な配慮を対話し続ける必要があり、支援者は専門職として合理的配慮を見守り、適宜モニタリングする必要があります。本人にとって分かりやすい指示になっているかとか、マニュアルや環境面の整備はされているかとか、周りの人は本人のことや障害特性のことをポジティブに理解してくれているかなど、確認するポイントはたくさんあります。

これは、感覚的なことですが、3年しか使えない就労定着支援が終わった後も、5年や10年と長く働く人にも支援者がそばにいる方が良い気がします。長く働く中で本人の能力は過大評価されることもありますし、配慮事項や特性理解などはマンネリ化してしまう恐れもあり、働く障害のある人の権利を守る支援は、途切れることなく誰かが担う必要があるように思います。

 

定着支援って、長く働き続けることを支援するのが目的ではなく、本人らしく働くための『権利擁護』が最も重要なんじゃないでしょうか。最近はそんな気がしています。

福祉で行う就労支援は、いつでも本人ファーストで支援を進められることにやりやすさとやりがい感じますし、そこを忘れないように、働き続けるご本人と長く付き合っていきたいなぁって思います。

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