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XP祭りで頂いた沢渡あまねさん著:「コミュニケーションの問題地図」を読みました

 先日記事を公開した通りXP祭り2023にてスタッフとして参加&登壇し他のですが、今回の記事はその番外編としてXP祭りで頂いた『コミュニケーションの問題地図』の感想を書いていきたいと思います。

頂いた書籍はこちら


XP祭りの本贈り企画とは

 そもそもXP祭りの本贈り企画についてです。XP祭りは日本エクストリームプログラミングユーザーグループが主催する年一回のイベントで今年で22回目の開催となりました。2020年よりオンライン開催となっており、今年もオンライン主体(ワークショップ開催のみオンサイト会場あり)で行われました。参加申込者数は500名を超え基本的にはITに関連するものは何でも構わないという姿勢で、全国から沢山の登壇者が日々の学びを発表するイベントです。
 その中で様々な出版社様や一般社団法人スクラムギャザリング東京実行委員会様よりエンジニア向けの書籍を寄贈いただき、登壇者や参加者へ書籍をプレゼントするという企画をやっています。
 その企画の中で私は沢渡あまねさんが書かれた『コミュニケーションの問題地図』をいただきました。
 XP5つの価値基準(コミュニケーション・シンプリシティ・フィードバック・勇気・リスペクト)の1つでもあるコミュニケーションの問題について書かれた本なのでとても読むのを楽しみにしていました。

書籍の感想

 基本的に書籍の要約やネタバレにはならないように感想に絞って書いたつもりですので気になる、読んでみたいとと思われた方は是非ご購入ください。

書籍の目次

 本書籍は以下の目次で構成されています。
(技術評論社様の書籍ページより引用しています。)

・はじめに コミュニケーションなる思考停止ワードに,そろそろ真剣に向き合おう!
・1丁目 一方通行
・2丁目 階層間の景色が合わない
・3丁目 こそこそ主義
・4丁目 忖度文化
・5丁目 目先主義
・6丁目 とりあえず1on1
・7丁目 コミュニケーションコストの意識がない
・おわりに 景色が変われば,組織は変わる

https://gihyo.jp/book/2023/978-4-297-13595-9#toc

 私は毎朝、始業前に一章ずつ読みましたが、どの章も「これわかるわー」とか「うちでもあるわー」と思いながら毎日読んでいました。
 特に印象に残った章は「はじめに コミュニケーションなる思考停止ワードに,そろそろ真剣に向き合おう!」と「2丁目 階層間の景色が合わない」の2つの章でしたので、その2つの章についてさらに言及したいと思います。

はじめに コミュニケーションなる思考停止ワードに,そろそろ真剣に向き合おう!

 誰しもコミュニケーションに問題意識を持ったことがあると思います。
 それは自分個人だったり、プロジェクトやチームだったり様々な所できっと日々感じていて、個人で「よし、コミュニケーションを改善しよう」と決めたり、または「今後コミュニケーションを改善していきましょう」とマネージャーやリーダーから言われることもあるのではないでしょうか。
 一方で「コミュニケーション」という言葉が持つ定義はとても広く曖昧なもので、いざ改善しようにも一体何から改善したら良いのかわからないとなることも少なくないと思います。
例えば、それは受け手側の問題なのか発信する側の問題またはツールやルールの問題だったり、コーチング・ティーチング・フィードバックといった技術の問題だったりと本来解像度を上げて議論しないといけないのにも関わらず思考停止して「コミュニケーション」と一括りで考えてしまうことも少なくないと思います。
 「はじめに」の中ではコミュニケーションを「環境」「プロセス」「関係性」「スキル」「カルチャー」5つの要素に分解し、着目すべきと書かれています。以降7つの章でもどの要素について書かれているのか、実際の現場でどの要素をどうやってアップデートしていくか考えながら読んでいくことをお勧めします。
 また、表紙を開けてすぐにある「コミュニケーションの問題地図 全体マップ」は本文の各章の概要説明兼全体の関連性を示したものになっており、本文を読んだ後に改めて見返すことで更にその解像度が上がるようにとても整理された内容になっていますのでこれからも何度も見返したいと思います。

2丁目 階層間の景色が合わない

2章の目次です。
(こちらも技術評論社様のページで公開されているものになります。)

ビジョン,ミッション,バリュー,パーパス……キレイに掲げられてはいるものの
5つの「ない」で,みんな我関せず,宙に浮いてしまう
残念な組織には4つの「低下」がもたらされる
①自分たちでビジョン,ミッション,バリュー,パーパスを(再)定義する/かみ砕く機会を設ける
②キーワードや文章をわかりやすくする
③経営と現場との対話機会を増やす
④とにかく行動,とにかく意味づけする
⑤人事評価制度や採用基準とリンクさせる
⑥常日頃からフラットなコミュニケーションを

https://gihyo.jp/book/2023/978-4-297-13595-9#toc

 ミッション・ビジョン・バリューはMVVと略されることも多くいろんな会社や部署で掲げられていると思います。
 一方でそのMVVはあまり現場の状況を把握していない一部の経営層やコンサル会社で勝手に決められていることもあります。
 そうして作られた時点で目線が合っていなかったり、作ったことで満足してしまっていて結局各マネージャーや個人の目標とリンクしていなかったりうまく運用できていないと感じることもあるのではないでしょうか。
 そんな組織は一体どうなってしまうのか、ではそうならないためにはどうすれば良いのかこの章には沢山のヒントが書かれていましたので是非手にとってお読みいただければと思います。

最後に

 「はじめに」と「2丁目 階層間の景色が合わない」にフォーカスして感想を書きましたが、書籍全体を通して誰もが課題感を抱いているであろう「コミュニケーションの問題」について解像度を上げて掘り下げて全体を考えることができるとても良い書籍だと思います。
 また、著者の沢渡あまねさんには実際にJTCと呼ばれる会社を含む会社での勤務経験があり、その経験を通じて感じた組織のしがらみだったり、逆に尊敬すべきマネージャーの姿だったりと活きた経験が書籍には書かれていて恐ろしいほどの生々しさを感じつつも、でもどうしていくかについて考えさせられました。
 とりあえず私は、組織のミッション・ビジョン・バリュー・パーパスをもう一度確認し、日常の業務とリンクして考えたり、上司との1on1をもっと効果的にやるためにどうすれば良いか考えるところから始めたいと思います。

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