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35歳でIT企業を辞めて、漁師にジョブチェンジした僕の話


はじめまして。鈴木隆太といいます。年男の35歳です。

僕はつい最近まで株式会社LIFULLという会社で働いていました。

24年3月末で会社を辞め、この4月に東京から宮城県女川町という海の街に移住。いま漁師を目指しています。

このnoteでは、なぜ漁師になろうと思ったのかを振り返って書いてみました。同世代でキャリアに悩む誰かにとっても何かヒントになることがあったらうれしいです。

僕の自己紹介

僕は1988年7月21日に東京都で生まれました。

都内の公立小学校・中学校・高校に通って、14年間サッカーに明け暮れる毎日を過ごしました。2007年に都内の私立大学に入学。単位ギリギリで2012年3月になんとか卒業します。

2012年4月に株式会社LIFULL(旧株式会社ネクスト)へ新卒で入社。2年目から大阪に配属されて、2015年1月まで在籍しました。

その後2015年2月に認定NPO法人カタリバに転職。島根県雲南市という人口3万5千人の町で、キャリア教育事業と不登校支援事業を軸に新しい拠点を立ち上げる業務を担当しました。

当時の仕事や思いはこの記事で語っています。

2022年4月に株式会社LIFULLへ出戻り転職。「出戻り転職」として取材いただいた記事が東洋経済オンラインで公開されているので、興味のある方は読んでみてください。

そして2024年4月。

出戻ったLIFULLを辞めて、漁師を目指して東京から宮城県女川町に移住しました。

定置網漁と牡蠣養殖の漁師見習いとして修行をはじめたところです。

女川町でお世話なっている株式会社昭福丸のメンバー、漁師の大先輩たち

漁師になろうと思った理由

僕はこれまで「将来は漁師になるんだ!」と思ったことはありませんでした。実家が漁師の家庭でもありません。

ライフイベントが多かった20代中旬〜後半が終わって、30歳になった頃。今後10〜20年の自分のキャリアについて真剣に考え始めました。

大好きな仕事をずっと情熱を持ってやっていくにはどうしたらいいだろう?

そんなことを考えていると、4つの軸がうかびました。

  1. 自分が好きなこと(もの)を仕事にしていきたい

  2. 一生続けていける(いきたいと思える)仕事がしたい

  3. 人が喜んでくれることを実感できる仕事がしたい

  4. 誰と働きたいか?を大事にキャリアを形成したい

この4つの軸で自分のキャリアを考えていこうと思い、アクションを始めます。

ここから、僕が漁師になろうと決意するまでの行動と感じたことを、時系列で振り返ってみたいと思います。

漠然と「海」に関わる仕事をしていきたいと思い始める(2019年頃〜2020年頃)

僕は昔から海が好きで、将来は海の側で暮らしていきたいと思っていました。ちなみに趣味はサーフィンです。どんな仕事をしても、大変なことは必ずあります。結局は好きなことならずっと情熱を持ってやっていけるのではないか?と考えるようになりました。

人生100年時代をどう生きていきたいか?を自分なりに模索すると、老後という概念が無くなりました。死ぬまで現役という生き方が当たり前になっていくと思っています。

だからこそ、長く健康に生きていける仕事をしたいと思うようになりました。頭と体の両方を使う仕事こそ、ずっと健康でいられるはず。

こんな風に考えて、ぼんやりと海に関わる仕事がしたいと思うようになります。

もっと「海」に関する仕事の解像度を上げる必要があることに気づく(2020年頃〜2021年頃)

海に関わる仕事がしたいと漠然としか考えていなかった僕は、もっと具体的に知る必要があると考えました。

もっと海で働くということはどういうことなのか?海で働くひとたちは、どんなキャリアを歩んでいるのか?

さまざまな「海」に関する仕事をしている人たちの話を聞きたいと思いました。

漁師・魚介類の加工屋さん・海の仕事を支えるマーケターなど、さまざまな人を訪ね歩きました。

女川の漁師さん(株式会社昭福丸の鈴木公義さん)の元を訪ねる(2022年)

元々知り合いというご縁があって訪問した、宮城県女川町で漁師を営む鈴木公義さん。

鈴木さんには話を聞くだけでなく漁師の仕事を体験させてもらいました。

ここで僕は「こんなに面白い仕事があるのか!」と感動することになります。

鈴木公義さんに10年ぶりに再会!

食という人間の根幹を支える仕事の現場に向かう漁師さんたち。毎日真剣で、一つ一つの仕事に妥協が一切ありません。

海で命をかけて仕事をする姿。
魚という命に真剣に向き合う姿勢。

魚を獲るために緻密に計算された仕掛け。
天候をうまく乗りこなすために頭と経験をフル活用する仕事の進め方。
ベテランの漁師さんでも判断に迷う、自然の奥深さや難しさ。

そして、朝日を浴びて船上で仕事をする開放感、景色の雄大さ。

一生かけて探究していく必要性と面白さが、海にはある。

いま働いている漁場から見える朝日

漠然とした「海に関わる仕事がしたい」という気持ちが、「漁師になりたい」に変わる経験でした。

非日常に酔っているだけではないか?と悩む日々(2022年〜2024年)

漁師になりたいと本気で思いはじめた僕は、同時にとても悩むことになります。本当に自分にこの仕事ができるのか、やりたいのか。漁師の仕事に本気で向き合う覚悟はあるのか。

なによりも、非日常的な時間と空間に酔っているだけではないか?と自問自答しました。

悩んだ僕は、3ヶ月に1回のペースで女川町を訪れ、漁師さんと一緒に働かせてもらうことにしました。

一緒に船に乗せてもらい、微力ながら仕事を手伝わせてもらう

1回の訪問で5日〜10日ほど滞在して、漁師の暮らしを疑似体験させてもらいます。この定期訪問を約2年半続けて、本当にやりたいのか、やれるのかを検討しました。

この期間は漁師さんたちと関係性を深めながら、僕という人間を知ってもらう機会にもなりました。

朝4時から海の仕事をして、10時からLIFULLの仕事をする時間を、3ヶ月に一度つくり続けた

女川町の鈴木公義さんに決意を伝える(2023年5月)

漁師になる。

そう決心した僕は、2023年のゴールデンウィークにまた女川町を訪れました。

何度もお世話になっていた漁師の鈴木さんに「女川町に移住して漁師になりたい」と伝えます。

この時から東京から女川町への移住と漁師の仕事をはじめることについて、具体的なスケジュールの相談をはじめました。

会社に女川町に移住して漁師になりたいと伝える(2023年11月)

スケジュールの目処がたちはじめた23年11月に、LIFULLの上司に相談しました。

やりたいことがあるなら頑張れ!と背中を押してもらいます。(桝田さん。その節は本当にありがとうございました!!)

その後、新卒のときからお世話になっているLIFULL会長の井上さんと、社長のゆうじさんにも女川町へ行くことを報告しました。

ありがたいフィードバックをいただきつつ、2人にも応援していただきました。(井上さん、ゆうじさん、その節は本当にありがとうございました!!)

報告はプレゼン資料にまとめて
井上さん・ゆうじさんからありがたいフィードバックをいただきました!

意を決して女川町へ(2024年4月)

こんな変遷を通じて、2024年4月。漁師になるために女川町にやってきました。

これからどんな漁師になっていきたいか?

まずは浜の仕事を早く覚えようと奮闘しています。一日でも早く戦力として仕事をするというのが直近の目標です。

現状はまだまだ何もできません。浜の人たちに聞きまくって、自分ができることを1つでも増やし、仕事を覚えていく。新人として必死にやっているという毎日です。

日々の仕事をスプレッドシートに振り返り、
翌日の目標とやるべきことを整理しながら仕事を覚える

30代中盤から未経験で異業種にチャレンジさせてもらえるのはありがたいことです。

僕がいる桐ヶ崎の浜は本当に良い方々ばかり。1年目特権をフルに活用して早く仕事ができるように、地道に努力を続けたいと思っています。

今年は、たくさん恥をかいてちょっとでも前に進む。そんな1年にしていけたらと思っています。

自分で仕事を進めていけるようになったときには、今まで自分が培ってきた教育やITなどのキャリアと漁業を絡めて「思い描いているような未来/思いがけない未来」を実現したいと思っています。

やりたいと思っていることを実現するために地道に進みます

ちなみに、5月1日は定置網漁のスタート日。

その日の朝取れた初モノ(アジやカマスなど)をお世話になっている女川町の方々に、港から直行で配達させてもらいました。

みんなから「隆太の初モノ嬉しいよ!」「本当にありがとうね!」と言葉をもらえて、感無量でした。

朝採れた魚を袋にパッキングしている様子

見習いなりに一生懸命獲った魚を通じて、直接ありがとうと言ってもらえるのはとてもうれしい経験でした。こういったやりとりをずっとしていくために、海の仕事を選んだんだとあらためて感じました。

きっと大変なことがあったときに何度も思い出す仕事の“原点”を感じた瞬間でした。

喜んでくれる人の輪をもっともっと大きくしていけるように、これからも修行を積んで、頑張っていきたいと思っています。

そんな僕の挑戦の日々を温かく応援いただけたら嬉しいです。女川町に足を運んでいただき、飲みながらお互いの近況などを語れたらと思っています。

「気持ちよく生きる。」

そんな毎日をこれからも積み重ねていけるよう日々精進し、多くの人たちの助けを借りて、手を取り合っていけたらと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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