見出し画像

政府渉外とは「社会実装」のために制度や社会にイノベーションを起こす仕事だ

元官僚の私はとある団体で「政府渉外」という分野の仕事をしている。マーケティング、営業、経理といった職種とは異なり「政府渉外」とは多くの方にとってなじみがない用語だと思う。

「政府渉外」とは文字のごとく、政府=立法府の国会議員や行政府の官僚に対して、渉外をするミッションを担うポジションであり、企業・団体での要望事項などを政府に伝える仕事と言えるかもしれない。

実はこの「政府渉外」という職種は私が官僚を始めた時にはすでに存在していたように思う。「公共政策部門」という呼び名が多かったように記憶しているが、経団連に名を連ねるような企業には、〇〇省担当のように人材が計画的に配置されており、新しい制度を創設するとなった時には、こういった人材が政府に陳情(=お願い)を行ったり、苦情を入れたりしていた。つまり、守りの意味での、政府渉外が強かった。

インフォメーションテクノロジーが登場した後は、この様子が少し異なってくる。日本の場合は特に顕著なのだが、ITが登場しても、制度や社会に紙文化を深く根付いていたため、制度や社会が技術になかなか追いついていない状況が続いた。これを打破するために、IT系企業は「政府渉外」という役割の人材を意識的に配置した。

この人材に期待したのは、守りの政府渉外ではなく、攻めの政府渉外だった。革新的な技術を社会実装するためには、制度や社会にどのようなイノベーションを起こしていくのか。人類の歴史は、絶えずイノベーションとの闘いだったと言っても過言ではないだろう。

今でのこそ、DXという言葉が一般的に根付きつつあるが、100年前には、電気革命ならEXが起きた。当時は、蒸気タービンによる生産が当たり前の世の中において、電気が発見され、それが社会に浸透するには約50年がかかったと言われているが、歴史を紐解けば、人類はおなじようなことを経験しているのである。

だから、昨今のDX潮流の中では、EXと同じようにイノベーションで制度や社会を変えていくことが求められており、この役割の一旦を担うのが「政府渉外」という職種の魅力だとも言える。このような理由から、政府渉外の業務経験では、官僚時代に制度の企画立案、つまり、制度設計や創設などに携わった経験などが求められることも少なくない。

政府渉外とは「社会実装」のために制度や社会にイノベーションを起こす仕事であり、私同様に官僚からこの分野にさらに優秀な人材が流れ込んでくることを密かに願っている。


流星の自己紹介


流星が執筆した大人でも英語が出来るようになるノウハウ


サポート頂いた際には、英語のスキルを磨くことやオーストリアのサウナ活動に使用させていただく予定です。そのスキルや活動はnoteの記事で皆様に還元できればと思います!