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ネバーエンディングストーリー

昔書いた小説たちのことを思い出した。まだ小学生の頃、ノートにシャーペンで書いた物語。途中で飽きて、展開に悩んで、もっと面白そうな新しいネタを思いついて、未完成のまま放り出した物語。そんな物語がたくさんあるなぁと思い出した。

こういうのは設定を考えている時が一番楽しいものだ。勇者が魔王を倒しに行く物語。魔王軍の設定だけは一生懸命考えた。火水土風の四大元素を司る魔王軍四天王……ぐらいならまだいい。八鬼衆、十傑集、十二魔天。多ければ多いほど良いとばかりに名前とか特長とか必殺技とか弱点とかだけを書き出したものだ。そうしてせいぜい1人か2人倒したところで飽きて辞めてしまう。それでも十二魔天は消化しなきゃ!と3人まとめて出したりして、でもこれどうやって倒すんだ?なんて所で断筆したこともあった気がする。まったく酷い作者もいたものだ。

今でもあの物語たちは結末を待っているのだろうか。魔王に支配された世界、文明が滅び荒廃した世界。神の都合で理不尽な不幸を貼り付けられた世界で、平和なエンディングが訪れるのを待っているのだろうか。四天王の残り2人は、十二魔天の残り8人は、勇者が自分を打ち倒す日を待っているのだろうか。ノートごと捨ててしまったような、もはや主人公の名前すら覚えていないような、物語にさえなり切れていない物語。あの物語たちがあったからこそ今の自分がある……なんてことを言ったところで、終わりを迎えられなかった物語たちにとっては何の救いにもなっていないんだよなぁと思う。神は世界を見捨てた、その事実は今さらどうにも出来ないことなのだ。

昔書いた物語たちを思いつつ、今日も物語を紡ぐために家を出た。少し肌寒い、青く晴れた朝。今度はちゃんとハッピーエンドを目指して。行ってきます。

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