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感染症と情報操作の恐怖

連日新型コロナウイルスの報道が飛び交っている。感染者や死亡者が確認されるたびに、テレビでは速報を流している状況だ。国内ではマスクが品切れとなり、一部企業では出社を禁止し自宅で待機するなどの措置が取られている。世界的規模でパニックの様相を呈しているわけだが、現在の状況を改めて冷静に考えてみたい。

状況の整理

2月21日午後9時時点における国内で確認された感染者数はクルーズ船を除くと、国内感染者は73人でその内訳としては中国からの旅行者が12人、チャーター便15人、検疫官、国・自治体職員が6人という状況である。

ただしこの人数はクルーズ船を除外した数字であり、船内の感染者は634人に上る。とはいえ感染症の患者がいる中、数日間も閉鎖された環境を強いられるという特異な状況で発生したわけであるから、これは通常の国内感染者数と区別して考えないと客観性に欠けるだろう。

国内での死亡者は現在のところ80代の女性1名である。

コロナウイルスはどれくらい危険なのか

2月17日時点WHOの発表によると「8割は軽症、致死率は2%でMARSやSARSほど致命的ではない」との見解を示した。これは新型コロナウイルスが騒がれ始めた約一カ月前の見解とほぼ変わっていない。因みにMARSの致死率は30%、SARSの致死率は10%である。

しかし今後ウイルスが変異し、SARSのような致命的感染症となる可能性があることは否定できないとしている。

報道合戦や群集心理が産み出すインフォデミック

現在、テレビやネットなどで根拠のない情報やフェイクニュースが大量に拡散する状況が起きている。新型コロナウイルスが生物兵器であるとか、感染の疑いのある中国人観光客が検疫検査を拒んで逃走した等、テレビ報道を中心とした虚偽の情報は上げれば枚挙に暇がない。

皮肉にもコロナウイルスが猛威を振るう前に、デマ情報が世間では猛威を振るっている。WHOはコロナウイルスに関して、パンデミックではなく科学的根拠や事実無根の情報が拡散するインフォデミックが今起きていると指摘しているのだ。

デマ情報に惑わされて、正確な情報が虚偽であるかのように拡散されることの方が、現時点ではウイルスより恐ろしい状況といえるだろう。視聴率重視により国民の不安を煽り、不正確な情報を流すマスメディアには正直辟易するが、国民一人一人も今一度事実と虚偽の情報を見極める冷静さを持って欲しい。

感染症に関する最も重要な予防策

厚生労働省はもとより、多くの医師や専門家が、コロナウイルスに対する予防策として、マスクの着用、手洗い、うがいを推奨している。確かにこれらは間違った予防策ではない。特に手洗い、うがいはしっかりと行えばそれなりの効果は期待できる。

しかし最も重要な予防策がほとんど呼びかけられないのはなぜだろう。例えば、バス内での感染にしろ船内での感染にしろ、感染者が出たことは事実なのだが、感染していない人間の方がずっと多かったことにもう少し着目すべきではないだろうか。

ウイルス感染で死に至るのは、ほとんどの場合、高齢者や基礎疾患のある病人である。なぜならそういった人達は免疫力が弱いからだ。免疫力が弱ければ、病気は重症化しやすいし、そもそも病気にもかかりやすくなる。閉鎖された空間の中で感染症に罹患した人とそうでなかった人との違いに、免疫力が強く関係していることは間違いないだろう。

要するにマスク、手洗い、うがい以上に私たちがより注力すべきことは、しっかりとした睡眠、バランスの取れた食事、そして適度な運動なのである。大塚製薬の研究によると睡眠時間が7時間未満の人は、睡眠が8時間以上の人に比べ約3倍も風邪を引きやすいという結果が報告されている。

睡眠、食事、運動が人間の免疫力と密接に関係していることは様々な研究結果からも明らかにされている。こうした当然と思われる健康管理こそ、最も重要な感染症対策であり、もっと伝達されなければならないはずである。

それにも拘らず、手洗い、うがいはまだしも一部ではマスク着用をも徹底するよう声高に叫ばれている現状に、筆者は不気味な違和感を感じずにはいられない。罹患者、医療従事者でない人がマスクを不適切に使用し、不必要な供給とコストの問題が発生し、事態の悪化を招いていることも報告されているのだ。

今後の動向について

現在もまだコロナウイルスは感染を広げており、終息の目処は立っていない。今後どのような状況になるのか十分に注意を払って、対策していくべきであることは間違いないだろう。しかし殊更に恐怖心を煽るだけの、事実とはかけ離れた情報などに惑わされてはならない。

どんな状況においても私たちは常に、冷静に事を見極め、情報を取捨選択し、正しい行動をとる理性を保つことが何よりも必要なのである。





最後まで読んでいただきまして、本当にありがとうございました!