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名門海外修士号入門講座(2)どのように出願書類を準備するか?

国内大学院受と異なり欧米、アジアのトップスクール修士号は入試はなく出願書類の出来が全てです。レジュメ(CV)、エッセー、推薦状はどのように準備したらいいのでしょうか?解説します。

(1)なぜ出願書類の作成に情熱を注ぐ必要があるのか?

一般的に海外大学院の出願対策をスタートする場合、IELTS等のスコアメイクをこなしつつ同時並行で出願書類(CV、エッセー、推薦状)も準備していく事になります。日中、働いている社会人は基本的にIELTS等のスコアメイクに時間がとられ出願書類は後回しになりがちです。

しかし、国内大学院と異なり入試がない海外大学院はアドミッションが出願者を判断する材料はこの英語試験スコア含む出願書類のみとなります。特に志望動機を書くエッセー(又はPersonal Statement)の出来は合否を大きく左右すると言われています。

CVや推薦状も含めた総合評価が高ければ英語試験スコアが多少、要件に足らなくてもオファーが出るケースもあるくらいです。これは出願書類を読んだアドミッションが出願者に伸びしろ、成長性等のポテンシャルを感じたからだと考えられます。

よって、英語試験のスコアメイクに割く情熱や時間を出願書類の作成に割く必要があります。およそ、学歴もキャリアも申し分がないのにトップスクールからオファーが全く貰えなかった原因の1つに出願書類の質の低さが挙げられるでしょう。試験で評価する日本と異なり、出願書類の質で判断する欧米、他アジアの大学院の考え方の違いをまず頭に入れて頂く事が出願対策の第1歩となります。

(2)CV(履歴書)で重要な事3つ

一般的に出願書類はCV→エッセー→推薦状の順番で準備するとスムーズです。まずはCVの作成を通して自分のキャリアをリスト化し、その歩んできたキャリアやこれから歩みたいキャリアをエッセーで表現、そして上司にCVとエッセーの内容も加味した内容で書いて貰えば出願書類に一貫性が出ます。

そしてその後のインタビューでは過去の自分、大学院入学後の自分、卒業後の未来の自分について問われる事が多いので特にCVとエッセーがしっかりしたものを準備できていれば、複雑な想定問答集を作成せずともこれらの問いに適切な回答をすることが可能となります。

よって、まずCVは過去の自分の振り返りの時間であり、大学院入学後の自分とその後の未来の自分を定義づけるために重要なプロセスです。CVは単なる履歴書ではなく転職活動に必要となる職務経歴書に近い書類です。すなわち、会社名の下に配属されたプロジェクト名やそこでの成果や実績を記していく事になります。

<CV記載の例>

2020年7月 国内コンサルティング会社A 入社

同年7月 デジタルマーケティング部に配属、アシスタント職。

1)デジタル広告キャンペーンのサポート:

フューチャーコンサルティング株式会社に入社し、デジタル広告キャンペーンの実施と分析をサポート。CTR(クリックスルーレート)の向上とコンバージョン率の改善に貢献。

2)SNS戦略の立案:

SNSプラットフォームでのプロモーション戦略の立案に参加。ターゲットオーディエンスの拡大とブランドのオンラインプレゼンスの向上に貢献。


ここで重要なのはCVでは「キャリアの右肩上がり」感を少しでも演出する事です。転職をしていない場合は役職昇級や業務内容が年齢と共にステップアップしている様子が伺えるとアドミッションも「この出願者は修士号取得後に更なるステップアップが見込めそうだな」と感じてもらえる可能性があります。

転職している場合は逆に「キャリアの右肩下がり感」を感じさせる場合があるので、これから転職を検討している方はグレードダウンになる転職はできる限り避けましょう。例えば多いのが新卒→大手商社(銀行、中央省庁)1〜3年→中規模事業会社というパターンです。

勿論、相応の理由があれば良いのですが、キャリア上のつまづきと捉えられてしまう転職はCVを作成する際に「右肩上がり感」の演出に苦労しますので、避けてください。既にこのパターンに当てはまる転職をご経験されている方はCV上だけでなくエッセーで挽回可能なのでとにかくアドミッションにポジティブに受け取られるようなストーリ作りが必要です。


(3)エッセーで大切なたった1つの事「ストーリー性」

海外大学院出願はエッセーで決まるとも言われている程、最もクォリティの高さを追求すべき書類です。重要なのは「ストーリー性」です。CVが出願者の過去と現在を表現する書類であるならば、エッセーは過去、現在、未来を表現する書類です。

しかし、感動を呼ぶような壮大なストーリーをエッセーで表現しようとする必要はなく、概ね以下の項目に対して具体的経験や実績を持って文章化することに成功すれば、アドミッションも「Make sense.(なるほどね。)」と共感等のポジティブな感情を生み出す事ができ、オファーを頂ける可能性は高まります。


・出願者は社会の中でどのようなビジョンを持っているのか?
・そのビジョンを達成する上でどのような長期ゴールと短期ゴールを設定しているか?
・設定した長期ゴールと短期ゴールを達成する上で過去や現在の企業でどのような努力をしてきたか?しているか?これからしていこうと考えているか?
・これらのゴールを達成する中で出願を希望する大学院の修士号はどのような役割を果たすのか?
・出願者が出願する大学院の修士課程にどのような貢献が期待できるのか?

逆にこれらの項目が一貫性を欠いた内容であれば自ずとストーリーに説得力がなくなりアドミッションも「Make no sense. (よく理解できない。)」というネガティブな感情を生み出すことにつながり、オファーを頂く可能性が遠のくでしょう。こういう場合は背伸びをし過ぎている、地に足がついていない、具体的な体験談や実績に基づいてストーリーを作っていないケースがほとんどです。

アドミッションはそれこそ何千人もの出願者のエッセーに触れているため、不自然で無理があるストーリーはすぐに見抜きます。よって、少しストーリーは盛りつつも、決して背伸びはせず等身大の自分で結構ですから「Make sense. (なるほどね)」と感じてもらえるような一貫性のあるストーリー作りを心がけましょう。

(4)推薦状の準備の仕方

海外の大学院に提出する推薦状を準備する際には、自分自身で推薦状を作成し、その内容で上司や教授に承認をお願いする方法が効果的です。これにはいくつかの理由があります。

1. 時間節約
上司や教授は通常、非常に忙しいため、推薦状を一から作成する時間がないことが多いです。あらかじめ推薦状を自分で準備しておくことで、彼らの負担を軽減し、迅速に承認を得ることができます。

2. 言語の問題
海外の大学院には英語での推薦状が求められることが多いですが、すべての上司や教授が英語での書類作成に慣れているわけではありません。当然、出願者もネイティブではないので正確な英語での推薦状作成は難しいですし、やるべきではありません。推奨する形は自分でまずは日本語で推薦状を作成し、私どものような留学エージェントに添削してもらい、さらにそれを翻訳専門サービスに委託し正確な英語を用いた推薦状に仕上げる事で、言語の壁を乗り越える手助けになります。当然、推薦者に見せるのは日本語訳がスマートです。

3. ストーリーの一貫性
自分で推薦状を作成することにより、自分の強みや達成したこと、目指している学問的な目標などを正確に伝えることができます。直近の上司は別として、特に教授へ依頼する場合は、被推薦者を覚えていないケースが多くいつも依頼されたら使っている雛形を元に推薦状を作成する場合もあるかもしれませんし、その内容がエッセーとは真逆の記述がなされている場合、出願書類の一貫性が保たれなくなる危険性もあります。よって出願書類のストーリーの一貫性を担保するためにもできる限り自分自身で執筆する事をお勧めします。

以上の理由から推薦状を自分で作成した後、上司や教授には内容を確認してもらい、必要に応じて修正や追加の提案をしてもらいます。このプロセスは、彼らの承認を得るための協力的な手法となります。この方法は、海外の大学院への応募において、推薦状の準備をよりスムーズかつ効果的にするためのスマートなアプローチです。

(5)出願プロセスはサイトに出願書類を登録した時から始まっている
最後に留意して頂きたい点は、出願プロセスは大学院のサイトで出願書類を送信した時からではなく、出願書類を登録し始めた時から始まっている可能性が高いという事です。もちろん、出願書類を全てオフラインで整えてから一気にサイトにそれらを登録して数日程度で送信する場合は当てはまりませんが、例えば出願の半年くらい前にまずはCV、翌月にエッセーをゆっくり時間かけて順次登録していく場合の話です。

大学院にもよりますが1つ出願書類を登録すると、アドミッション側から「メールや電話で一度お話ししませんか?」とコンタクトメールが届く事があります。もちろん、提出前に出願者のCV等を見ている訳ではないと思いますが、私自身も経験があります。このようなメールが来た時は真意は測りかねますが事実上そこからが出願プロセスが始まっているものと考えて下さい。

電話セッションの場合はその大学院への興味や動機、今後の出願書類の提出スケジュール等から出願予定者の過去、現在、未来に関するトピックが話題になります。比較的、アットホームな雰囲気ですが、事実上のインタビューかもしれませんのでこれらのトピックに対しての英語での想定問答集を準備していない段階では少し慎重になるべきです。

メールの場合は、仮にCVを登録した直後の場合は「ご連絡ありがとうございます。次はエッセーを準備しています。所で一転質問なのですが、、、」等とアドミッションと良好な関係を構築するためにも懇切丁寧に返信するのが正解です。よって英語での返信マナーを心得ず、翻訳サイトも何も活用せず誤字脱字や表現ミスのオンパレードのメールを返信すべきではありません。

もちろん、出願書類を登録してもコンタクトがない場合の方が多いかもしれませんが、仮にコンタクトがあった場合は、事実上インタビューになりかねない準備なしの電話セッションに応じるのではなく、まずはメールで自分の状況や今後の登録予定の書類、そして疑問点を添えて返信するのがこの段階では正解かもしれません。

いずれにしましても、アプリケーションサイトに出願書類を1つ登録した後にアドミッションからコンタクトがあったら、その時点から出願プロセスは始まっており、あなたの一挙手一投足が観察されていると思った方が無難でしょう。

これから海外大学院修士号取得を目指される方で今後、どのように出願書類を準備していくかお悩みの方はまずは無料相談にお申し込み頂きますと幸いです。


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