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Smart-IP社 創業記 その2 ~ボードメンバーを選ぶ(前編)~


誰を船に乗せるか

年末年始、会社(IPTechのオフィス)に籠り、会社のビジョンやロードマップ、プロダクトコンセプト、収支計画や組織図の素案なんかをひたすら書いていた。会社設立はこれで6,7社目。過去の資料を参考に、Smart-IP社用に修正していたりしていた。
この時に参考にしていたのがロングセラーの名著「ビジョナリー・カンパニー」シリーズ。ビジョナリー・カンパニーでは創業期に「誰を船に乗せるか」を重視する(本の中では「バス」なのだが、「船」と読み替えるのが自分にはしっくりきた)。新しく会社を立ち上げるとき、その船に誰を乗せるか、乗せないかが大事。という学びを得た。

Smart-IP社を経営するにあたって、どんなボードメンバー(経営幹部)が必要か。ひとまずいわゆるCxO(Chief x Officer)で表現し、整理してみた。

①CEO(会社全体の最終意思決定者。全責任を負う)
②COO(事業遂行の責任者であり、戦略も担う)
③CTO(開発の統括。ものを「作る」)
④CMO(マーケティングの統括。作ったものを「売る」)
⑤CFO(バックオフィスの統括。ものを作り、売るための「資金確保」をする)

これでボードメンバーの役職、つまり船に乗せる人材の「器」が決まった。


欲しいのはラストマン

ボードメンバーとして欲しい「スキル」や「実績」を備えている人材は、人材市場には結構いる。実際、ボードメンバーになりたいと声をかけてくれた方も何人かいた。ただ、僕がSmart-IP社の今後の成長のためにボードメンバーに求めていたのは「スキル」以上に、ビジョンへの共感とラストマン(後述する)としての「コミットメント」、そして「人間性」だ。

「知財」が大好きで、日本の知財制度のビジネスへの利活用に高いポテンシャルを感じつつ、日本の知財業界には課題がたくさんあって盛り上がりに欠けると感じている人。その課題をDXの文脈から本気で変えていきたいと思ってくれる人。ひいては日本や世界の知財業界をもう一段階押し上げることに、人生を賭けてもいいと思ってくれる人。

個人としての成功や名声、中途半端なお金儲けみたいなものに惑わされない人間性を持ち、ビジョンの実現に脳汁が出るような人たちであることを最低条件とした。これがあればボードメンバーとしての素養は満たしていると判断することにした。
もちろん、スキルがあるに越したことはないが、そんなものはビジョンへのモチベーションと、「最後は自分がやってやる」という覚悟を持っていれば(社内では「ラストマン」と呼んでいる)、勝手に身につくものだと思っている。

さて、いよいよ人選だ。

CEOは、僕がやる

まずはCEO。これは自分でやることにした。当初は、自分はCOOをやる選択肢もあった。事実、これまで立ち上げた会社のいくつかは、自分で創業はしたものの、代表にならなかった会社もある(というか、その方が多い)。でも、Smart-IP社は上場を目指す会社だ。上場は「会社」にとってはとてもいいと思っている。非上場の会社よりも信用度が高まるため、大企業と取引がしやすかったり、監査の観点からもガバナンスが効きやすい。知名度も上げやすいため、優秀な人材も集まりやすい。資金調達については言わずもがなだ。
一方で、「創業者」(あるいは社長、役員)にとっては株主に対する責任、高コストなオペレーション体制作りなど、様々な制約が発生する。会社の経営者が「上場なんてするもんじゃない」と言うが、理解できるところもある。非上場の方が「気楽」という側面もあるわけだ。

ただ、僕は「自分たち」のためじゃなくて「知財業界のため」という目線でSmart-IP社を作る。知財業界を今以上に盛り上げていくために、あくまでも「上場」を目指す。となると、CEOにはかなりの責任と制約が課されることになるだろう。それを人に任せるのは違うと思った。
そこで、僕にしては珍しく、Smart-IP社については自分が代表、つまりCEOをやる、ことにしたのである。

(つづく、、、かもしれない)

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