社会人大学院の必要性について

 企業で研究職として働いていたころ、どうしても学生時代の感覚が抜けなくて、会社では自分のやりたい研究ができないなぁと感じていました。結局、自分はやりたい研究ができる大学教員に転職してしまいましたが、同じような思いをしている企業研究者は多くいると思います。
 そんな企業研究者の「研究したいという欲求」を満たすものの一つして、社会人大学院に入学して、研究するのが良いと思うのですが、どう思われますか?もちろん社会人大学院入学のゴールは「博士号取得」です。
 現実的には、学費の面と時間的なこと(仕事と大学院研究の両立)が問題になるかなと思います。学費については、企業などからの委託研究や寄付研究費の一部をそれに充てるなどいくつか方法がありそうです。時間については、大学院のキャンパスを通いやすい場所に移すとか、いくつかの大学院で連携するとか、大学側の行動が求められます。この先、18歳人口が増えることはないでしょうから、大学は社会人大学院生を積極的に受け入れ、社会に対して大学の存在意義をしっかり示していく必要があると思います。「博士号を出せる」というのは、大学にとって最大の強みですので。

 社員のリスキリングやアップスキリングが注目されているので、社会人大学院の入学に対して前向きに考えてくれる企業も増えてくれるといいなぁと思います。ただ、「博士号取得」はリスキリングやアップスキリングとは厳密には別のもので、大学院での研究活動は単なる知識や技術の習得ではなく、もっと普遍的なことだと思っています。仕事として行う研究の内容が変わっても、対応できる力を身に付けるのが大学院だと思っています。

 また、社会人大学院には大学側のメリットも多くあると思います。高校を卒業してすぐに大学に入学した学生にとって、社会人大学院生は良いお手本ですし、大学教員にとっても社会人大学院生と一緒に研究することは良い刺激になると思います。

 社会人大学院を充実させ、働きながら学位を取得できる環境を整えるという考えに、皆様はどのように思われますか?ご意見等頂けると幸いです。

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