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シャーロック・ホームズの凱旋(読後メモ)

諸君、我らが森見登美彦氏の新刊だ!

2月に入ったある日、地元の書店にふらりと入ったら森見登美彦氏の新刊が目に入りました。「シャーロック・ホームズの凱旋!」これはどんな物語か気になるではありませんか。条件反射的に本を手に取りレジに向かいました。

森見登美彦氏といえば、大学生シリーズの夜は短し歩けよ乙女、四畳半神話大系、そして近年では熱帯で物語の世界に閉じ込められた男の物語を執筆したりとその文才で不思議なワクワクを体験させてくれる作成品でワタクシの大好きな作家さんです。これは読む前から期待です。

見覚えのある人たちがシャーロック・ホームズに登場している!

森見氏が今回題材に選んだのはシャーロック・ホームズ。コナン・ドイルが1887年に生み出した名探偵はその後もドイル以外の作者が作り出した映画やドラマの世界に登場し、今日でも様々な新たな事件に取り組んでいます。
そんなホームズを登美彦氏はスランプと言う難題の世界に叩き落としてしまうだけでなく、場所をヴィクトリア朝京都という全く見たことがない世界に呼び込んでしまいます。しかし、ワトソンとそのお嫁さんであるメアリなどは経歴や事件の経験はそのままに、京都でホームズの友人として悪戦苦闘しながら登美彦氏によってスランプに陥れられたホームズを救うべく大活躍します。

ベイカー街の下宿と全く同じように描かれた世界ではホームズの登場人物たちがなぜかこれまでの登美彦氏の物語に登場人物のテイストでオモシロオカシイやり取りを繰り広げます。
ダルマに目を書き込んだり、弁財天にお参りをしたり、大文字山にピクニックに出かけたりとその行動は今までの京都を舞台にした物語に登場した人々の何一つ変わりありません。
気づけば何故かドイルの描いたホームズでは宿敵だったはずのモリアーティ教授までもスランプに陥り何故かホームズと仲良しになったりと面白くてゲラゲラ笑ってしまいます。

ただ面白いだけじゃない

これまでの森見登美彦氏の作品通りの安定の面白さと思いながらもキチンと冒険の要素あり、パラレルワールドの要素あり、物語から生まれた物語が自己増殖して現世界と人物と融合して大ピンチ!という登美彦氏の世界設計にハラハラドキドキすること間違いなしの読み応えで最初は困惑しつつ笑っていたはずの京都版ホームズのスリルに引き込まれた後は安定の大団円という読んで面白い構成はきっとあなたを壮大な物語の世界に連れて行ってくれることでしょう。
そして何よりも物語を再度最初から読み直すと巧妙に仕掛けられた物語のギミックに気づくことでしょう。一冊で何度でも楽しめる間違いない物語です。
ぜひ読んでみてください。

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やはり単行本で手に取りながら読むと満足感があります。

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