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感想『アルケミスト』パウロ・コエーリョ

羊飼の少年が旅する物語。少年は旅を通してたくさんのことを学んでいく。
世界中で読まれている圧倒的ベストセラーらしい。よく見るYouTuberが熱烈におすすめしていたので購入してみた。

自分の人生を生きる

本書は名言がたくさん散りばめられており、それに共感したり、はっとさせられたりする。

「…おまえが何かを望む時には、宇宙全体が協力して、それを実現するために助けてくれるのだよ」

序盤に少年が出会う王様のセリフ。
誰でも時間が経つと自分のやりたいことは実現できないと思ったり、他人からどう思われるかを優先して諦めてしまうという文脈での話。

些細なことであっても、実現させたいことがあれば諦めずにやりきることで、望みを実現できることを説いている。

本書では、「マクトゥーブ」という言葉が出てくる。これはアラビア語で、直訳すると、「書かれている」という意味らしい。運命だ 的な表現で使われているようにも見えるが、「人事を尽くして天命を待つ」の意味が近い気がする。

何かを実現しようと努力する時、まっすぐ目的に進めることもあるが、回り道することもあるだろう。場合によっては、自分が成さず、自分の歩んできた道を辿った他の誰かが成すかもしれない。道半ばで思っていたゴールよりも、より良いゴールがあるかもしれないのだ。

必要なこと

努力すれば何でも叶う!すごい!みたいな簡単な話ではないことも、本書で書かれていることである。本書から理解した、実現のために必要なことは大きく3つに整理できると思ってて、

・自分で決心すること
・前兆に従うこと
・心の声に耳を傾けること

だと思う。

自分で決心すること

決心するということは、単に始まりにすぎないということだった。
決心するということは、まるで、急流に飛び込んで、その時には夢にも思わなかった場所に連れてゆかれるようなものなのだ。

物事は決心によって進み始める。何かを望んで実現させるためには決心が必要だ。ただ、それは始まり過ぎないことを教えてくれている。

前兆に従うこと

「…前兆に従って行かなくてはならない。神様は誰にでも行く道を用意して下さるものだ。神様がお前のために残してくれた前兆を、読んでゆくだけでいいのだ」

運命を実現させようという力には前兆がある。前兆に気づき、それを理解し、従うことが運命の実現につながる。

心の声に耳を傾けること

「おまえの心に耳を傾けるのだ。心はすべてを知っている。」

心は己の人生や世界をどう考えているか訴えてくる。自分の進むべき方向を示してくれる一方で、実現したいことが叶わないことや、自分に価値がないと感じることによって、心そのものが傷つくことを恐れている。最後には自分が傷つかないように、心の声を無視してしまうようになる。

私たちが理解すべきことは、望みを実現させるために夢を追い続ける時には心は傷付かず、毎日が輝くということだ。それは、夢を追わなければ知り得なかったたくさんのことに出会えることとも言える。

本当に誰にでもできる...?

ここまで読むと、あれ、やっぱり誰にでもはできない?とも思えてくる。

決心できない、自分で決めたくない、誰かの基準で過ごす方が楽 etc...など思う人も多い気がする。前兆とか分からないし、心の声って言われても、辛い・面倒・何もしたくない くらいしか分からない という感想が聞こえるような気もする。

確実に言えることは、望みを叶えることは楽な道ではないということである。楽をしたいのであれば、思考停止していればいいのだ。実際、本書でもそういう人が出てくる。

門戸は誰にでも開かれている。あとはそこをくぐり、前兆に従って道を進むだけである。楽ではなくとも、望むものは何らかのかたちで実現されるだろうと思う。






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