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安心してデザインに投資できるチームをどう作るか?新規事業の現場でのTRY

みなさんこんにちは。アドカレ3本目のrootの古里です。rootのみんなの素敵なTRYで溢れてるrootデザインアドカレですが、今回は先日行われたイベント「事業成長の実現に向けたTRY」の登壇でも取り上げた「組織がデザインに投資できるための資産をどう作っていくか(登壇スライドはこちら)」について記事にしたいと思います。とりわけ組織に “デザイン投資に必要な人的資本” を増やすために具体に何ができるのか。僕自身が新規事業企画という抽象度と不確実さの高い取り組みを進める中で挑戦した経験を語りたいと思います。

先回りしようとすると見失うもの

新規事業の現場を何度も経験していれば、こういう状況はよくあるでしょう。

  • ユーザーの置かれている状況が不明瞭である。

  • それゆえに現状のUIにどういう課題を感じているのかわからない。

  • ただし実際に課題の存在は数字に現れてる。何か手を打たないと現状を変えられない

  • どこにテコ入れするべきか、不確実な中で手探りしないといけない。

僕は事業開発の現場で様々なドメイン・事業フェーズの企業を支援してきたので、事業開発に対してはある程度先回りした打ち手を考えることができます。むしろ常にクライアントの不安に先回りするが自分の役目だと思っていました。そのような役目を背負っていると思い込んだままクライアントに向き合うとき、経験に裏打ちされた自信からこんな提案をしたくなるでしょう。

安心しなさい。私が完璧なプランを考えたから、あなたが不安に思う必要はない。あなたはこれを上から順にやるだけで良い。\ガントチャートドン!!/

これ、一見するとすぐに解決しそうなんですが、実は落とし穴があります。結果だけがもたらされると、それが生まれるまでにどんな知識を使ったか・どんな経験を参照したかがチームに残らないのです。僕にとっては先が見通せることでも、チームメンバーにとっては初めての状況で不安が多い、という認識にギャップがありました。僕の視点からしか見えていないことに基づく解決策は再現性に欠け、属人化していると言えます。短期的に事業貢献はできますが長期的に組織にとっての資産は増えないんですよね。つまり持続性がありません。

お互いに向かい合ってると、自分の背中側が死角になる。

隣に並ぶと見えるもの

そんな不安と落とし穴に満ちた新規事業の現場で、自身の不安を正直に語るのは勇気が入ります。なぜなら周りには知識と経験を持ってどんな困難も自力で解決しようとする人に溢れているからです。そんな中自身の不安であることに正直になってくれたクライアントのPMがいました。とあるプロジェクトで、既存プロダクトのUIに対してどんな課題があるかを調査してました。あるMTGの中でPMがつぶやいた、「今誰のために何をしてるのかわからなくて不安なんですよね」という言葉にハッとさせられました。

そうか、僕としてはいつも出てくる厄介な問題でも、このPMにとってはMTGで打ち明けるほどの不安だったんだなと、この大きな認識のギャップを認識できました。ただ解決策を提示するだけでは、きっとその先に何が得られるかをイメージできないだろう、そう思った僕は言葉に困った挙句こうきりだしました。

何が不安を感じさせるのでしょうか?あなたの視点からはどう見えているのでしょうか?一緒に次のステップに行くために仮説を立ててみませんか?その材料にしたいので教えてください!

観測地点の高さ・角度を揃えると、当然見えるものも揃う。仲間ってことだね。

こんな声かけが呼び水になり、PMの視点からどう見えているか、僕の視点からどう見えているかを正直に語り合いました。そこからPMを不安に思わせるのが「調査や検証してることがそれぞれなんの仮説に対してなのかが見えていない」という点でした。実際、僕自身にも一部仮説に対して自身の持てない点がありました。互いに正直に話すことで、一つの目的に向かっている実感がより高まりました。

目的達成に不安がある時には、目的に向き合うことをやめてしまったり都合よく歪ませてしまうことがあります。正しくむきあえないことで不安の原因も見失ってしまいます。こうしてPMが不安を乗り越え打ち明けてくれたおかげで、自分だけの視点では気づけないことに気づき、今チームは何と向き合っているかを正しく知ることができました。

違う視点からでも視野を重ねることでわかること

ほかにも、自分と相手のものの見方の差によって生まれる死角をなくすために、自分の考えの過程で参照した知識や経験を明らかしようと思い立ちました。つまり対話を重ねることですね。また、お互いに認識できていない死角があることをフィードバックしてもらうことも大事だと思い、メンバーが本音で語れる雰囲気作りにも取り組みました。具体的には、会議での発言が一部のメンバーに偏ってましたが、これをなくし主体的に議論に参加してもらうための仕組みを取り入れました。

例えば流星が大気中で発光した経路を観測するためには2点からの観測が必要

これらの取り組みを通じてチームが強くなったように感じます。例えばプロダクトの新しい指標作りのような抽象的で複雑なことにもチームの認識をしっかりと合わせながら進め、決めることができました。またユーザーへのインタビューやコンセプト受容性の検証など、すぐに成果につながらないことにも安定的に取り組めるようになりました。その結果、新規事業企画の受容性や組織ペルソナの作成のような抽象度の高い成果物を生み出し事業企画を進められました。抽象的で答えがすぐに出ないことに向き合えるチームであることが、デザインに投資できる組織の人的資本です。

これからも目的に正しく向き合えるよう、正直に語り合えるチームであり、互いの視野からどう見えているか・死角がないかをフィードバックし合い、チーム全員が主役となれるような状態を作り、維持していこうと思います。今回はデザインに投資するために必要な人的資本について語りましたが、知的資本・社会的資本・製造資本とこれからシリーズ化していく予定なので、Xやnoteのフォローよろしくお願いします
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