石楠花 直
どっぷり昭和の売れない物書き屋だす。
本にならなくても多くの方に作品を読んでいただきた…
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【小説】天国へのmail address第七章 戦いの日・会えない二人
橘が黄泉の国(よみのくに)に渡り、再度現世に戻る申請をし、許可が下りた時には、黄泉の国の時間では七日の月日が流れていた。しかし、現世の時間では一日しか経っていない。告別式で初七日の法要も行ってしまうからだ。以下は現世での話になる。第四章を参照
別れと再会
女性は隣人から回覧板を受け取ると後ろに立っていた優輔を見つける。隣人が立ち去るのを見定めてから優輔は恥ずかしそうに語り出す。
「あのー、龍
『野菜大王』と『文具大王』第7章・さよならネロ
前章までのあらすじ
食べ物を粗末に扱い不思議に星に囚われてきた康太はカンボジアの少年ネロと知り合う。ファームでピーマンを育てながら二人の友情が深まった時別れの時がやって来た。
さよならネロ
プシュ―という音と共にドアが上に向かって開いた。それはまるで康太が普段使っている筆箱その物が大きくなり、窓が付いているようであった。
「康太は一両目に、ネロは二両目に乗車しなさい」鉛筆の化け物が指示をした。
『野菜大王』と『文具大王』第6章・別れの時
別れの時
翌日、康太たちが目を覚ますとベッドの横に綺麗に洗濯された作業着と茶色い紙袋に入ったピーマンが置いてあった。
「ふたりとも目が覚めたかな」たれ目のパプリカーンが部屋にやってきた。
「師匠、作業着を洗って下さったのですか?」ネロが聞いた。パプリカーンは頷きながら言った。
「別れの時が来た! 大王様がお呼びである。その服とピーマンは記念に持って帰るが良い」
「師匠!」ふたりは泣いていた。家