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Songwriterというギブソンのダークホース

ギブソンJ-45はマーチンD-28と並ぶアコギのレジェンド的なギターだ。J-45は中域に温かみがあり、しっかりストロークすると太くてガッツのあるサウンドが出る。他のメーカーのギターには出せない、いわゆる"らしい"音が出る。
例えばRECで使いたい音のイメージがギブソンっぽい場合、他のギターでもぽく弾けるけど、やっぱりギブソンのギターを使う方が早い。最近読んだ記事だと、ユーミンの「やさしさに包まれたなら」の左でなっているアルペジオはマーチンD-35をギブソンっぽく弾いたものらしい。丸みを持ったサウンドのアルペジオにはなっているが、やはりマーチンらしい高音が聞こえてくる気がする。

かくいう私もやっぱりギブソンっぽい丸みのあるサウンドが好きだ。具体的にどの周波数がとか、そういう表現はできないんだけど、開放弦を使ったコードを優しくストロークした時の切ない感じとかが、他のメーカーにはない良さを持っていると思う。

一方で、先週投稿した記事にも少し書いたが、J-45レベルまで中低音が前に出てくると、弾き語りで歌う場合に声とぶつかる可能性がある。奥田民生、桜井和寿、あいみょん、桑田佳祐、斉藤和義、しっかりストロークしてこのギターを使う日本人アーティストは、ロックなシンガーが多い。もともと本人が表現したい歌声が、多少の力みをもった歌い方、感情的な歌い方だとすれば、J-45はしっかりとハマってくれる。
だが、例えばスピッツのような抜いた歌い方をはじめとした、日本人らしい丸い声で歌う人は多いのではないか。日本語は母音の発音が多く、子音の多い韓国語や英語と違って口周りや舌の筋肉が発達しづらい。その分、洋楽的なしっかりとした発声を身に付けたい場合に、ボイトレで苦労することになる。日本人にとって無理のない発声とはまさに、4畳半フォークの時代のシンガーのような、丸い歌い方だと私は思う。そういう歌い方の日本人にとって、中低音が前に出るギターだと声とぶつかりやすいのではないか。

ここまでの内容を要約すると、
1.ギブソンにしか出せない音があり、非常に魅力的。
2.中低音が前に出るギターだと、日本的な発声だとぶつかる可能性が高い。

声とぶつかりすぎず、ギブソンらしい温かみのある音が出るギターはないのか、、
実は存在する。ギブソンには現行ラインナップの中にsongwriterというギターが存在する。コイツがかなり良いことが最近わかった。開放弦コードを弾いた時の切なさも担保しつつ、サイドバックがローズウッドのため中音域が盛り上がりすぎない。ハミングバードのようなカラッとしたサウンドも出せるし、J-45のようなサウンドも出る。非常に万能で使い勝手が良い。Recでも活躍できるサウンドを持っていて、最初からサウンドホールを塞がないタイプのピックアップも付いている。価格帯もJ-45と変わらない。
うろ覚えの知識だが、著名なビルダーさんがギブソンを離れる前にデザインした最後のモデルだったと思う。

素晴らしいギターだが、残念なことにsongwriterを使う代表的なミュージシャンがピンと来ず、知名度が低い印象。もはや自分が使ってバズって売れるしか、このギターの良さを広める方法はないのか(笑)。めちゃくちゃ良いギターなので、弾いたことある人はぜひ感想を教えて欲しいです。使ってるミュージシャンをご存知でしたら教えていただけると嬉しいです。Twitterやってます。

Twitter:https://twitter.com/ikimono_ryota

サウンド参考
https://youtu.be/6dY-fG1KNBY?si=xV2Y-fEQbno_n2-4

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