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今年になってみられる婚活市場の変化と小婚化がもたらす日本の悲惨な未来

前回の記事では交通の面から、日本の現状と今後について触れました。今回は、婚活、小婚化です。
婚姻数が減少していることは既に数年前から騒がれていますが、婚活市場が大きく変化していることをご存じでしょうか。

今回の記事では、
・なぜ婚姻数が減少しているのか
・婚活市場の大きな変化
・婚姻数の減少、婚活市場の変化がもたらす日本の悲惨な今後
に触れていきます。

なぜ婚姻数が減少しているのか

社会学では、家族は最小のコミュニティと定義されています。つまり、国や企業などと一緒ということです。

コミュニティは利害関係が存在し、あくまで自分の利益のために所属します。みなさんが払いたくもない税金を払っても国民であり続け、行きたくないも仕事をするために週5日間も会社に通うのは、「どこかの山や島で一人自給自足するより」も楽だから、利益があるからです。

家族も同様です。元々はそれぞれに利益があったのです。
女性は、以前は自立して稼げるだけの仕事を見つける、継続するのは困難でした。そのため、現実として自分を養ってくれる存在を見つける必要がありました。
また、男性も生活するには自分の世話をしてくれる人を見つける必要がありました。今と違い、飲食店や商店は夕方に閉まってしまうため、夜ご飯は飲み屋に行くか、誰かに昼間のうちに買い物に行き、作ってもらう必要がありました。

しかし、今結婚をする必要はなくなっています。
まだ男性と女性の収入格差は存在しますが、以前よりは稼ぐ女性は増えました。年収400万円程度あれば、贅沢はできませんが、しかし不自由なく生きていくことはできますし、家も買うことができます。

また男性側も同様です。飲食店やスーパーは夜遅くまで営業していますし、また男子生徒が家庭科を学ぶように、料理家事のできる男性は増えています。

「昔のように結婚しないと生きていけない」、から、「結婚したら今よりもう少し楽になる(収入、生活面)」に変化しました。

そうすると、
・結婚しないで生きるという選択肢が発生した
・婚活市場において価値のある人ほど、結婚しない自由を手にした
わけです。

それが婚活市場において、大きな変化を与え、今年くらいから変化が顕在化しました。

婚活市場の大きな変化

まず事実ベースから触れていきましょう。
・婚活市場は経済ベースで過去最高を更新。年々、市場規模は拡大中
・結婚相談所における男性会員数と女性会員数の比率が逆転。今は男4:女6に(男3:女7という情報も)※街コン市場でも男性が集まらない傾向が徐々に顕在化している
・結婚相談所のボリュームゾーンは、変わらず30代、40代

上記のことからわかるのは、結婚するきっかけや、出会いの場面が変化しているということです。
以前は、職場、お見合い、合コン(飲み会)でした。しかし、コロナで合コンは減少。お見合いも、地域のつながり、親戚の付き合いが希薄化したため、紹介自体が無くなっています。
職場も今やセクハラを防ぐため、男性が女性を誘うことは大きく減っていますし、女性も男性も長く勤めることが増えたため、職場恋愛自体を避ける傾向になっています。

つまり結婚するために、結婚相談所やマッチングアプリを使う傾向が増えているということです。

男女比の逆転

従来、婚活市場というのは男性余りでした。なので、女性が自然と選ぶ側になっていたわけです。
しかし、結婚相談所においては、その男女比が逆転しました。何が起きているのでしょう。そして、逆転は問題なのでしょうか。

まず、なぜ逆転したのか。いろいろな理由が推察されていますが、単純に「婚活市場に参加できる人」の層が男女で違うからと言えます。
女性の場合は、一定年齢以下であれば年収が低くても働いていれば入会できるようです。また街コンやマッチングアプリなどなら、そもそも利用・参加できないことはなく、普通に家事手伝いやパートの人たちも参加しています。しかし男性の場合は異なります。年収が低い人は入会を拒否される場合もありますし、街コンやマッチングアプリなどでも相手にされないことが多いですから、一度は参加しても継続的に参加することはないでしょう。
収入がなかなか上がらない時代ですから、婚活市場に参加できない男性は一定数いるわけです。その結果、女性が求婚される場(合コン、職場、お見合い)が減り、従来よりも多くの女性が婚活市場に参加し始めた。そして、それに比べて男性はそれほど参加しなかった(収入が低くて参加できない人の割合が女性より多い)結果、逆転したということでしょう。

逆転は問題なのか。まず、結婚というのは先述の通り、経済利益をもたらす社会的コミュニティの契約です。なので、経済学のセオリーが適用できます。女性と男性の比率が少ないほうが、基本的に相手を選ぶことができます。今までは女性が選ぶ構図になっており、例えば過去のテレビ番組のねるとんのように、女性に複数の男性がお付き合いを申し込む構図でした。

これが女性が少なくなると、基本的に男性が女性を選ぶことになります。この点に納得がいかない人もいるかもしれません。しかし、女性余りになると、基本的に一人の男性に複数の女性ということになるため、男性が選ぶ側になるのです。

婚活市場における強者、弱者

基本的に経済学的な観点から言えば、「男性<女性」の市場構図になってしまうと、優位は男性側に移ります。これは性差別等の話ではなく、単純に人数が多い側が、同性内で競争状態になり、選んでもらう側になるからです。

例を挙げれば、かぐや姫の話です。一人の姫に大勢の男たちが求婚するから、男たちは他の男よりも勝るように条件を引き上げていきます。

元々、生理学上、男性のほうが女性よりも多く生まれる傾向になるため、従来は少ない女性に多い男性が求婚するため、自然と女性が選ぶ側になっていました。しかし、それが社会学的に逆転したわけであり、強者と弱者の関係性が逆転したわけです。

つまり、今の婚活市場の優位性は、
男性>女性であり、ハイスペック男性が最も優位性を持った存在になっているわけです。

ハイスペック男性を求める女性たち

現状、多くの婚活中の女性たちはハイスペック男性を求めて活動している方が多いようです。婚活中の知り合い男性に聞いても、申し込みをしてもなかなか会うことさえ叶わないようです(その男性も年収600万、30代前半なのですが…)

もちろん、そんなにハイスペック男性はいないので、多くの女性たちは背伸びをしてハイスペック男性に申し込んでも、こちらも会うこともできない状況のようです。

市場理論で言うと、偏った供給や偏った需要は、結果的に市場を破壊します。以下、例を挙げるので興味がある方はご一読ください。
(ハイスペック男性を高級レストラン、ミドルスペックをおしゃれなレストラン、ロースペックを町の定食屋さんとしましょう。みんなが予約の採れない高級レストランにしか行こうとせず、隣のおしゃれなレストランに行くことも、定食屋さんにもいかなければ、自然とおしゃれなレストランも定食屋さんも儲からないため撤退します。普通はおなかが空くし、誰かと食事に行かないといけないケースもあるため、自然とお客さんは分散するのですが、婚活市場はその特殊性から需要と供給が合致しない状態に陥っているわけです)

撤退する男性たち

実際に、婚活市場も同様に、ミドルスペック、ロースペック男性たちが退会する流れが起きつつあるようです。基本的にこういった需要と供給のビジネス市場の場合、市場の健全性のために最も重要なのはボリュームゾーンであるミドル層の参入です。そのミドル層が抜けるということは、市場が健全性を失うということに他なりません。ちなみに日本の婚活市場のミドル層は、平均年収前後の初婚年齢から少し年齢を重ねた世代になりますから、男性で言うと30代で年収が350万円~550万円程度の人たちになります。(東京だと400万円~600万円くらい)

将来的な利益を確保するためには、早急に結婚相談所や婚活業者は、こういったミドル層の男性の囲い込みと、女性の目をこれらの人たちに振り向かせる努力をすべきと思います。

婚姻数の減少、婚活市場の変化がもたらす日本の悲惨な今後

結婚できないまま年齢を重ねる男女が増えている

元々、男女ともに生涯未婚率は急激に上昇しています。そして上記の通り、結婚する機会が社会から減少し、その代替となる婚活市場も機能しなくなれば、生涯未婚率はさらに上昇することは間違いありません。

日本の社会は男女ともに結婚することを前提にしている

日本の社会は、面倒を見る家族がいることを前提にしています。例えば、病院で手術や、検査入院をするためにも保証人の署名が必要です。介護施設に入る際にも同様です。つまり、この国では医療や介護を受けるためには基本的に保証人になってくれる人がいることを前提にしているのです(もちろん家族以外でも構いませんが、保証人になってくれる友人や知り合いがいる人は大勢いるわけではなく、また他の手段もありますが簡単ではありません)

結婚し、子供を産むことを前提にしており、生涯独身の方への対応に医療施設や介護施設はいろいろと頭を悩ませていることは事実です。また亡くなられた方が、同様に社会的に孤立した方の場合は、現在は市区町村の役所が火葬や葬儀の対応をしています。もちろん費用は税金です。これらの税金負担額も過去最高を年々更新しており、役所の職員の労働負担も無視できないものになっています。現状、こうした生涯独身の方々の老後、死後の対応をどうするのか、抜本的な議論はなされていないのが実態です。ただ、対症療法的に税金と役人を投入することで対応しているわけです。

40代、50代の今後を誰が面倒見るのか

さて、このまま結婚できない人が大勢いる状況が続くと、5年後、10年後には、結婚できなかった40代、50代があふれることになります。この人たちが一定以上の収入を得ているのであれば、一旦は問題ありません。しかし、収入面で自立できていない人たちだとしたらどうなるでしょう。

女性たちの中には、家事手伝いやパート等の収入がそれほど多くない人たちが少なくない数いると言われています。実際に、まだ男女の収入格差はありますし、今の30代、40代は氷河期世代、リーマンショック世代であり、就職も難しかった世代です。もちろん男性にも似た境遇の人たちは一定数いると言われています。女性だけの問題ではありませんし、社会的には彼ら彼女らだけの問題でもありません。

本来であれば、早い段階でこういった人たちにリスキリング等の機会を提供し、収入を上昇させ、貯蓄の形成と年金額の増加を図る必要がありました。そうすることで老後も一定程度の収入を確保してもらう必要があったのです。なぜか。そうしないと彼ら、彼女らは生活保護等の受給が必要になります。今後、増大が見込まれる医療、介護の費用だけではなく、生活保護費も想定を超える金額が必要になる可能性があるわけです。

もはや弱者を見捨てざるを得ない未来が、徐々に現実になり始めています。

まとめ

さて、小婚化の話はいかがだったでしょうか。交通編と重なるのですが、まず日本の政治・行政の対応が遅く、不足していたことに尽きると思います。そもそも少子化は小婚化が原因という指摘は、学者・有識者から以前よりされており、政治家・行政はあえて見て見ぬふりをしてきたと言わざるを得ません。(おそらくは結婚の促進が、結婚の強要に結びつくような論理展開になることを警戒したのかもしれませんが、だとしても勇気をもって対応すべきだったと思います)

また、それならば女性が男性並みに稼げる教育機会の情勢、労働環境の整備促進をすべきでしたが、それも遅れました。
交通と違い、こちらはもはや手の尽くしようがないところまで来ています。それでも何か明るい未来にするための選択肢があるとすれば、以下の点が挙げられるでしょう

・30代前半、後半の男女の結婚促進(結婚祝い金の支給や、住宅費用や家具家電購入費の一部補助金支給など)※こちらは40前までに結婚してもらって、可能なら一人でもいいから子供を産んでもらうことを期待する

・40代以上の男女の結婚促進(男女どちらかの収入が一定以下の場合、収入が高いほう、もしくは世帯全員の所得税率を減免するなど手取りを増やす)※収入が少ない男性、女性と結婚するメリットを用意することで結婚を促進し、孤立化を少しでも防ぐ

少なくとも今の30代が想定以上に結婚して、子供を産んでくれれば、その子供たちは20年後に社会に参加し、働き、納税してくれます。それらの税金は今の40代の人たちの年金や医療費、介護費になります。団塊ジュニア世代が50代前半ですから、そこになんとかギリギリ追いつくことにもなります。

今の30代に手当をどれだけできるか。40代を一人でも多く救えるか。そこに日本の未来がかかっているわけですが、、、。もし期待できないのであれば、生きていくスキル、力を今からでも身に着けることをお勧めして、今回の記事を締めたいと思います。

次回は最後の貧困についてです。今回も読んでいただきありがとうございました。


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