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孤独から抜け出すために必要なのは「お喋り」

孤独と孤立は違います。以前から何度も書いています。孤独を楽しむことはできるけど、孤立は死を意味します。

長期間孤独でいると、脳は「何かあった時に誰も助けてくれない」と受け取ります。そのため普段以上にその人を警戒させ、常に最悪の事態に備えさせるので、深く眠れなくなります。また「闘争か逃走か」の状態に入るので、脳に「他の人は自分に敵意を持っているかもしれない」というシグナルが送られてしまいます。

なかなか怖い言葉が並んでいますね。

確かに長期間孤独の状態になると、引きこもり、うつ病を発症することは安易に想像できます。正しい判断ができなくなったり、被害妄想にかかることもあります。好き好んで孤独になろうとする人は少ないことでしょう。集団行動が苦手でなんとなく孤独になっていく人の方が多いのではないでしょうか。

大切な友人が連絡を取りたくなさそうだったり、誘っても興味がなさそうだったりした場合でも、その人が本当に人付き合いを避けたいのではなく、孤独のせいかもしれないということを知っておくといいかもしれません。それでも根気よく連絡を取り続け、集まる時には誘いましょう。楽しいことをする時に誘わないと、「あなたはもうグループに属していない」というシグナルになってしまいます。

こう書かれていますが、これは難しいですよね。誘っても誘っても来ない友人は、そのうち疎遠になっていくのが普通です。人はいくつかのグループを持っていますから、誘っても来ない場合、他に楽しいグループがあるんだと解釈しがちです。

しかし高齢者の場合はちょっと違うと考えた方が良さそうです。出ることが億劫になっている場合が多いようです。家に引きこもってしまうと、一人暮らしの場合、誰とも喋らなくなります。それが危険です。

コロナ禍の間、多くの人が孤独な生活を強いられました。「孤独から抜け出すためには何が必要なのか」を調べた研究があります。様々な年代の独り暮らしをする240人に、「どんな風に孤独を感じているか」という質問に答えてもらい、「孤独度ポイント」を算出しました。

その後、被験者には週に何度か電話がかかってきて、会話の内容は何でも良かったのですが、数分間会話をしました。そして4週間後にまた同じ質問に答えてもらい、孤独度ポイントを再び算出したところ、なんと20%も下がっていました。

電話したのはプロのカウンセラーではなく、ごく平凡な若者だったそうです。事前に講習を受けたときに教わったのは次の3点でした。

・相手の話を聞く
・相手の話に興味を示す
・相手に話題を決めさせる

高齢者の孤独、孤立を防ぐために、電話でもいいからお喋りさせてあげることが解決策になりそうです。

アンデシュ・ハンセン『メンタル脳』(新潮新書)


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