一家の家計を支えるということ 家事を金で買う?
結婚したばかりの頃、「財布」をどうするかでもめたことがあった。つまり、妻が家計簿をつけ僕の収入を全て管理し、僕は小遣いをもらう形にするのか、はたまたお互いがお互いの「財布」を持ち、共同口座を開設してそこから生活資金を出すのか、といった具合だ。
当時は僕も友人ら何人かに財布をどうしているかLINEで聞いた。すると、その友人らは口を揃えて「別財布制」を採っていることがわかった。
妻は、旧来の価値観を持っているというか、結婚したら夫の方が妻に収入を全部渡し、「これで飯を食え」的な形を理想としているようだった。しかし私は、友人の「自分の買い物が出来なくなるのはおかしい」という言葉に心底同意していたので、別財布制を主張した。
全収入を妻に預ける形でも、小遣いを貰えば自分の買い物をできるではないか、という反論があるかもしれないが、そういうわけにはいかない。一般的なサラリーマンの小遣いなんて、月に2~3万円だ。こんなの、ちょっと酒を嗜む人間には足りなすぎる。
そうきたら、財布を別にして、妻と自分とでかかった生活費を二分し、各々の分は自分で負担という形にしたくなる。
事実、僕と妻も最初はそうした。
しかし、僕は正社員、妻は派遣社員だ。貯金も、僕の方が多い。ボーナスも、僕はあるが、妻はない。
妻は、文句の一つも言わない。
妻は、文句も言わないどころか、料理を覚えた。ネットでレシピを見て、見よう見まねで、土日に一週間分の夜ご飯を作りだめてくれるようになった。
平日は毎日洗濯をしてくれる。
週末は家全体の掃除。
ある時、僕は天啓のような形でこう思った。
ーーお前は家庭になんの貢献をしている?
正直、自問自答しても答えは出なかった。
だから、先日、いつもは半分こしている生活費を全額振り込んだ。
そして、今後は全額自分が払い、家計は自分が担っていくと申し出た。
合わせて、これまで生活費を負担させてしまって申し訳ないと謝った。
今、転職活動中で収入がなく、貯金を切り崩す形にはなるが、妻のためを思うと、これで良かったのだと思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?