おれのツールドフランス🇫🇷day6 ガリビエ峠とサレンヌ峠(裏ラルプ)
この旅で"最低でもここには行きたい"と決めていた峠は3つ。
ラルプデュエズ、クロワドフェール峠、そしてガリビエ峠だ。
2日目にラルプ、3日目にクロワドフェール峠と、順調に走れたものの、4日目と5日目は疲れと天気予報に振り回されてまとまった距離を出掛けられなかった
そしてツール観戦のために拠点を移るのは7日目。以降はツール観戦を優先することになる。つまり6日目のこの日をのがすとガリビエ峠に行くのは不可能なのだ。
そんな最後のチャンスなこの日、なんと最高気温32度程度とかなりちょうど良い予報だった。なんて恵まれているんだろう。
前日にレンタカー屋さんに行って手配した車を滞りなく受け取って自転車を詰め込み、初めての左ハンドルに気を引き締めて運転席に座ると…
いや、マニュアルかよ!
MT/ATを選択するタイミングはなかったと思うんだが…
マニュアルはもう何年も運転してないし、安全な運行にはかなり不安がある。これにはちょっとまいった。
正直このまま運転するのはリスキーだけど、それでもここでやめる選択肢はなかった。(本当はやめた方がいいと思うけど)
いきなり街中なのでかなり緊張。でもいざ運転し始めると意外にも運転しやすく感じた。左足でクラッチ、右手でシフトというのが結構やりやすい。
クラッチを繋ぐ感覚を思い出してからはストレスを感じずに運転できた。街中も抜けて、県道に出てようやく安心。あとは淡々と、知った道でブールドワザンに行くのみ。
日本ではあり得ないけど、フランスの駐車場事情はかなりルーズ。村の近くのスーパーの駐車場に停めても問題ないらしく、買い物客とサイクリストが入り混じっていた。
さすがに止めるだけ止めて手ぶらは申し訳ないので、水と補給食を購入。
予報よりも暑かったけど、40度近い気温を知った体にはもはやノーダメージだった。ブールドワザンから先のまだ見ぬ東エリアに向けていざスタート。
地図によるとここからまずロータレ峠を登り、それからガリビエ峠という順序だった。緩いながらも、50kmずーっと登りである。
夏のサイクリングという意味ではとても快適な気温だった。しかもロータレ峠に向かう道が想定以上に絶景…正直ここは消化試合だと思ってた。
それにしても休憩で入るお店とか道すがらで、自転車に対して結構視線を感じる。興味深げに見ている方がいたのでお声かけ。初めて見たということだった。重さにビックリされたけど、日本のクライマーの自転車はもっとすげぇぞと言っておいた。
さぁ、ここからいよいよガリビエ峠へ。ロータレ峠からそのまま6kmほど登る。
ここからはなんというか…日本で見たどの景色よりも壮大だった。渋峠とか乗鞍とかで見た景色をそのままスケールアップしたような感じ。
遠くの山、森林限界特有の山肌、九十九折りと全てが揃っていた。
標高は2000mを超えているので、呼吸はだいぶ苦しい。それでも景色が凄すぎて、またも終わるのが惜しいと思った。
峠では多くのサイクリストがこの景色に見入っていた。写真も撮りあって、最高に楽しい時間だった。
しばし眺めてから、もう一つのお楽しみのダウンヒル。このコースはまさに昨年のツールでピドコックが魅せたコースでもある。
降ってみて改めて感じたのは彼らはクレイジーだということ。正直道はそこまで良くないし広くもないうえに、ガードレールもないのに、100km/h近くで降るのはおかしい。身をもって知ることができた。
気持ち良い下りを終えて、途中居合わせたサイクリストと軽く競り合いをして笑、次なる峠へ。
ラルプデュエズの裏側、サレンヌ峠だ。
ここに関しては前日に地図を見ていて見つけたんだけど、穴場の予感がした。
道は狭そうだし斜度もきつそうだけど、かなり景色と雰囲気が良さそう。
集落に向かう急坂に始まり、山深い林道チックな道を抜けると、
やはり期待通り!
穴場なのでたまにサイクリストが通るのみ。独り占め感を堪能できた。
ここからのアップダウンも秘境感たっぷり。なんだか異世界に来た気分だ。
そして丘を越えると突如、ラルプデュエズのスキーリゾートに出る。なんとも不思議。
カフェで一息ついてから、2回目のラルプデュエズダウンヒル。今回は撮影なしで、一気に下り切ってライディングを堪能した。ここの下りはテクニカルで本当に面白い!
こういう絶景の続くダウンヒルを止まらずに一気に下り切るのはなんというか、ちょっと良い肉を豪快に一口で食べる贅沢に似ていると思う。
満足感に浸りながら麓の駐車場(スーパー)へ。115km/3500mUPとボリューミーなライドを無事終えられて良かった。
この時18:00。日本ならもう夕暮れが深くなるけど、フランスは昼間のような明るさ。変な焦燥感にも駆られず非常に良い。
左ハンドルのMT車の操作にも慣れてきて、帰りの運転は快適にこなすことができた。
かなり走れたので、なんてことはないファストフード店に立ち寄ってサンドイッチ、帰ってからはパスタを作って食べた。
ここまででいきたかった峠巡りはひと段落。振り返っても絶景だらけで、人生最高のサイクリングを堪能することができたと思う。
翌日からは趣を少し変えて、ツールドフランス観戦に。
考えると2週間の旅でずっと峠巡りにしていたらどこかで”だれる”時間ができてしまっていたとも思う。ツール観戦はまさに水物、この時期を選んでよかったのだ。
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