人生はめんどくさい
すべてのことがめんどくさがりの私は年齢を重ねることで、さらにそれに磨きをかけています。
もともと紙の本を読むのが好きなのですが、本をバッグから取り出すのがめんどくさい、本を隣の部屋から持ってくるのがめんどくさい、本を持つのがめんどくさいという理由で
いつも手元にあるスマホで読むことが多くなってしまいました。
部屋の電球が切れても買い直すのがめんどくさくなってしまいました。しまいにはどんどん家の中が暗くなっていき、薄明かりぐらいでも生活できることが判明しました。
こないだは動くのがめんどくさくなってしまいました。動くのがめんどくさいのでソファから立ち上がるのをやめて、ずっと身を沈めていました。
お腹が空いてももはや動きたくありません。ペンネパスタをつくるのが好きなのですが、それももはや不動には勝てません。
さらに今日は生きるのがめんどくさくなってしまいました。生きるのがめんどくさいので生きるのをやめようとしましたが
今度は生きるのをやめる作業がめんどくさいので生きることにしました。
そこで気がつきました。
ああ、生きることってめんどくさいんだ。でもめんどくさいことはわるいことじゃないって。
めんどうを抱えながら前に進んでいく。これが生きることの本質かもしれません。
無間地獄のような絶え間のないめんどくささを噛み締める。これこそ私が生を受けた証なのかもと思ったのです。
そう思うと私は意を決してソファから立ち上がり、冷蔵庫を開けて玉ねぎを取りだしてペンネをゆでてパスタを作り電球を交換して紙の本を持ってきて読むことにしました。
ゴミもたまっているので整理します。洗濯もします。歯も磨きます。妻とも会話をします。
人間を取り戻していきます。そしてある結論にたどりつきました。
あーめんどくさい。
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