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太陽の朝は早い 小笠原ひとり旅 10日目 #18

黒電話の音がけたたましく鳴り、飛び起きる。スマホを見ると時刻は4時。

そうだ、やっと原付を借りたんだ。朝日スポットの旭平になんとしても行くぞ、という強い意志でベッドを飛び起き、まだ暗い街に街頭が輝くなか原付を飛ばす。

朝はまだ
旭平

原付で20分ほど走り到着する。空が明るくなっている。急いで原付から降りて旭平を駆け寄ると、島民のカップルだろうか、私より早く日の出を待っていた。

女性は朝日に夢中で、男性は草を抜いたり、蚊と戦っていて全く見ていなかった。そんな中朝から運転してくれたの優しいなあと微笑ましくなりながらいっしょに無言で日の出を待つ。

すこしずつ顔を出す
じんわりと光が届きはじめる
雲が色づく
朝日だ

ぼーっと眺めていると、4時39分に隠れていた朝日が頭を出す。

水平線に浮かぶ入道雲に阻まれて、なかなか気持ち良く頭を出してくれなかったが、水面や草花へ、ぱあっと遠くから届いている、まっすぐな光が顔へ当たる。

昼間だけ外に出ると太陽が上下していることはわかりづらいけれど、朝日や夕日を眺めると、地球と太陽の角度が一定でないことが知れるのが好きだ。

しかし小笠原の朝日は直接肌へ浴びても、暑くない。ほんとうに柔らかく、やさしく、島全体を照らしてゆく。

真夜中に降ったのか、手すりやベンチが湿っていて、大きな雨雲が頭上にかかっていた。島の半分はあるかと思われるグレーの大きな雨雲を、朝日が深くて淡い紫色へ照らすのが好きだった。

ぱあっと広がる光

5時頃になると、顔を真正面から照りつける太陽が、太陽らしい温もりへ、じんじんと、変わっていく。

横からの光

日の当たる大村の街並みを見たい。その一心で朝日で輝く山道を颯爽と下っていく。

道路の向こうへ広がる水平線
大村地区へ、朝が訪れている
漁師さんたちの船場
夕方より忙しそうだ
出番を待つ
フィンを照らす光
おはようございます

6時前頃に大村地区へ到着する。扇浦はいつも歩いていたけれど、大村の早朝は初めて。扇裏に比べて住民も多いから思ったよりひとがいる印象だ。

朝の散歩をしている方や自転車に乗っている方へ「おはようございます」と伝えあう。

遠くを示す看板
国旗と小笠原村紋章がなびいている
プルメリアの花
運転してみたい
小中学校はここをプール代わりにしているのだろうか
あ、どうせ遊ぶからってストックしてる
今日もここで1日がおこなわれる

見慣れた土地でも、朝、昼、夜で見せる顔がまったく違う。原付を借りて本当によかった。大村地区は観光客の方も多いから昼になるとけっこう盛り上がっているから、静かな姿も見ることができて嬉しい。

写真を土地に溶け合うように撮ることも好きだけど、ここだという場所でねころがって、その土地の土の匂い、街の音を、入力レベルを上げて耳よりも細部まで聴くのが好きになった。

この旅で見つけたバランスは10分間。他の予定にもあまり影響がないし、じっくりとその土地に溶け合うことができるからだ。

気をつけなければいけないのは、気持ちが良すぎて自分の寝息が入ってしまいそうになること。いつも睡魔との戦いだ。

舟出

さぁホテルへ朝ご飯を食べに帰り、今日は島内のお店が1ヶ所に集まるファーマーズマーケットへお出かけだ。

(次回へつづく)
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