植木屋の価値について考える-3

またレポートの転載になります。

公共事業においての私たちの価値とは、顧客の求めるものとはどういった事だろう?
「緑地管理」においては、相手の立場になって考えることが全般的に非常に重要だと考える。役所の担当が何をしてほしいかをきちんと考える。苦情処理に困っていたら、苦情になりそうな個所を把握し対応策と予算を報告する。苦情が出たら、即座に対応する体制を整えておく。
苦情主は少しでも何かしてくれるもしくは話をきちんと聞いてくれるなどの対処を欲している。怠ると問題が深刻化し、かけなくてよかった時間をかけてしまう。
役所の立場、苦情主の立場それぞれを総合的に判断し、解決に導く能力そこに価値が生まれる。「造園業者」でなくては中々解決が難しいと刷り込んでいく。私たちの必要度(価値)を増す営業を行う。御用聞きであることが重要である。


「工事」においてもやはり相手の立場になって考えることが重要である。図面の意図をきちんと把握し、矛盾があった場合には、解決策と予算をきちんと書面に残し上司に報告がしやすいように資料を作成する。私たちは役所の担当者が忙しいことを知らなくてはいけない。いくつもの現場を掛け持ちし、対応と判断に追われていることをしらなくてはならない。私たちは担当者の補助を行い、信頼関係を築かなければいけない。造園業者として、美的感覚を重視し土木業者とは明らかに違う目線で施工しなければならない。

これらの事がお金に結び付くどころか、ただ手間をかけるだけと思われかもしれないが、長期的な低迷を打破するためには、信頼を勝ち取るためには、唯々地道に活動するしかない。地道に勝る近道はないのである。信頼を得ることによって造園業の地位を確立し、緑化の重要性をアピールし業界全体の収益に繋げていく。

では民間の場合では私たちの価値と顧客の求めるものは何だろう。
きれいごとを述べていけば、「お客様の事を考え、誠実な仕事を行い、緑ある豊かな暮らしを提案していく」とかになるのであろう。こういったような文面はよく見かけるが、何をしたいのか何を売るのかよくわからない。自分の物差しで生きている人は、非常に稀有である。ほとんどの人は「誰々がいいといっていた」や「テレビでやっていた」など基準を人任せにしている。本質的な問題などはあまり関係なく、いろいろなものを消費していく。つまり誰かが価値があると認めれば、内容は関係なく価値があるものになっていく。つまり「ライフスタイル」や「豊かな暮らし」が本質ではなく、4章にあるように「他人からの評価」が大切なのである。

では私たちはどういったように仕事をする必要があるか、まずきちんとした服装であること。お客様のイメージに合った服装であること。古風な植木屋であってほしい場合、法被を着るなどをするとわかりやすい。近代的であれば、そろいのユニフォームなどが好ましい。これは非常に重要なことである。
会話もお客様のイメージする植木屋を自己演出し内容を選定する。植木のことや庭の事についてよくわからないという回答はあってはいけない。大切なのはお客様からどのようにみられなければいけないか、信用を得るためにどういった事が必要か真剣に考える必要がある。信頼を得られれば、ほとんどが長期の顧客となる。
庭を造る場合、お客様が他人に説明できるように、何がいいのかをきちんと説明する。自分で他と比べることができるように価値観を教育する。作庭する際に、ほかの庭の写真を見せてどういった庭がいいですか?とプレゼンするのは愚の骨頂である。写真の劣化版を作ることになるのは明白であり、写真と競合することになる。どちらがいいかと言われれば答えは明白である。きちんと自分(もしくは設計者)が考えたことをアピールしなければ、デザインに対する価値は生まれない。デザインの重要性、価値を分かっていないから見積り無料などと簡単に言えるのである。
お客様が人からどう見られたいかを私たちはきちんと考え、実行していくことしかない。

10年前の私のレポート「6章・どうやって価値を高めていくか」より

やはり商売の本質は人との関わりだと思います。人にどう思ってもらえるかを考えることはとても大事だと思っています。
今はWEB上でのアピールや、システムを簡素化するなど様々な新しい対応が必要となりました。私自身の生活が変わっていっているということは、お客様の生活も変わっているということです。
常に新しい意識を持って、これからも励みたいと思います。

次回がレポートの転載の最後になります。造園業の目指す目標を書きたいと思います。