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【オーナーは元ポーカー選手!?】三笘選手所属ブライトンのビジネスモデルについて

僕自身、今後サッカークラブの経営を考えていく上で、
サッカークラブはどんな経営をしているのだろう?
そう思って、いくつかのクラブのモデルを調べ始めました。

それぞれ色があって面白いなと思いつつ
特に印象に残ったのは、三笘選手所属の
ブライトン&ホーブ・アルビオンというチームです。

僕が一番注目したのが、
英国人オーナーのトニー・ブルームという人間です。
彼は、元プロポーカー選手です。

これを知った時、好奇心が駆り立てられました!
興奮冷めやらぬまま、色々ブライトンについてお話ししていければと思います。

ブライトン&ホーブ・アルビオンというチーム


ブライトン&ホーブ・アルビオンは、シーガルズという愛称で親しまれる、 イングランド南部のブライトン・アンド・ホヴにホームタウンに置くチームです。

クラブ規模としては決して、プレミアリーグのBIG6と呼ばれるチームに比べると決して予算は潤沢ではないですが、2009年にオーナーの座に着いたトニー・ブルームの経営改革によって、昨年クラブチーム史上初のリーグ戦6位という順位でフィニッシュし、今年も7位(2/28現在)という順位に位置付けています。

2017年に昇格するまで、イングランド2部で長年過ごしてきたことを考えるとBig6に割って入ってリーグ戦6位という成績を獲得したのは経営改革の凄さが見て分かりますよね!

そんな元ギャンブラーのトニーブルームがどんな改革を行ったのかをお話ししていければと思います。

トニー・ブルーム氏の経歴と人物像

トニー・ブルーム氏は、1970年生まれの52歳。ブライトン出身で、幼少期からブライトンのサポーターでした。学生時代は数学を専攻し、卒業後は会計士として働き始めます。

しかし、彼の人生を大きく変えたのは、ポーカーとの出会いでした。1990年代後半、ブルーム氏はポーカーに魅了され、プロポーカー選手としてのキャリアをスタートさせます。

ポーカーの世界で、ブルーム氏は統計学と確率論を駆使した戦略で名を馳せました。「The Lizard」の愛称で知られ、数々の大会で優勝を果たします。

ポーカーで培ったデータ分析の手法は、後にブライトンの経営にも大きく活かされることになります。2009年、ブルーム氏は愛するブライトンの経営危機を知り、自ら出資してクラブのオーナーに就任。以来、独自の経営手法で、クラブを成長へと導いています。

ブルーム氏の経営手法の特徴は、徹底したデータ分析と、長期的視点に基づく判断です。選手の能力を数値化し、統計的な裏付けを持って戦略を立てる。伝統的な勘や経験に頼るのではなく、科学的なアプローチを重視しています。

また、ブルーム氏は、クラブを「ビジネス」として捉えています。サッカーへの情熱を持ちつつも、感情に流されない冷静な判断を心がけています。「クラブの安定的な成長」を最優先に、時には大胆な決断を下すことも厭いません。

こうしたブルーム氏の姿勢は、ブライトンの経営改革の原動力となっています。次項から、その具体的な内容を見ていきましょう。

「マネー・ボール」戦略の導入


ブルーム氏がブライトンの経営に導入した戦略の中で、特に注目されるのが「マネー・ボール」と呼ばれる手法です。

「マネー・ボール」とは、米国メジャーリーグの球団、オークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGMが編み出した革新的な戦略です。データ分析を徹底的に活用し、市場で過小評価されている選手を発掘・獲得。そして、その能力を最大限に引き出すことで、低予算ながら高い成績を上げることに成功しました。

ブルーム氏は、このマネー・ボール戦略をサッカー界に持ち込みました。選手のパフォーマンスを細かく数値化し、潜在能力の高い選手を適正価格で獲得する。そして、彼らの能力を伸ばし、高値で売却する。この一連のサイクルを回すことで、クラブの持続的な成長を目指しているのです。

実際、ブライトンは、他クラブが見向きもしなかった選手を発掘し、大きく成長させてきました。代表的な例が、エベネゼル・オフォリ選手。ブライトンがわずか50万ユーロで獲得したオフォリ選手は、ブライトンで活躍した後、1400万ユーロでレスターに売却されました。

こうした「マネー・ボール」戦略は、ブライトンの限られた予算の中で、高い競争力を生み出すカギとなっています。

財政管理の改善と育成システムの充実


「マネー・ボール」戦略と並んで、ブルーム氏が注力しているのが、クラブの財政管理の改善です。かつてブライトンは、財政難から下部リーグに降格した苦い経験を持っています。その教訓を生かし、ブルーム氏は就任以来、堅実な経営を心がけてきました。

放漫な支出を避け、無駄を徹底的に排除する。そのために、データ分析を活用し、投資対効果を常に検証しています。また、スタジアムの拡張や練習施設の改修など、長期的な視点に立った投資も積極的に行っています。

こうした努力の結果、ブライトンの財政状況は大きく改善。クラブの将来を見据えた投資も可能になっています。

さらに、ブルーム氏は、クラブのアカデミーの充実にも注力しています。優れた若手選手を自前で育成することで、移籍市場への依存度を下げることができます。

ブライトンのアカデミーは、技術面だけでなく、メンタル面でのサポートも重視しています。トップチームとの連携も密で、若手選手がスムーズにステップアップできる環境が整えられています。

こうした育成システムが、三笘選手のような若き才能を輩出する土壌となっているのです。

挑戦は続く

ブルーム氏の改革により、ブライトンは着実に成長を遂げてきました。しかし、彼の挑戦はまだ続いています。

より高みを目指すために、「マネー・ボール」戦略のさらなる進化が求められます。データ分析の手法を磨き、選手発掘・育成のシステムを強化していく必要があるでしょう。

また、商業面での収入拡大も大きな課題です。グローバルなブランド力を高め、スポンサー収入や商品販売の増加を図る。そのために、革新的なマーケティング戦略が求められます。

一方で、クラブの「アイデンティティ」を守ることも重要です。データ至上主義に偏ることなく、ブライトンらしさを大切にする。ブルーム氏には、そのバランス感覚が求められるでしょう。

元ポーカー選手という異色の経歴を持つオーナー。伝統的な手法に捉われない発想力と、数字に基づく冷静な判断力。ブルーム氏の手腕が、ブライトンをどこまで導いてくれるのか。サッカー界の革新者として、その動向から目が離せません。

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