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疲労ちゃんとストレスさん


この本は、私の知人のご家族がうつで長年悩まされていて、何か手がかりがないかと探していた時に出会ったものだ。

漫画つきでわかりやすく疲労とストレスの関係、メカニズムを紹介してくれている。

疲労先進国、日本。
過労死は日本特有のものとして、「KAROSHI」がそのまま英語になっているほど問題になっている。

私たち日本人は勤勉で真面目だし素晴らしい技術開発もするけど、日常の常識は世界からみるとハテナ?なことも多いそう。

風邪を引いたとしても無理してでも職場に行くのが日本だけど、アメリカではそんなことしようものなら「効率が悪いことするんじゃないよ、人にうつしたらみんなに迷惑だ」と言われる。

でも現実問題、1人で仕事をしている事業者もたくさんいるわけで、休んでなんかいられない状況もある。
だからこそ、こういった情報を知ることは自分を助けるためにも大切だと思う。

疲労やストレスの知識を知って、どうしたら自分に応用できるか考えられる内容になっている。

そして、うつは心が弱いからなるんだなんて間違った見解が広まるのも防げる。

少しだけ内容を紹介すると、疲労感や痛みは脳が感じる感覚らしい。普通の測定方法ではその疲労感を客観的に測定することなんてできない。

ただそれができる装置を開発した人がいた。やっぱり日本はすごい。

あなたはつかれた時に唇の端っこにできる水ぶくれ、ヘルペスになったことはあるだろうか。

私はある。ヘルペスにも色々な種類があるそうだけど実はこのヘルペス、私たちの体内にいつも(!)潜伏していて、すごく疲れた時やストレスを感じた時にヘルペスとして体の外に出てくるそうだ。
本ではヘルペスウィルスと明記されている。

このヘルペスウイルスは成人の唾液の中に出てくるそうで、その唾液を専用の機械にかけると、なんとなんとその人の疲労度が数値でわかるのだ。

まだまだ使用するには料金が高いそうだけど、これが日常的に使えれば、うつかどうか判断しかねる場合でもヘルペスウィルスの数によって肉体疲労なのか、それとも脳神経が原因なのか正しく診断できる。だからうつに対しても早期に治療に取りかかれるという。

最近の研究では、うつ病の8割はヒトヘルペスウイルス6というウイルスの影響でなっていることが発見できたそう。

心なんて関係なくて、ウイルスなんだ。しかもヘルペス。
そう知ったら自分を責める気持ちが少しかるくなったと、そのご家族は話していたそうだ。

ヘルペスウイルスは誰でもが体内に持っているものだから、私だってうつになる可能性はある。そう考えると特別な人がなるのではなく誰もが関係することとして、みんなが理解を深めるのは大切だよね。

仕組みがわかれば対策は考えられるから、今「本当のうつ病治療」の特効薬開発に向けて研究者は邁進している。



疲労は「休め」
ストレスは「ガンバレ」
この2つは正反対の作用を体に命令する。

休むことも頑張ることも大切だし、どちらも命を守るために必要な生体アラームだが無視し続けると両者がバランスを取れなくなり、極限まで大きくなった時に突然倒れる。

あんなに元気だったあの人が、、、なんていうこともこんな生体メカニズムからきているそうだ。
バリバリ働いている時はアドレナリンやコルチゾールというホルモンのお陰で動けている。

休まなくても疲れない体があれば越したことはない。
でも人間そうはいかないようにできているから、どこまでなら頑張っても大丈夫か、超えたら危険なラインはどこなのかと判断するためにこの本は役立つと思う。

私自身で言うと、たぶんあれがパニック障害の症状だったんだな、と最近になってわかった。

20才頃のことだったけど、もしあの頃の私に会って何か一言言えるとしたら、
「とりあえず腸内環境!」と食事指導を入れます。菓子パンばかり食べちゃだめよ。

そう、頑張るためにも疲労を侮ってはいけない。
もしあなたやまわりで気になる人がいたら教えてあげてください。

疲労ちゃんとストレスさん
漫画・原作にしかわたく
監修・原作 近藤一博(東京慈恵会医科大学教授)

関連書籍
うつ病は心の弱さが原因ではない
著者  同上


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