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羽生結弦の おおきいさん・ちいさいさん !

 羽生結弦が『Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023“GIFT”』をテーマにCLAMPとコラボした絵本『GIFT』のキャラクター名が、グッズの販売開始とともにお披露目された。
 白鳥の騎士・ローエングリンみたいな「おおきいさん」と月のしずくかクリスタルみたいにキラキラしてかわいい「ちいさいさん」だ。

 企画制作のすみっこに携わる者として見ても「おおきいさん」「ちいさいさん」の開発はお見事だと思う。
 以前から羽生選手は「9歳の自分」を、独立した現在形の人格のように話題にしていた。叱咤激励して理想実現へと向かわせる強気で迷いのない鬼コーチのような存在と記憶している。それが強さと可愛さを極めたキャラクター「ちいさいさん」として視覚化され、美形の頂点みたいな「おおきいさん」とともにオフィシャルに活躍を始めるらしい。
  
 分身したり、変身したりはお能でも他のジャンルでも頻繁に使われる手法だけれど、物語に陰影をつけ、登場人物を魅力的に見せてくれる。憑依型表現者として多彩なキャラクターを創り出し、氷上以外でも少年の顔になったかと思えば政治家顔負けのスピーチを披露したりもする羽生選手にぴったりの設定だ。

 お御堂のマリア像も、絵画の女神やニンフ、吉祥天女も永遠の若さがお約束。戦績はもちろん美肌・美貌・年齢不詳でも知られた「振り幅スケーター羽生結弦」を端的にヴィジュアル化したこのニコイチキャラは無敵かもしれない。
 羽生結弦は1000年先まで語られる価値があるレジェンドだと私は信じているけれど、この先の彼の物語が編まれていく中で、きっと素敵な役割を果たしてくれることだろう。
  
PS:
 羽生選手ご本体の美しさは毎年更新中。もはや神仙みたいなイメージです。いつかは歳を取られるのでしょうけれど、何だか人間並みに「老いる」ことの方が不思議に思えてくるこの頃です。
 そんなファンの心を反映してこの「おおきいさん」「ちいさいさん」のように新しいキャラクターが派生し、アイコン化が進んでくのだろうなと思います。
 日本や中国では偉人がいつの間にか神格化・偶像化されて神殿ができたりしてきました。日本では天皇陛下でなくても神社ができて祀られてしまうのは明治以降でもわりとあること。それが面白くて少しその歴史を追及してみたのが以下の文章です。

永遠を駈けるスターたち  「石橋」に見る神格化・アポテオシスの系譜

 最期はなぜか羽生選手につながってしまいました。北京五輪前に書いたものですが興味のある方に読んでいただけたら嬉しいです。


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