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時代は巡る。再び「鳥取市の中心市街地でリノベーションまちづくりに挑戦したい」と思った話。【決意】

この記事は、たくさんの鳥取の人に読んでほしい気持ちと、読まれるのが怖いという気持ちを、半々に抱えながら書き始めています。原点に立ち返る瞬間の多かった2023年10月に感じた想いや現時点で考えているアイデアを、素直に綴ってみようと思います。




猛暑の夏が終わったと思ったら、一気に空気が冷たくなってきた。気付けば10月も最終日。今年の夏は猛烈な忙しさとともに過ぎ去ったようだ。

今月は久しぶりに地元の「鳥取」と第二の故郷「熱海」の両方に滞在する時間があった。兵庫県明石市に住みながら拠点と呼べる地域が複数あるという豊かさを実感する。

そして、それぞれの滞在で【 原点回帰 】を突きつけられるような印象的な再会があった。




鳥取では、鳥取県長の林拓磨さんと約5年ぶりにゆっくりと話をした。林さんは、僕が鳥取駅前で「Book Cafe ホンバコ」をやるキッカケとなった『鳥取リノベーションまちづくり』の仕掛け人のひとり。県庁職員で直接的に関係する部署や担当だったわけでもないのに、駆け回ってた人でもあります。

ホンバコを閉めてからどこか疎遠になっていたものの、ひょんなことから最近連絡をもらい、その流れで僕が鳥取に帰るタイミングでご飯に行こうと誘わせてもらいました。

正直、酔っ払ってて正確に話を覚えてるわけじゃないですが、何かの流れで【 世代交代 】のついての話をしていたのが非常に印象に残っています。(他にも印象に残った話はたくさんあるけど勝手に載せるのも…と思うので省略)




その翌週には、熱海で実施された「熱海リノベーションまちづくり10周年イベント」に参加。トーク講師の青木純さんとも会うのは5年以上ぶり。久しぶりにしっかり話をすることができました。

2013年11月に開催された「リノベーションスクール@熱海」でユニットマスターとして参加されていた青木純さんのチームに、当時熱海のまちづくり会社でインターン中だった僕はサポートメンバーとして参加。(当時の Facebook投稿も発見しましたw

そして、その翌年の2014年11月に鳥取で開催された「リノベーションスクール@鳥取」にもレクチャラーとして参加されていた純さんのいる前で、僕は「Book Cafe ホンバコ」のプレゼン発表をしました。

本人の前だと恥ずかしくて言えないですが、純さんに言われた「行動を起こしてないなら本気でやりたいわけじゃないんでしょ?」という言葉が、その後の僕の人生を大きく動かしたと言っても過言ではありません。

そんな青木純さんが10年ぶりに熱海で話をするということで「これは行かねば」とわざわざ熱海まで足を運んだわけですが、トークイベントの内容がズバズバと胸に刺さりまくって非常に良かった…。

トークを聞きながら「鳥取の街に強い思い入れを持ち続けているくせに、何もアクションを起こせてない現状に、本当に満足してるのか?」と自問自答させられて、そこから沸々と湧き上がる気持ちが止められずにこの記事を書くまでになりました。




ホンバコを2018年3月に閉めてから、早5年以上が経ちました。この間、地元の鳥取市に対してもどかしい想いを抱え続けてきたように思います。

それでも、個人事業の事務所所在地は今でも鳥取市のままにして事業税は鳥取に納め続けているし、事業用のメイン口座は鳥取銀行の産業会館支店の口座を使い続けています。それはたぶん鳥取に対して忸怩たる想いがあるからです。鳥取で何かをやる可能性があるからと、日本政策金融公庫からの融資も「鳥取支店」で申し込みをしたほど。


そうやって鳥取との縁を切らずに(とは言え適度な距離を取って)関わり続けてきた中で、鳥取市の課題も自分の中では明確になってきました。

僕自身が特に大きな課題として感じているのは

・基盤産業と呼べる産業がない
→ 産業別の就業者特化係数によると「公務 / 教育・学習支援業 / 医療・福祉」のあたりの付加価値性の低めな産業に従事している割合が高く、強いて言えば「農業・林業」が基盤産業となる。[参照

・地域外貨の獲得産業も弱い
→ 農業で辛うじて耐えているものの、製造業など鳥取で作った商品サービスを地域外輸出する企業も少なく、観光業も関西圏からは日帰り旅行にな利やすい立地であり、インバウンド観光客も出雲・コナン・大山を有する山陰中央エリアからのおこぼれを期待するのが御の字であろう。

・家計に占める地域外支出が多くなりやすい
→ 他の地方都市と同様に1人1台ぐらいの勢いで車を保有しており、家計に占める車の維持費が大きくなりやすい。加えて、鳥取県として省エネ住宅促進の先進施策の『NE-ST』が始まっているものの住宅の断熱対策はまだまだ不十分。再生可能エネルギーの地域内生産も少ないので光熱費の多くは地域外の事業者に流出している。

・地域全体で補助金依存体質になっている
→ 地域外貨を獲得できないからこそ(ある種の安定した地域外貨である)補助金/助成金/行政予算に対して依存しやすい状態になっている。補助金依存のスパイラルで地域内に健全な競争原理が働かず、地域内事業者同士で補助金(行政予算)の獲得合戦で足の引っ張り合いをしてしまい、余計に対外的な競争力で勝負に勝てないようになっている。また、市場原理で勝負したい人は不健全な環境に嫌気が差して鳥取から流出してしまう。

・中心市街地の人口密度が低い
→ 中小規模の都市において最低限の都市機能を備えながら窮屈ではない中心市街地を形成するためには「130〜150人/ha」の人口密度が目安になると言われています。[参照
→ 一方で鳥取市の中心市街地(120ha)の人口は「12,250人(令和4年度)」で、人口密度は「約58人/ha」と目安の半分以下となっている。

というあたり。高収益性の産業が乏しくて地域外貨を獲得しにくいのに、地域外に流出する資金が多いので地域経済が不健全になりやすく、補助金依存の体質に拍車がかかっている、というのが僕の見解です。


これを解決するためには、

・中心市街地に高断熱高気密の住宅を増やす
・歩いて生活できるウォーカブルなエリアをつくる

という「中心市街地×省エネ住宅×ウォーカブル×コンパクトシティ」を目指すことしかないんじゃないか。それが僕の現時点での答えです。


これが実現できれば、家計の支出の中から地域外に流出資金が減る一方で、中心市街地の人口密度が高まることで地域内経済が活性化するだけでなく、これまで減少し続けている地価の上昇が期待できるため、鳥取市の行政歳入の中でも大きなウェイトを占める「中心市街地の固定資産税」が増える可能性も高いだろうなと。

実際に『鳥取市都市計画マスタープラン』においても、都市づくりの将来像として【 多極ネットワーク型コンパクトシティ 】が掲げられています。

引用:鳥取市都市計画マスタープラン

さらに、『鳥取市都市計画マスタープラン』の中では 

“若者が定住し、高齢者などが楽しみながら歩いて暮らせるまちづくり”
“全市民が利用する高次都市機能※の維持・充実と長期的な視点に基づく居住の促進を図り、 高い人口密度を維持します”

などの文言も記載されています。
おそらく目指している方向は同じなんだろうなと。




加えて、2020年から約3年ほどアドレスホッパーとして日本各地(ときに海外に含めて)の主要都市に週単位(ときに1ヶ月近く)で暮らすように滞在してきた(2022年は年間30ヶ所に滞在した)経験から

「鳥取市の中心市街は全国の中でもコンパクトシティ化しやすいエリア」

だと感じています。
主な理由は以下の通り。

❶ 主要駅前の中心市街地に総合病院が2個もある
→ 歩いて通える距離に大型の総合病院が複数あるような中心市街地はレアである(鳥取赤十字病院 / 鳥取生協病院)
→ 免許返納を検討する高齢者にとっては住みやすいエリアになる

❷ エリア内の建物の多くが建て替えの時期にある
→ 1952年の鳥取大火後に建てられた建物が多く、築70年近くなり一斉に建て替えの時期にあるため、大規模な都市開発の方針を打ち出しやすいタイミングである

❸ 人気のある教育環境も近接している
→ 伝統的な進学校である鳥取西高や鳥取東高、県外からも進学が増えている私立高校の城北高校や中高一貫校の青翔開智、そして近年力を伸ばしている敬愛高校など、中高年代の教育現場が近接している。(高校生の寮需要も高まっていると聞く)

特に ❶ と ❷ の要素があることで、

・省エネ住宅促進施策『NE-ST』を活用しながら高気密高断熱な集合住宅への建て替えを呼び掛けやすい
・団塊の世代が75歳を迎えて免許返納したあとに通院しやすいエリアへの転居を検討する可能性が高い

という状況になるので、省エネ住宅でヒートショックリスクを減らしながら歩いて安全に暮らせるエリアにしていく空気も醸成しやすいはずです。


もっと踏み込んだ話をすれば、
行政側の取り組みにはなるものの、

・省エネ住宅の集合住宅(アパート/マンション)に建て替えた場合は「数年間の固定資産税免除」のようなインセンティブを付けることで複雑な土地所有者の意識を建て替えに促しながら投資を呼び込む

・住民の移動距離を減らす「ショートウェイシティ」の概念で都市デザインを考えて、中心市街地に集合住宅を建設する場合には「1階は商業用の非居住スペースに、上層階を居住スペースに」という不動産価値を最大化できる建て方を条件にする

・100円循環バス「くる梨」を電気自動車化する、中心市街地にレンタサイクルステーション&電気自動車のシェアカーサービスを充実させる、など都市交通インフラも車非所有前提の暮らし方にマッチしたものに変更する

みたいなところまで目指していけると理想だと思ってます。




ここまで書いたことは絵に描いた餅かもしれません。
自分でも机上の空論な理想論に聞こえるし、実現していくために自分に何ができるか正直わからないところもあります。深夜テンションで書いてるので論理が破綻している部分や事実誤認しているところもあるかもです。

でも、とにかく「中心市街地に住む人を増やす」ということに本気で取り組まないと鳥取市はもう厳しいんじゃないか、という部分は紛れもなく僕の本音中の本音です。


賑わい創出だと取り繕って単発のイベント開催を繰り返したり、年間数十人の関係人口を増やすための取り組みをやり続けること、空き店舗をなんとか活用してみたり、採算の取れなくても補助金を出して事業を生み出すことに、全く意味がないとは言いません。飲食事業者が自分たちのクオリティを上げるために情報共有しながら切磋琢磨するのもめちゃくちゃ大事だと思います。

ただ、住む人も訪れる人も少ないエリアでどれだけ頑張っても事業的にはずっと苦しいだろうし、対処療法(リフォーム)的な取り組みを続けてるだけじゃ本質的な解決には繋がらなくていずれ息切れする。その結果、中心市街地で新しく飲食店や商店を始める人は少なくなり、いざ始めても厳しい経営に晒される。

鳥取に帰るたびに過疎ってる度が上がり続ける中心市街地の姿に愕然とするし、鳥取駅前の物件の家賃を聞くたびにその安さに衝撃を受ける。そして、その家賃でも借り手が現れない現状を当たり前に感じている様子に「これが茹でガエル現象か…」とやるせない気持ちになる。市役所の新庁舎の周りがイオン・スタバ・マクドナルド・ケンタッキーなどなどのチェーン店に侵食されていることにも絶望感しかない。(僕もよくスタバを利用してますが)




話がとっ散らかってきたので、強引にまとめようと思う。


鳥取県庁の林さんと話したときに【 世代交代 】という話になった。24歳で勢いのままブックカフェを開業した僕も、来月11月で33歳になる。

カフェを始める前に林さんにインタビューした記事を読み返してみたら、当時の林さんが34歳だったらしい。気付けば、あの頃の「鳥取リノベーションまちづくり」を引っ張ってくれていた人たちと同じ年代になっていた。

もう神輿に担がれる若者世代でもなければ、傍観者で居てもいい立場でもない。清濁合わせ飲みながら酸いも甘いも様々な経験を積んで脂の乗ってくる30代中盤から40代前半の世代が「旗振り役」にならなくてどうするのか。

10年前に青木純さんに言われた「行動を起こしてないなら本気でやりたいわけじゃないんでしょ?」という言葉が、また僕の頭の中で再びファンファーレを鳴らす。それだけ鳥取に対する想いを持っているのになぜ行動に繋げないのか?と。


とは言え、今の自分に何ができるのか。

市長になって鳥取市の政策を決定する権限を持つか?
いや、全くもって現実的なじゃない。そもそも次の市長選は2026年だ。

不動産投資をして省エネ賃貸住宅の大家になるのか?
チャンスがあればやりたいけど資金力的に一人でやるには限界がある。

だから、
まずは声を上げてみることにしました。


この記事の内容がどのように思われるかは分かりません。
ただ敵を作っただけかもしれないし、理解できない部分が多くて呆れた人もいる可能性もある。でも、正直な想いを吐露しないと共感されることもないだろうと、本音で考えていることを公表したのがこの記事です。


対処療法(リフォーム)ではなく原因療法(リノベーション)のまちづくりとして
鳥取の中心市街地で「省エネ住宅×ウォーカブル×コンパクトシティ」を目指す。

僕自身も何からやればいいのか、何ができるのか、全くわかってないですが、少しでも胸に響くものがあった人がいればぜひ連絡ください。一緒にできることを考えてみたいです。


最後に、青木純さんの著書『大家も住人もしあわせになる賃貸住宅のつくり方』の「はじめに」に書かれていた言葉で記事を締めたいと思います。

読み終わるころには、「自分にも何かできるかもしれない」と思ってもらえたら、とてもうれしいです。

大家も住人もしあわせになる賃貸住宅のつくり方(著: 青木純)



余談:人生の「朱夏」を迎えて何を成したいのか

本当は今月の月報を最後にまとめようと思ってましたが、ここまですでに5800字も書き綴ってしまったので、今月の月報はお休みに。

最後に、今月のタイトルしようかなと思っていた “人生の「朱夏」を迎えて何を成したいのか” について軽く触れて終わります。


過去の記事のどこかでも触れたかもしれませんが、古代中国の五行思想では人生を「青春・朱夏・白秋・玄冬」に分けて考えると言われています。

諸説ありますが、人生100年時代においては

・青春:0〜30歳
・朱夏:31〜50歳
・白秋:51〜70歳
・黒冬:71〜100歳

ぐらいなのかな?と思って捉えてます。

33歳を迎える今はまさに【 朱夏 】のど真ん中というわけ。人生で最も勢いに乗れる「朱夏」を迎える今この時期だからこそ、本当に取り組みたいことを本気で成しにいくタイミングなんだろうなと。


論語の中でも孔子先生は

子曰く、吾 十有五にして学に志す。
三十にして立つ。四十にして惑わず。五十にして天命を知る。

と語っています。実際に30代にして何者かになれてきた気がしています。きっとここからが本当の勝負なんだろうという感情も、今日の記事を書くための後押しになっていました。


CAMPFIREパートナーとして月間流通額全体1位になったようにクラウドファンディングの仕事も順調に伸びてきていますが、また違う方向でもますますブーストを吹かしていきたいなと思います。


ちなみに、
クラウドファンディングのサポート事業の売上推移も紹介すると…

(この続きは、有料月刊マガジン[表で言えない本音とかさ]の読者向けだけに書いていきます)

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1,628字
オープンな無料記事では書けないような毒吐く姿も見えるかも・・・?(わかんないけどね)

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