その隙をスキと
「スキ」をどういう時にすればいいんだろう。いまだに分からない。
「お、いいねえ」とか「楽しい」とか「ありがとう」とか。ふふっと笑えたとか。「いつも素敵だなあ」とか。言葉を仕事にしている人もそうではない人もいるのだろうけれども、こんなにたくさんの人に書きたいことがあるという、ただそれだけのことに打たれている瞬間もある。「この部分のこの表現が好きなんだ!」と、ただそれだけで「スキ」していることもある。
(それじゃ、ダメかな?)(まだ加減が分からない)
「こんな文章を書けたらいいのに」と感じる人もいる。題材の選び方や処理が、自分にないものだと思って。ふわりと文章世界にこちらを包み込んで旅行させてくれる人もいる。基本ラーメンのことしか書かれてないのに一緒に食ってる気がする人もいる。ネット上のことであるし、顔も知らなければ会うこともない、実際年齢も性別もそのままかどうか分からない人たちの言葉。大丈夫そうかなと思ったらコメントしてみたりして、あるいは距離詰めない方がいいのかなと控えてみたりもして。
でもどうしたらいいか分からないこともある。
自分を嫌いなあなた。おれの「スキ」じゃきっと埋まらない。
だけどあなたが嫌うあなたを、そのジタバタも、「スキ」だと。
通りすがりの人にふとエールを送りたくなるように、「スキ」だと、
風呂屋でふと赤の他人に優しい気持ちになるみたいに「スキ」なんだと、
なんでそうなのかはきっとおれの「隙」に理由があって、
そんなこの「スキ」は無責任なんだろうしクソの役にも立たないけど、
こっちにはあなたに埋めてもらっているところがあるんだよと、
きっと聴く耳をもたないあなたに、それでも言いたい。
「スキは隙なり」と書くと思ったでしょ? 大丈夫書かないよ。
あなたの荒れ地とおれの荒れ地。どこまで続くかわからない。
そっちからだってどうせこっち見えてないんだろうなと思う。
でも声が届く。それだけでちょっとマシになるんだよこっちは。
生きてるからだ。生きてるのが自分だけじゃないからだ。
ボトルに手紙を入れて海に流したら不法投棄で環境破壊だから
みんなネットに流すようになった。それでいいじゃない。
見つけて欲しくてつながりたくて、その気持ちはきっと是だ。
見はるかしても水平線、でもあなたがどこかにいること。
その全てが、スキなんだと、そう言えたら。
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