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誰も知らない消費税の真実

こんにちは。今回は「消費税減税 ニッポン復活論」藤井聡氏、森井じゅん氏(ポプラ新書)を読んでの所感を独断と偏見で綴りたいと思います。

結論から言うとこの本、目から鱗のことばかりでとても勉強になります!

特に消費税の正体とは何か。そして消費税が日本経済を停滞させた原因であるということに本当にびっくりでした。

私は関西ではそこそこ有名な私立大学の経済学部ですが、大学では決して学ばない内容ばかりでした。

今回は特に勉強になったこと「消費税とは何か」について私なりにまとめたいと思います。


消費税とは何か?


消費税とは何か?

皆さんは消費税とは何ですか?と言われたらどうやって説明しますか?

おそらく多くの人が

「消費税とは預り金である」「消費税は間接税である」と説明するのでないでしょうか?

しかし本書で「消費税は預かり金ではない」と森井氏が断言しています。(P82ページ)

預かり金とは
例えば、私たちは100円の商品を購入するとそこに10%の消費税がかかり、110円をお店に支払う。100円はお店に、10円は国にいくお金だけれども、
とりあえずお店が預かっておいて納期時期が来たら私たちの代わりにお店が10円を国に間接的に納めるイメージですよね。

私も学校で先生に消費税が預り金で間接税だと教わりました。

図①

これが実は間違いなんです。

消費税が導入された直後に益税問題が発生しました。
益税問題とは「消費者が事業者に対してお金を預けたのに事業者は国に納めていない、ネコババしているじゃないか」という問題です。

そもそも消費税には一定規模以下の事業者は消費税の申告や納税も不要であるという免税事業者制度があります。これが益税問題の発端です。

消費税導入当初は売上高3000万円以下の事業者は免税事業者でした。
(ちなみに現在は1000万円です)

例えば
消費者は100円の商品を購入し、消費税の10円分を合わせて110円支払う。
事業者は売上高が免税対象額で国に消費税分を納める必要がない。
この場合、事業者に預けている10円分どこ行ったんや!ネコババやんけ!となりますよね。これが問題になりました。

図②



これについて消費者が裁判を起こしました。これが益税問題です。

裁判では
消費税は事業者が消費者から預かっているものではない。という判決が出ました。
つまり消費税の納税義務者は事業者であくまで、売上高から事業者が消費税を納めるということです。
事業者が直接、国に納税するのが消費税ということです。

簡単に言うと、
もしコンビニエンスストアの売上高が1億だったら、納税期間になると消費税10%の1000万円をコンビニが国に直接納めるということです。

図③

これが消費税の正体だったのです。

消費税増税が引き起こす問題

先ほど消費税とは何かについて説明しました。

消費税は事業者が売上高から支払う直接税である。ということですね。

消費税の正体が分かったところで現在議論されている消費税増税の必要性と消費税増税が引き起こす問題点について述べます。

消費税の必要性

政府が消費増税する大義名分は社会保障の財源ですが、

結論、消費税増税は不要です。消費財の減税、撤廃もありますが、
これについては別の投稿で述べたいと思います。

消費税増税の問題点

消費税が引き起こす一番の問題は価格に転嫁されるということです。
そして消費税分の価格転嫁は事業者、消費者が負担します。

例えば、消費税が0%から10%になった場合を800円の焼肉定食の例で説明すると、
(価格の転嫁は数パターンあります)

①800円の焼肉定食を消費税込みの880円で提供する。
この場合
消費税が10%なので消費税の価格転嫁分を消費者が完全に負担していることになります。

②800円の焼肉定食を850円で提供する。
この場合
売上の800円と消費税の80円=880円のうち、50円を消費者が支払う。
残りの30円を事業者が負担していることになります。

③800円の焼肉定食を800円で提供する。
この場合
事業者が消費税分を完全に負担していることになります。
どういう事かと言うと、
800円の売上の10%分(80円)を事業者が負担していることになります。

つまり消費税増税をすると消費者もしくは事業者に価格転嫁がされることになります。(消費者も事業者もダメージを受けます)

そして価格が上昇すると(消費税増税が行われると)、消費が落ち込み、企業の売上が下がり、従業員の所得が下がり、可処分所得が下がり、結果的に消費が落ち込むという負のスパイラルに陥ります。


少し話は脱線しますが、先述した焼肉定食の例で「消費税とは何か?」の章の説明をしたいと思います。
消費税が預かり金ではないということについてもう少し補足を加えます。

例えば、
皆さんに消費税が8%から10%になった時を思い返してほしいです。
地元のおじいちゃん、おばあちゃんが営んでる定食屋さんで800円の料理があったとします。
増税前は(8%)
736円の本体価格+消費税8%の64円=800円で提供
増税後(10%)
736円の本体価格+消費税分の10%の73.6円=809.6円
で提供しているお店などありましたか?ということです。
なかったですよね。
(※分かりやすくするため本体価格を8%と変わらないものとする)

話が少し逸れてしましましたが、消費税増税が我々の生活に大きく影響するという話に戻ろうと思います。

再三述べますが、
価格が上昇すると(消費税増税が行われると)、消費が落ち込み、企業の売上が下がり、従業員の所得が下がり、可処分所得が下がり、結果的に消費が落ち込む、そうなると税収が落ち込み、財源が足りなくて消費税増税が行われるという負のスパイラルに陥ります。

これが消費税増税の問題点です。

そしてこれはマクロ経済では当たり前のことです。大学の講義でも当たり前のように勉強します。

実はこれは明確な法則として定義されています。
それはラッファー曲線です。興味深いので少し紹介します。

(ちなみに経済学部生ではお馴染みの「マンキュー経済学Ⅰミクロ編〔第3版のP243〕にも載っていました。)


出典:https://www.management-consultant.info/?p=7060
図④


ラッファー曲線とは

税率が増えすぎると、逆に消費が落ち込んで税収が下がるというものです。

過去30年間の日本はラッファー曲線の禁止領域に入っているということです。

消費税増税が行われると、消費が落ち込み、企業の売上が下がり、従業員の所得が下がり、可処分所得が下がり、結果的に消費が落ち込む、そうなると税収が落ち込み、財源が足りなくて消費税増税がされる。
ラッファー曲線の禁止領域に入ってしまっているので税収は更に落ち込む。
この負のスパイラルに日本は陥っていると言えます。

そして消費税増税は人工的なコストプッシュ型のインフレーションを生むとも言われます。
消費財増税によって、政府が自発的に起こす負のスパイラルを起こすのです。

図⑤、図⑥、図⑦をご覧ください。
図⑤では消費税増税後に給与が下落しているのが明確です。
(もちろんこの図だけで増税が原因だと断言することは難しいですが・・)
図⑥は消費税増税後の消費の伸び率です。
消費税増税後に日本経済の消費活動が縮小しているのがお分かりいただけると思います。
図⑦は増税がなかったら日本の消費活動がどうなっていったかの予想グラフです。

出典:「消費税減税ニッポン復活論」藤井聡、森井じゅん(ポプラ新書)p25
図⑤
出典:「消費税減税ニッポン復活論」藤井聡、森井じゅん(ポプラ新書)p29
図⑥

出典:「消費税減税ニッポン復活論」藤井聡、森井じゅん(ポプラ新書)p49
図⑦

上記の図からも分かるように消費税増税が負のスパイラルをもたらすと言えます。

まとめ

今回は消費税とは何か?消費税が引き起こす問題についてまとめてみました。もちろん消費税については様々な議論が繰り広げられています。
本書の内容がすべて正しいとは断言できないですが、私自身とても視野が広がるきっかけになりました。

また別の投稿で日本の財源について取り上げたいと思います。

最後に
「消費税減税ニッポン復活論」藤井聡氏、森井じゅん氏(ポプラ新書)では主に下記4つのテーマで藤井聡氏と森井じゅん氏が議論を繰り広げています。

  • 消費税の正体

  • 消費税がなくなるとどうなるのか

  • 消費税がもたらした過去30年間

  • 消費税がなくなっても問題はないのか

ぜひ興味深い議論が展開されているので手に取ってみてください。



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